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引き出物用バッグをアレンジ 軽くて丈夫で使いやすく、売れ行き好調 ~(株)三輪

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チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

飲食店や結婚式場などに包装資材を提供する三輪(小松市)は、1891年の創業から128年目を迎える。そんな同社が長い歴史の中で初めてオリジナル商品として企画・販売を手がけたのが、トートバッグ「hacobag(ハコバッグ)」だ。試験的に販売を始めた2016年9月から約3年、全国チェーンの生活雑貨店やデパートへ販路を拡大し、売り上げを当初の約20倍に伸ばすなど、ヒットの兆しを見せている。​​​

リンゴは50個、ホールケーキもすっぽり

トートバッグ「hacobag(ハコバッグ)」の写真

 「なんでもハコべる」のキャッチコピー通り、hacobagの一番の特徴は大容量だ。売れ筋のMサイズの場合、高さ30センチ、幅40センチ、奥行き20.5センチとなっており、リンゴならば50個も入り、ノートパソコンやタブレット型端末、手帳といったビジネス用品もまとめてしまえる。口が広く、取り外し可能な底板も入っているので、直径20センチのホールケーキや大皿料理もそのまま傾けずに運ぶことができ、さらにワインボトル2本を追加してもまだ余裕があるほどだ。
 ポリエステル製で、形がシンプルな上、軽くて丈夫な点もポイントの一つ。丸みを帯びた持ち手は握りやすく、肩にかけても使える長さで、“運びやすさ”に重点を置き、徹底的に利便性を追求した商品と言える。
 同社では現在、スタンダードとして4種類のhacobagを展開している。爽やかなスカイブルーのビーチストライプ、鮮やかな黄色の花びらをあしらったレモンフラワー、伝統紋様を用いた七宝ツナギ、大柄なモノクロームドットと、いずれも遠くから見ても目を引くカラフルなデザインが特徴だ。幅広い世代の女性客から人気を集めており、本格的に販売を始めた2017年6月からの1年間で5,000個を売り上げ、その後も右肩上がりで実績を伸ばしている。Mサイズが2,440円(税込み)という手頃な価格も手伝って、季節で使い分けたり、買い物用のエコバッグや習い事用の道具入れといったように用途に応じて変えたりするなど、2個、3個と購入する人も多いそうだ。

付加価値高めた自社商品に活路

 明治期の創業以来、卸売業を営んできた同社がオリジナルトートバッグの企画・開発に乗り出した背景には、卸先を介して届けられるエンドユーザーからの声があった。結婚式場向けに卸していた引き出物用バッグの使い勝手がいいと評判で、式の出席者が持ち帰った後、普段の生活でも使用することがよくあったという。「どこで買えるのか」と、式場への問い合わせも少なくなかった。
三輪毅社長の写真 一方、製造する中国の人件費の高騰や円安傾向による輸入コストの増大などがあり、引き出物用バッグの利益は徐々に圧縮されていた。「機能的で人気はあったが、仕入れ価格がネックとなっていた。この課題を克服するため、デザインの力で付加価値を高めた自社ブランドの販売を思い付いた」。同社の三輪毅社長はこう話し、県内を拠点に活躍する女性デザイナーでつくる金澤女子店舗とコラボレーションして引き出物用バッグをおしゃれにアレンジした「金澤トート」を企画した。これを2016年9月に全国チェーンの生活雑貨店・ロフトの金沢店1周年記念に合わせたイベントで試験的に売り出したのが、hacobagの第一歩となった。

よろず支援や商談会出展が拡販の契機に

 試験販売の手応えは上々で、同社では、外部デザイナーと二人三脚で本格販売に向けた新商品の準備に取りかかった。そんな中、最も頭を悩ませたのが販路開拓だ。これまで企業向け商品を取り扱ってきた同社にとって、一般消費者をターゲットにした営業戦略は初めて。勝手の違う業界への売り込みに戸惑いも大きかった。
 そんな時、突破口の一つとなったのが、三輪社長が相談に訪れた「石川県よろず支援拠点」だ。よろず支援拠点は企業経営に関するさまざまな相談に応えるサポート組織で、経済産業省・中小企業庁が各都道府県に設置しており、石川県内ではISICO内に拠点を構える。この全国ネットワークを生かして紹介された大阪のよろず支援拠点が足がかりとなり、ロフト梅田店への販路が開け、現在では東京・渋谷店でも店頭に並んでいる。
ギフト・ショーに出展した際の商品ディスプレイの写真 加えて、2018年9月には、ISICOがブースを構える「東京インターナショナル・ギフト・ショー」にも初出展し、それをきっかけに引き合いが増えている。同社では今年9月のギフト・ショーへの出展も決まっており、全国展開に向けてより一層、ギアを上げていく考えだ。
 「一般消費者向けのB to Cが不慣れな当社にとって、ISICOのサポートは心強かった。専門家派遣事業も活用し、品質管理や商標登録などについてもアドバイスをいただいた」と、三輪社長は振り返る。

オーダーメイド商品にも注力

 このように魅力ある自社ブランドで新分野への進出を果たした同社だが、hacobagの売り上げはまだ全体の10%程度にとどまる。だからと言って、現在の屋台骨である包装資材に関しても、視界がくっきりと開けているわけではない。人口減少が進む上、包装資材業界は長引くデフレによってダメージを受けており、また結婚式や葬儀も簡素化が進み、市場規模が縮小しているのが現状だ。市場規模が将来を見据えれば、新事業によるてこ入れは欠かせない視点と言える。
日本消化器病学会の総会で配布したオリジナルhacobagの写真。 その一環として、同社ではオーダーメイドのhacobagの生産に力を注いでおり、今年5月に金沢で総会を開いた日本消化器病学会や小松市から注文を受け、記念グッズや土産用としてのコラボ商品を企画した。「単にロゴや社名を入れるのではなく、日常生活の中でバッグを使う場面をイメージし、デザイン性の高さを常に求めていきたい」と三輪社長。
 手にしたお客様が心から喜ぶ商品を-。販売するターゲットが企業でも一般消費者でも、その思いは変わらない。顧客第一を掲げる百年企業のチャレンジは、今後ますます熱を帯びていきそうだ。

企業情報

企業名 株式会社 三輪
創業・設立 創業 1891年5月
事業内容 食品包装資材や厨房備品の卸売り、結婚式場・セレモニーホール向け商材の販売、ホテル・レストラン向け家具の輸入販売、hacobagの企画・販売

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関連URL 情報誌ISICO vol.107
備考 情報誌「ISICO」vol.107より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.107


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