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【巻頭特集】case.1 省力化で蔵人の心身に余裕 品質と開発意欲が向上 ~数馬酒造(株)

印刷ページ表示 更新日:2019年2月12日更新

【巻頭特集】目指してみませんか?働きやすい職場づくり

少子高齢化が進み、労働力不足が課題になっている昨今、働きやすい職場環境を実現できるか否かは、技術開発や販路開拓などと並んで企業の発展に関わる重要な問題と言える。「性別や家庭の事情に関係なく能力を生かすことができる」「若い人材が会社に定着して活躍できる」「健康的で安全に働くことができる」。今回の特集では、そんな職場を目指し、意欲的に改善活動に取り組んでいる県内企業3社の事例を紹介する。

夜中の温度管理 センサーで自動化

酒造りを担う4人の正社員の写真 清酒の仕込みは10月から翌年3月にかけて、季節雇用する蔵人が蔵に寝泊まりして、朝早くから夜遅くまでもろみの面倒を見るのが伝統的なやり方だ。ただ、これでは共働き世代や子育て世代の蔵人にとって負担が重い。そこで数馬酒造では2015年から蔵人を通年雇用する社員制度を確立し、働きやすい環境づくりを進めている。
 現在、同社の酒造りを主に担うのは20代、30代の正社員4名だ。仕込み期間中でも始業は他部門の社員と同じ8時半で、遅くとも19時には退勤できるようになっている。
機械化された瓶詰め後のラベル貼りの様子の写真 これを可能にしたのが製造工程の機械化や作業スケジュールの見直しだ。例えば、以前は蔵人が夜中に何度も温度を確認し、必要に応じて上げ下げしていたもろみづくりの工程には、温度センサーが導入され、自動的にあらかじめ設定した温度を維持するよう制御する。ほかにも、これまで人手頼りだった蒸米の仕込み作業やラベル貼りなども機械化し、現場の省力化につなげている。
 仕込み期間中でも月6日の休日を確保。仕込みのない期間は蔵人の休日を増やすようにして、年間を通じた休日数を他部門と同程度としている。

個人の事情に配慮し、短時間正社員制度を導入

数馬嘉一郎社長の写真 醸造体制を変更して以降、酒造りにも好影響が現れている。「“試作開発をやらせてほしい”との声が現場から上がってくるようになり、心と体に余裕が生まれてきたと感じた」。そう笑顔を見せるのは数馬嘉一郎社長だ。その取り組みの一つがアカモクなどの海藻から採取した酵母を使った新商品開発だ。酒米や水も含め、すべてを能登産素材で造る国内初の試みでISICOの「いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド事業」の後押しを受け、開発を進めている。
 数馬社長の「元気に楽しく造る酒の方が旨いはず」という言葉の通り、2016年に酒類総合研究所の全国新酒鑑評会で初めて金賞を受賞するなど品質もアップ。急ぎの注文にも柔軟に対応できるようになり、その結果、顧客からの評価も良くなり、売り上げも伸びている。
県内の学生と共に造った「Chikuha N」の写真 働きやすい環境づくりはこれだけにとどまらない。育児や介護、健康状態などの諸事情により、働く時間に制約のある社員が、勤務時間や勤務日数をフルタイムで働く正社員よりも短くして仕事する短時間正社員制度を導入するなど、社員から積極的に意見を聞き、可能な限り改善策を講じる。数馬社長は「年齢や性別、家庭の状況を問わず、能力や意欲のあるいろんな人に働いてもらえる会社にしたい」と話す。
 こうした経営姿勢に共感して取引を決めてくれる顧客も増えている。「酒蔵だからしょうがないと諦めるのではなく、他の業界で当たり前のことを自社でも実現し、それによって持続可能な酒造りをしたい」と話す数馬社長。これからも社員一人一人の思いをきめ細かく反映し、働きやすい環境づくりに注力する考えだ。

企業情報

企業名 数馬酒造(株)
創業・設立 創業 1869年
事業内容 清酒の製造、販売

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.104
備考 情報誌「ISICO」vol.104より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.104


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