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ISICOの支援メニューを活用しながら、創意工夫を凝らした取り組みで業績の向上や業容の拡大を果たした県内中小企業の中から、モデル事例として7社を紹介します。
金沢を旅行する観光客や結婚式・成人式などに出かける地元客向けに着物のレンタル・着付け事業を展開する心結では、創業以来、利用客を順調に増やしてきました。2010年のオープン時には年間100人程度だった利用客が、今では年間1万人を超え、繁忙期には1日200人以上に着物をレンタルしています。
人気の理由は、着物での金沢散歩が旅をより思い出深いものにしてくれると、カップルや女性グループの観光客に受けたことです。さらに、単に着物で和の街を歩くだけでなく、「金沢らしい時間を過ごしてほしい」(越田晴香社長)という思いのもと提供を始めた各種プランも、レンタル着物の人気をアシストしました。例えば、着付けした後、カメラマンが観光スポットに同行して撮影する「観光地ロケーションフォト」や、和楽器・香道・茶道から好きなものを体験できる「着物de 和の体験」のほか、最近では、近江町市場で金箔海鮮丼を賞味するプランも好評です。
北陸新幹線の金沢開業も、成長を後押しする強力な追い風になっています。特に外国人観光客の増加は著しく、今では利用客の30%強を占めるようになりました。そのため、同社では英語を話せるスタッフを採用し、中国語の通訳とも提携するなど、国際化も進んでいます。
成長曲線を描いてきた一方、利用客の大幅増は予約管理の煩雑さも増大させました。同社では、予約を受け付けると、着物選びや着付け、ヘアセットに要する時間を計算して担当スタッフを割り振っていました。その作業には紙とエクセルを駆使し、毎日3人がかりで4時間近くも費やしていたのです。
そこで、2017年にISICOが紹介したシステム会社に依頼し、導入したのがAI搭載の予約管理システムです。このシステムでは、同社のホームページから予約を受け付けると、AIが自動的に着付けやヘアセットの担当を割り振り、予約確定メールを送信します。もちろん、自動処理は完璧ではないので人の手による調整が必要ですが、それでもスタッフ1人が30分ほどかけるだけで済むようになりました。
システム導入に限らず、越田社長は「起業を計画している段階からISICOのサポートを受けてきました」と振り返ります。起業後も、その年の革新的ベンチャービジネスプランコンテストで優秀起業家賞に選ばれ、特典の集中支援として経理とホームページの開設についてアドバイスを受けました。また、同時に活性化ファンドの助成金を利用して、ホームページとパンフレットを作成し、旅行情報誌に広告を出稿しました。
「創業間もないときも、独り立ちしてからも困ったときはISICOが支えてくれました」と話す越田社長は、「これからも頼りにしています」と、ISICOの専門性の高いサポートに期待を寄せています。
企業名 | 株式会社 心結 |
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創業・設立 | 設立 2010年5月 |
事業内容 | 着物のレンタル・着付け |
関連URL | 関連URLを開く |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.106より抜粋 |
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掲載号 | vol.106 |