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文化財建造物の修理 順調に受注を拡大 ~(株)金沢伝統建築設計

印刷用ページを表示する更新日:2018年12月18日更新

あの受賞者のその後にフォーカス!

守田守社長の写真ISICOでは2007年から毎年、ビジネスプランコンテストを開催し、優秀な事業計画を提案した起業家に対しては集中的に支援し、アイデアの実現を後押ししている。ところで、厳しい審査を勝ち抜いた起業家がその後どのように成長したのか気になるという読者も多いのではないだろうか。そこで今回は2015年度のコンテストで優秀起業家賞に選ばれた金沢伝統建築設計の森田守社長の取り組みについてレポートする。

二つの資格を生かし修理も復元も

 森田社長は「一級建築士」と「文化財建造物保存修理主任技術者」の二つの資格を生かし、国や地方自治体が文化財として指定する建造物、その他の歴史的建造物の保存修理、復元に関する調査、設計、監理、コンサルティングなどを手がけている。
 資格を両方とも持っている技術者は全国でも少なく、石川県内では森田社長ただ一人だ。これによって、かつてあった建造物を復元して建てる場合でも、現存する古い建造物を修復する場合でも、設計などの業務を引き受けられるメリットがある。
森田社長の設計監理によって屋根の葺き替え工事が行われた県指定有形文化財「総持寺経蔵」 これまでの実績の一部を紹介すると、2017年からは金沢市内で東京国立近代美術館工芸館の移転先として移築、整備される国登録有形文化財の旧陸軍第九師団司令部庁舎と金沢偕行社(かいこうしゃ)の解体工事にあたって建造物の歴史的価値を調査。さらに建築当時の姿を古い写真などから検討し、外観の復元などに向けて技術的なアドバイスを行っている。
 また、2017年から2018年にかけては、輪島市にある県指定有形文化財「総持寺経蔵」のこけら葺(ぶ)き屋根の全面葺き替え工事で設計監理を担った。

前職で築いた人脈が受注の原動力に

解体工事中の旧陸軍第九師団司令部庁舎と金沢偕行社で開かれた見学会では説明役を務めた 森田社長が事業を立ち上げたのは2015年5月にさかのぼる。
 大学院修了後、森田社長は東京にある(公財)文化財建造物保存技術協会に14年間勤務。このうち10年間は重要文化財旧松下家住宅の保存修理や金沢城橋爪門の復元工事など、石川県内での仕事を担当していた。金沢在住の女性と結婚してからは住まいを市内に移し、東京や大阪での勤務時は単身赴任していたが、子どもが生まれたのを機に金沢に腰を据えて仕事できるようにと独立した。
 森田社長は石川で長く働いていたため、自治体で文化財を担当する部署や工事を施工する地元の職人とつながりがある。これが仕事を受注する原動力となり、創業後は年々着実に業績を伸ばしている。
 また、そもそも文化財建造物や歴史的建造物を修理したいというニーズに対して、専門技術者が不足している状況もビジネスチャンスの獲得にプラスに働いている。

創業や法人化をISICOがサポート

 創業に向けてはISICOからアドバイスを受けた。森田社長は「それまでは組織の技術者として働いていましたから、経営のことにはまったく無頓着で、収支計画の立て方をはじめ、さまざまな面で助言をもらいました」と振り返る。
 2015年11月にはISICOが主催する「革新的ベンチャービジネスプランコンテストいしかわ」に出場し、優秀起業家賞に輝いた。
 「ISICOのスタッフからの勧めもあり、参加を決めました。コンテストでプレゼンテーションするために事業計画をまとめるプロセスを通して、自分の考えを整理することができて、その後の事業に役立ちました」(森田社長)。
 その後、法人を設立する際にもISICOに相談。森田社長は「専門家派遣制度を利用して、中小企業診断士に収支計画をチェックしてもらったり、税理士に個人事業主から法人への移行などを手伝ってもらったりして、とても助かりました」と笑顔で話す。

社員を採用しさらなる成長を

 仕事が順調に増えていることから、会社としてさらに成長しようと、森田社長は今後、社員を採用し、文化財建造物や歴史的建造物の修理に携わる技術者や伝統木造建築を専門とする建築士として育てていこうと考えている。
 とはいえ、県内に建築を専門に学べる大学は一つしかない。そこで、森田社長はISICOからのアドバイスを受け、石川県へUIターンしたい人を支援する「いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)」に相談した。大学卒業後にふるさとで働きたい学生やIターンを希望する実務経験者などをターゲットに採用活動を進める考えで、会社の取り組みや特徴をPRするホームページも作成する予定だ。
伝統工法に携わる職人と綿密な打ち合わせを重ねる 一方で「職人は高齢化が進んでいて、自分の代でおしまいという人もかなり多い。熟練した技能が断絶してしまうのは非常にもったいない」と、ベテラン職人が持つ伝統的な技能の継承をサポートする事業も視野に入れる。
 「そのためにもまずは県内の文化財建造物、歴史的建造物の修理、整備に注力し、しっかりと実績を重ねて信用、信頼を積み上げたい」と力強く話す森田社長。これからの奮闘に期待したい。

企業情報

企業名 (株)金沢伝統建築設計
創業・設立 設立 2017年10月
事業内容 文化財建造物および歴史的建造物の保存修理、復元に関する調査、設計、監理、コンサルティングなど

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.103
備考 情報誌「ISICO」vol.103より抜粋
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掲載号 vol.103