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制御、計測機器大手の横河電機は今年1月、ライフサイエンス事業を担う新たな拠点として、金沢市の金沢テクノパーク内に金沢事業所を開設した。
ライフサイエンス事業は、同社が計測機器、制御機器に次ぐ将来の柱として期待する事業。脳深部の磁場を計測して脳の活動を調べる脳磁計、生きた細胞を観察する共焦点顕微鏡、人間がもつ固有の遺伝情報を利用して新薬を開発するゲノム創薬のための開発支援装置の3分野について、研究、開発、製造を進めている。
現在はエンジニアを中心に80人のスタッフで操業しており、2010年には500人体制まで拡充し、150億円の売り上げを目指している。
金沢事業所を統括する瀧岸眞一ライフサイエンス事業部長は、同社が金沢に進出した理由の一つとして「医学やバイオ、工学を専門とする大学や研究機関の集積」を挙げる。
実際、金沢工業大学とは脳磁計開発の初期段階から共同研究を進めるなど縁が深い。また、現在は、ISICOが中核となって進めている「知的クラスター創成事業」に参画し、県内の大学や民間企業とともに、認知症の早期診断システムの開発に取り組んでいる真っ最中だ。最近では金沢大学の医学部、工学部の研究者と意見交換を重ねるなど、連携体制の構築を図っている。
こうした動きをさらに加速させようと、同社では金沢事業所内に産学官連携の拠点となる「リサーチセンター」を整備した。
センターには脳磁計や共焦点顕微鏡など同社の製品を備えたほか、論文執筆室も確保し、大学などの研究者らに開放する。瀧岸部長は「研究者の皆さんに最新機器を使って研究してもらい、論文を出してほしい。ゆくゆくは金沢がライフサイエンスの情報発信基地になれば」と期待を膨らませる。
もちろん、同社にとっても研究者に施設を利用してもらうメリットは大きい。というのも、機器開発そのものは同社の得意とするところだが、例えば、脳磁計を認知症やてんかんの診断に応用するなど、その用途を広げていくのは社内だけでは難しく、リサーチセンターでの研究成果が機器の用途拡大や改良につながるからである。
このほか、瀧岸部長は「石川県は数々の伝統工芸を育むなど、ものづくりのDNAを受け継ぐ土地柄だけに、開発時の試作や製品テストに関しても環境が整っている」と話し、県内企業や県工業試験場との連携も強めながら、新製品の開発を進めていく考えだ。
企業名 | 横河電機 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 大正9年12月 |
事業内容 | 制御機器、計測機器などの製造 |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.28より抜粋 横河電機(株)金沢事業所 住所:金沢市北陽台2-3(金沢テクノパーク内) TEL 076-258-7000 |
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掲載号 | vol.28 |