本文
ISICOの支援メニューを活用しながら、創意工夫を凝らした取り組みで業績の向上や業容の拡大を果たした県内中小企業の中から、モデル事例として7社を紹介します。
ゼリーやこんにゃくなどの食品加工を手がけるオハラでは、出荷基準を満たさない農水産物を活用した商品開発に取り組んでいます。
出発点となったのは「規格外といえども、生産者の愛情がたっぷりこもっていて味もおいしい。ひと手間かけて商品化すれば、生産者や消費者、販売店に喜んでもらえるに違いない」という小原繁社長のアイデアです。
これまでに能登大納言ぜんざいやルビーロマンのゼリー、能登かきの炊き込みご飯の素などを自社ブランドで商品化しており、生産者とのマッチングをISICOがサポートしました。
こうした取り組みに注目したのが、セブン-イレブンです。同社では現在、オハラがペースト状に加工した五郎島金時を使ってスイートポテトやケーキ、プリン、ようかんなどを商品化し、全国約2万店で販売しています。
取引にあたっては、活性化ファンドの助成制度を活用して焼成機、皮と実の分離機、真空包装機などを導入し、大手コンビニエンスストアが求める設備面や衛生面の基準をクリアしました。現在では、安納いも、なると金時、紅あずまなど、全国各地のブランドさつまいもの加工も担っています。
五郎島金時ペーストの販路はその後、ローソンや江崎グリコ、シャトレーゼにも広がりました。江崎グリコが北陸3県限定で販売する五郎島金時ポッキーは、全国で8種類あるご当地ポッキーの中で一番の売れ行きとなっています。
増え続ける需要に対応するため、オハラでは、平均年齢70歳のシニア人材を活用し、工場を早朝から稼働させるようにしました。現在、五郎島金時などのペースト加工事業は売り上げの15%を占める経営の柱に育っています。
また、小原社長が次なるヒット商品として期待をかけているのが、活性化ファンドの助成金で開発と販路開拓に挑戦した「タピオカ風粒こんにゃく」です。独自の製法によって、タピオカのような食感を実現したほか、こんにゃく特有の臭いや味がしないように工夫されています。タピオカと違って冷蔵しても固くならず、冷凍した状態から解凍しても弾力が維持されるため、より幅広い用途に使えるのが特長です。
ファミリーマートやモスバーガーのスイーツメニューに採用されたほか、粒こんにゃくをスイカの種に見立て、「金沢すいか」の果汁を使ったくずきりと合わせた自社ブランド商品を発売するなど、着々と売り上げを伸ばしています。
製造は当初、人手に頼っていましたが、増産に合わせ、ISICOの支援を受けて採択されたものづくり補助金を活用して機械化。1日の生産量を500キロから2トンへと飛躍的にアップさせ、これを機に一層の販路拡大を目指しています。
企業名 | 株式会社 オハラ |
---|---|
創業・設立 | 設立 1978年4月 |
事業内容 | ゼリー、プリン、こんにゃく、農水産物加工品等の製造・販売 |
関連URL | 関連URLを開く |
---|---|
備考 | 情報誌「ISICO」vol.106より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.106 |