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「ものづくり補助金」を活用して新設備 EV用電池生産機のローラーを製造 ~加賀電化工業(株)

印刷用ページを表示する更新日:2019年3月28日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​​

加賀電化工業では、各種産業機械に組み込まれるローラーやシャフト、スピンドル(回転軸)といった長尺で丸い棒状の部品を製造している。現在、主力となっているのが、電気自動車(EV)用のリチウムイオン電池や自動運転車用の電子部品の生産機に使われるローラー部品だ。同社ではここ数年、ISICOのサポートを受けて採択された「ものづくり補助金」を活用し、設備の増設や技術の高度化に取り組み、これらの事業を拡大させている。​​

めっき、切削、研磨の一貫生産に強み

バーチカル研磨機を使用している様子の写真 加賀電化工業の強みと言えるのが、めっき加工を専門としながら、その前後で必要となる切削加工、研磨加工までを一手に引き受ける点にある。こうした会社は極めて珍しく、同社の宮崎克洋社長によれば、日本全国を見渡しても10社程度に限られるという。
 部品の素材は鉄やステンレス、アルミである。中でも同社の強みが生かされるのがアルミに高精度の硬質クロムめっきを施す部品である。
 アルミは鉄やステンレスに比べて軽いのがメリットだが、柔らかくてめっき加工が難しい素材だ。精度よく仕上げるとなれば難度はさらに上がる。その点、同社ではアルミ表面にできる酸化皮膜を除去し、密着性に優れた金属皮膜を形成する「亜鉛置換」という手法を確立することで、めっき加工を可能とした。さらに、最新鋭の研磨機、マイクロスコープ(顕微鏡/ 3次元測定機)、バランサーなどを駆使し、1000分の1ミリ単位の高精度を実現している。

テスラの電池工場にもローラーが採用

EV用リチウムイオン電池の生産機で使われるローラーの写真 同社が製造する部品のうち、売り上げの50%以上を占めるのがフィルムの生産機で搬送や巻き取りに使われるローラーだ。
 例えば、同社の主力となっているのがEV用リチウムイオン電池の正極材・負極材などとして使われる金属箔やそれらを隔てるセパレーターフィルムの搬送に使われるローラーである。アメリカのEVメーカー、テスラモーターズがネバダ州に整備した電池工場「ギガファクトリー」の生産機にも加賀電化工業のローラーが採用されている。
 その生産機では、金属箔やセパレーターフィルムに機能を持たせるため特殊な液体を塗布する。その際、ローラーの精度が悪ければ、塗布した液体の厚みが不安定となり品質不良の原因となる。また、それらは厚さ25ミクロン以下と非常に薄く、デリケートなため、ローラーによって対象物に微細な傷すら発生させてはならない。そのため、とりわけ厳しい精度が要求されるというわけだ。
 また、スマートフォンの主要部品として電圧を安定させる役割を持つ「積層セラミックコンデンサー(MLCC)」の生産機にも同社のローラーが組み込まれている。
 EVは今後、世界的に普及が進むと見込まれるほか、MLCCはスマートフォンだけでなく、今後、開発、実用化が進むと予想される自動運転車に欠かせない部品である。それだけに高品質のローラーに対する需要も右肩上がりで伸びるとみられ、宮崎社長は「当社が頑張らないとEVや自動運転車が普及しない。それくらいの思いを持って仕事に取り組んでいる」と熱く語る。

リーマン・ショックを機に事業の裾野を広げる

 そもそも、同社の売り上げの80%以上を占めていたのは繊維機械向けだった。しかし、2015年にはフィルム機械向け26%、繊維機械向け25%、印刷機械向け14%、射出成形機向け9%、建設機械向け7%と取引業種の分散化が進んだ。現在は多様な取引先を維持しながら、フィルム機械向けの比率が上がっている状態だ。
 売り上げに占める割合が大きく変化したのは、2008年のリーマン・ショックを端緒とする不況で仕事が激減したことが原因だった。
マイクロスコープの写真 一時期、業界内では「絶対に潰れる」という噂が飛び交うほど業績は悪化した。それでも、2009年に父親の跡を継いだ宮崎社長は、ISICOが開催する受注開拓懇談会などを活用しながら前職の保険会社で培ったフットワークを生かして営業活動に汗を流した。「何でもやります」という宮崎社長の必死の営業が奏功し、事業の裾野は次第に広がり、その一つがフィルム機械向けだった。
 フィルム機械向けに高精度のローラーを製造するには新たな設備の導入や技術の高度化が欠かせなかった。そこでISICO職員の勧めを受け、「ものづくり補助金」を活用してそれらに取り組んだ。業績は2011年に黒字に転じ、現在まで好調に推移している。

新ラインを整備し、より長尺の製品に対応

 フィルム機械用ローラーの需要増に応えるため、昨年には金沢市内で分散していた工場を白山市の新拠点に集約し、生産効率を高めた。
宮崎克洋社長と社員の皆さんの写真 また、現在は廃業しためっき工場から設備を買い取ったことを契機に、従来加工できなかった2,500ミリメートル以上の長さのローラーを製造するためのライン作りに取り組んでおり、宮崎社長は「今年中には稼働させたい」と話す。フィルムの生産効率を高めるため、生産機の幅もより広くなる傾向にあり、こうした需要を取り込むのが狙いだ。大型化した液晶画面用フィルムの生産機など、新たな取引先の獲得も目指す。
 EVなど将来有望な市場向けの製品を手がけるだけに加賀電化工業にはまだまだ大きな伸び代が残されており、これからの展開にも注目が集まる。

企業情報

企業名 加賀電化工業 株式会社 
創業・設立 設立 1955年5月
事業内容 フィルム機械部品、繊維機械部品、印刷機械部品などの製造

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関連URL 情報誌ISICO vol.105
備考 情報誌「ISICO」vol.105より抜粋
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掲載号 vol.105