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ISICO設立20周年 企業ニーズに合わせて支援機能を拡充し、意欲ある県内中小企業の挑戦を後押し

印刷用ページを表示する更新日:2019年6月12日更新

理事長インタビュー

1999年4月に設立したISICOは、今年で設立20周年を迎えました。ベンチャー支援や新技術・新商品開発に向けた産学官連携のコーディネートといった設立当初の役割に加え、販路開拓や再生支援、海外展開や事業承継の支援など、社会環境や企業ニーズの変化に合わせ、県内中小企業のための総合的なサポートセンターとして、年々機能の強化を図ってきています。当財団の理事長である谷本正憲知事に設立の思いやこれまでの取り組みについて聞きました。

- ISICOの設立から20周年を迎えました。当時を振り返り、設立の狙いについて聞かせてください。

理事長 谷本正憲石川県知事の写真 石川県には、意欲的で進取の気性に富んだ中小企業がたくさんあり、行政と中小企業の関わりが他の都道府県に比べて非常に濃密だと感じます。企業が行政に寄り掛かるという意味ではなく、中小企業の皆さんの前向きな取り組みを行政がしっかりと後押しする、こうした産業振興施策が本県の特徴というわけです。
 好例といえるのが、1986年から毎年開催している「受注開拓懇談会」です。これは県外の発注企業に県内企業の優れた技術をPRする企業交流の場で、私も知事に就任以降、毎年参加してきました。たとえ県内企業が優れた技術力を有していたとしても、県外の発注企業に単独でアプローチしたのでは新規取引にこぎ着けるのは難しいのが現実です。そこで、行政が橋渡し役となり、信用力を高めることで、県内企業の実力を正当に評価してもらえる素地を作っており、こうした取り組みは全国でも本県だけです。
 ISICOが設立した頃は、平成不況の真っただ中で、景気の低迷からの出口が見えない時期でした。同時に、高度情報化の進展や地球環境問題等の課題も顕在化しており、こうした状況に対応していくため、企業はこれまで以上に技術力の向上や新商品開発、新たな販路の開拓などをしていく必要に迫られていました。これをサポートするには、県が主体となるよりも、より柔軟に、より迅速に対応でき、どんな相談にもワンストップで応えられる総合的な支援機関があれば、中小企業の皆さんが利用しやすいと考えました。こうして設立させたのがISICOでした。

- 設立に当たって、どんな工夫を凝らしましたか。

 石川県には、もともと機械や繊維などの基幹産業をはじめとするものづくり企業や高等教育機関、研究機関が高度に集積し、特定の分野でシェアトップを誇るニッチトップ企業を数多く輩出するなど、新産業を育んでいく環境が整っていました。
 こうした財産を生かして、企業の取り組みをサポートしていく体制が必要と考え、設立前に米国のシリコンバレーを視察し、ベンチャー企業の育成支援や地域資源活用の仕組みを大いに参考とさせていただきました。そのため、設立当初は石川版シリコンバレーを目指し、「産学官連携による新産業創出」や「ベンチャー支援」といった将来の新産業の芽を育てていくための取り組みに重点を置きました。
 その後、社会・経済情勢の変化に合わせ、企業のニーズに機動的、弾力的に対応するため、ファンドの活用により、新製品開発や次世代の産業の創出を支援してきたほか、近年では、少子高齢化による国内市場の縮小傾向などを踏まえ、海外販路開拓支援や事業承継支援等、ISICOの事業領域を拡大させ、支援制度を充実、強化しています。
 これからも事業領域を限定するのではなく、県内中小企業のニーズを把握しながら、さまざまな支援策を柔軟かつ迅速に展開することが大切だと思っています。

