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ISICOが手がける取り組みについて、連携したり利用したりする側の皆さんはどのように感じているのでしょうか。産官学金の有識者に、これからの期待も含め、客観的な視点から語ってもらいました。
株式会社アイ・オー・データ機器 代表取締役会長
細野 昭雄(ほそのあきお) 氏
PROFILE
石川県金沢市出身。石川県立工業高等学校電気科卒業。ウノケ電子工業(現PFU)などを経て1976年に自宅のガレージを事業所として、コンピューター周辺機器を製造するアイ・オー・データ機器を設立し、社長に就任。一代で上場企業を築き上げた。2017年から現職。石川県情報システム工業会顧問。I-O DATA財団代表理事。
ISICOが2007年から開催するビジネスプランコンテストでは毎年、審査委員長を務めています。県内外から集まる参加者数は年々増えている上、業種も幅広くなり、提案内容も随分とレベルアップしていると感じます。参加者には、コンテスト当日にアドバイスを送るのはもちろん、終了後も交流が続いているケースもあり、経営の先輩としてお役に立てているとすればうれしい限りです。
私が創業した頃と比べれば、起業家を取り巻く環境は厳しさを増していると感じます。というのも技術の高度化、複雑化が進んだ結果、リソースに乏しいベンチャー企業が、企画から開発、製造、流通、アフターサービスまでを、一貫して手がけるのが難しくなっているからです。それだけに企業同士をマッチングするISICOの役割は非常に重要であり、今後ますます出番が増えるに違いありません。
大学や研究機関などと連携したくても、気後れして二の足を踏む起業家や中小企業の経営者はたくさんいます。こういう場合もISICOが橋渡し役を担ってくれますから、力を借りたい場合は積極的に活用してほしいものです。その際、企業の皆さんには、十分な支援を受けるために、課題とゴールイメージを明確にして相談することをおすすめします。
ところで、北陸先端科学技術大学院大学を核として、ISICOの相談窓口やインキュベーション施設などが集積した「いしかわサイエンスパーク」は、ベンチャー支援の一つのモデルケースと言えます。一つ要望があるとすれば、北陸のビジネスの中心である金沢市の街中、あるいはISICOの近辺にも、同様のインキュベーション施設があるとよいのではないでしょうか。事業スペースを探している起業家やベンチャーはたくさんいます。こうした企業が集積し、お互いの強みを生かし、弱みをカバーし合うことができれば、開発や業化のスピードアップにつながります。
また、ISICOには従来からある海外への販路開拓に対する支援に加え、アジア各国の企業と県内企業との連携を後押しする役割も期待しています。10年後、20年後を見据えれば、県内や国内の企業連携だけでは激しさを増す競争を勝ち抜くことは困難でしょう。ものづくりやソフトウエア開発ではアジア企業との連携なくしては、競争力の維持、向上はかないません。ISICOにはぜひアジア各国の企業の特長や強みを見極め、県内のベンチャーや中小企業との連携をサポートしてほしいと思います。
企業名 | 株式会社 アイ・オー・データ機器 |
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創業・設立 | |
事業内容 | スマホ・TV・パソコン周辺機器の総合メーカー |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.106より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.106 |