- 今日までの成果をどのように感じていますか。

 石川県には、高い技術力を持つ、開拓精神の旺盛な中小企業が多くあります。ISICOは、こうした中小企業が新商品や新技術の開発、販路開拓にチャレンジする際の仲介役としての役割を果たしてきました。
活性化ファンド創設10周年を記念して2018年5月に開催された商品展示会の様子の写真 支援メニューの中でも代表的といえるのが「いしかわ産業化資源活用推進ファンド(活性化ファンド)」を活用した補助事業です。本県が有する食や伝統工芸などの文化の集積、豊かな自然などの地域独自の資源を生かした新商品開発・販路開拓を資金面で積極的に後押ししたいという思いから、2008年に国や地元金融機関の協力を得て、300億円という全国でも類をみない規模のファンドを創設しました。これまでに440件を超える商品開発を支援し、このうち約90%が商品化に成功しました。こうした実績が国や県内企業から高く評価され、2018年に期限を迎えた支援制度をさらに10年延長するとともに、規模を総額400億円に拡大し、「いしかわ中小企業チャレンジ支援ファンド(チャレンジ支援ファンド)」としてリニューアルし、支援を充実、強化しています。
 また、ISICOが企業からの相談にワンストップで対応する窓口相談・訪問指導の件数は、設立当時の年間1,770件から、今では11,990件と約7倍に増えました。この数字は県内中小企業のあらゆる課題に対応するよろず相談所として、定着した証左といえるのではないでしょうか。
 現在の本県は経済指標が全国トップレベルで推移しています。これは、県内中小企業の皆さんが苦しいときも歯をくいしばって一生懸命に取り組んできた成果といえますが、ISICOも縁の下から中小企業を支えることで、その発展に少なからず貢献できたのではないかと考えています。

- この20年を振り返ると、2007年の能登半島地震、2008年のリーマンショックに端を発する世界同時不況が県内企業にとって逆風となりましたが、2015年の北陸新幹線の金沢開業は力強い追い風になりました。

 県政史上、未曽有の大災害となった能登半島地震では、能登の産業が大きな痛手を負いました。地震による被害をきっかけに廃業が相次ぐようなことがあっては、能登の経済の地盤沈下につながりかねないという危機感から、被災した中小企業の再建にスピード感を持って対応するため、国と県が合わせて300億円を出資して、ISICOに「能登半島地震被災中小企業復興支援基金」を設置しました。酒造業、商店街、伝統産業を中心に能登の皆さんの事業用施設の復旧や販路開拓などの取り組みを後押ししてきたことで、今日の復興へとつながりました。
 また、世界同時不況の際には、県内の経済・雇用情勢も急激に悪化し、極めて厳しい状況に追い込まれました。こうした事態を打開するため、県とISICOでも、経営や金融に関する特別相談窓口を開設するとともに、日本政策金融公庫と連携し、資金面での支援を強化するなど、県内企業と問題意識を共有しながら、しっかりとサポートしました。
 一方で、2015年の北陸新幹線の金沢開業は大きな追い風となりました。開業から4年が経ちましたが、これほど経済効果が表れるとは誰も予想していなかったのではないでしょうか。
 本県には食や伝統工芸などの本物の魅力がたくさんあります。以前はこの魅力が首都圏に十分伝わっていませんでしたが、北陸新幹線の金沢開業を機にしっかりと伝わるようになりました。このことを中小企業の皆さんもうまく利用して、首都圏の販路開拓に取り組んでおり、製造業などでも好影響につながっています。
 このように、追い風が吹いているときも、経済が下り坂のときも、中小企業に寄り添って問題意識を共有し、しっかりサポートしていくことがISICOの使命だと考えています。

- 現在ISICO では四つの役割を掲げています。その一つ、「新産業の創出支援」に関する事業について聞かせてください。

 先ほど紹介したチャレンジ支援ファンドに加え、2010年に創設した「いしかわ次世代産業創造ファンド(次世代ファンド)」では、今後成長が期待される次世代産業を創出、育成するため、産学官の連携による革新的な研究開発を支援してきました。2014年にはファンド規模を130億円から300億円に拡充し、「炭素繊維」「航空機」「ライフサイエンス」「エネルギー・低炭素化」といった分野での研究開発を重点的に支援しています。特に、炭素繊維分野では、研究開発の段階から事業化の段階へと移り、着実に成果も出てきており、今後、県内の産業を支える裾野の広い次世代産業として大きく育つことを期待しています。
 さらに、企業の生産性向上を目的として近年導入が進んでいるAI(人工知能)・IoT(※)等について、企業ごとの課題に応じて、資金面・技術面・人材育成面から総合的に支援しています。企業からは、AI・IoT導入により時間外労働が減少し労働生産性が向上したなどの効果を実感する声を多く聞いており、想定を上回る要望があったため、今年度は、AI・IoT設備導入への支援助成枠を倍増するなど、さらに支援策を充実、強化することにしました。
 また、2007年から毎年開催しているビジネスプランコンテストは今や全国屈指のコンテストに成長し、県内外から多くの応募があります。優秀な事業計画を提案した起業家には、事業資金を提供するだけでなく、ISICO、県工業試験場、金融機関等からなる支援チームが集中支援を行っています。コンテストを通じて数多くのベンチャー企業が育ち、中には、ニッチトップ企業に向けて成長している企業もあります。
 今後とも、こうした取り組みを通じて、一つでも多くの新たなニッチトップ企業を育成していきたいと考えています。

(※)IoT:ものや人からインターネットを通じてデータを収集し、活用する仕組み

- 次に「新市場の開拓推進」に関する事業について聞かせてください。

 先ほど紹介した「受注開拓懇談会」に加え、2008年からは、大手メーカーの技術開発者に対して、県内企業の優れた新技術・新工法を直接提案する「技術提案型展示商談会」を開催し、販路開拓を支援しています。
2018年11月に開催された受注開拓懇談会の様子の写真 また、人口減少により国内市場が縮小する中、海外への販路開拓も積極的に後押ししています。海外でのビジネス展開では、バイヤーとのネットワークの拡大が重要であり、これまで行ってきたビジネス商談会の開催等を通じて本県の食品や伝統的工芸品の魅力を発信してきた結果、開拓したバイヤー数は5年前の約6.8倍、食品や伝統的工芸品の輸出額はこの5年間で約4倍となるなど、着実に成果が上がっています。引き続き、海外でのビジネス商談会の開催や、2018年に設置した海外セールスレップを通じたバイヤー招へい型商談会の実施等により、現地バイヤーとのネットワークをさらに拡大し、県内企業の海外販路開拓を後押ししていきます。

-続いて「経営基盤の強化推進」に関する事業について聞かせてください。

 企業が抱える課題や問題点は多岐にわたるため、ISICOでは外部専門家派遣や設備導入、人材確保・育成支援等を通じて、企業の経営基盤の強化をサポートしています。特に、近年では企業の人手不足は喫緊の課題となっています。
 県では、「いしかわ就職・定住総合サポートセンター(ILAC)」を設置し、石川への移住・定住と就職のワンストップ支援に取り組んでおり、昨年度の本県への移住者数が、ILAC設置前の14倍となるなど、着実に成果を上げています。
 また、働く意欲はあるけれど求職活動をしていない女性や高齢者の就労を促進するため、求人と求職の間のミスマッチを解消する取り組みを行っているほか、国プロジェクトの採択を得て、企業が採用した女性や高齢者の職場定着に向けた人材育成研修の助成を行っています。
 人手不足の解消は、一朝一夕で解決できるものではありませんが、今後とも、県やILACと連携を図りながら、ありとあらゆる対策を講じていきたいと考えています。
 そして、経営者の高齢化や人口減少により後継者の確保が困難になっています。ISICOでは、2015年に「石川県事業引継ぎ支援センター」を設置し、事業承継に係る経営上の問題や課題に幅広く対応しています。今年度は、経営者向けセミナーや個別相談会の回数を拡充し、さらなる普及啓発を図っていきます。

- 最後に「産業振興施設の管理運営」に関する事業について聞かせてください。

 ISICOが管理、運営を行っている地場産業振興センターは、県内企業の皆さんに、研修や会議などで幅広く活用され、毎年40万人を超える方々にご利用いただいているほか、支援機関の集積という役割を果たしています。また、ISICOの発足と同時期に開設した能美市の「いしかわサイエンスパーク」では、「いしかわクリエイトラボ」や「いしかわフロンティアラボ」を整備し、ベンチャー企業の活動を支援してきました。これからも、常に利用者目線で管理、運営し、県内企業が支援を受けやすい環境づくりに努めていきます。

- 県内企業の支援機関としてさらに存在感を高めていくため、ISICOは今後、どのように取り組んでいくべきでしょうか。利用者へのメッセージと合わせて聞かせてください。

 県内中小企業のニーズは多岐にわたりますが、ISICOは、個別、具体のニーズに寄り添って、柔軟かつ迅速に対応していくことが、今後ますます存在感を発揮するために必要だと考えています。
 また、この20年の間、県内中小企業の皆さんのよりどころとして、企業の皆さんの取り組みをきめ細かくサポートしていく中で、期待に応えられるだけのスタッフや支援策、ノウハウがそろいました。これは、いわばISICOが育てられたという見方もできると思いますし、多くの県内中小企業の皆さんに利用してもらうことでISICOがさらに成長し、県内中小企業の中核的支援機関としての存在意義を高めることにつながると思います。今後とも、企業の皆さん方がさらに大きく成長できるよう協力を惜しみませんので、ぜひ積極的に活用してください。

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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備考 情報誌「ISICO」vol.106より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.106