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事業承継を契機に積極的な一手 ハード・ソフトの両面で環境を改善 ~(有)小松鋳型製作所

印刷ページ表示 更新日:2019年9月11日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​

空洞部のある鋳物を造る際に用いる中子(なかご)の専門メーカーとして、50年以上にわたって歩んできた小松鋳型製作所では、2016年に井家勝八(いのいえしょうはち)社長(​現会長)が退任し、息子の洋専務が代表取締役へと昇任した。世代交代をきっかけに、同社ではISICOの支援で採択された事業承継補助金や専門家派遣事業を活用し、職場環境や工程管理手法の改善などに着手。積極的な一手を打つ中で、コスト削減や意識の向上など、目に見える効果が表れ始めている。​

ノウハウと専用機で複雑な大型製品も対応

小松鋳型製作所の職場の様子の写真。20代から70代まで幅広い世代の社員が勤務している。

 小松鋳型製作所の主力である中子は鋳型の中にはめ込む砂型で、鉄を流して固めた後に崩して取り出し、空洞のある形状に鋳造するために使われる。同社では設立以来、積み重ねてきたノウハウを生かし、複雑な形状の中子を得意としている。加えて、専用の製造機となるシェルマシンは、400ミリ四方にまで対応する機種が一般的だが、同社では800ミリ四方のものまで製造できる設備を導入。多彩なオーダーに応える態勢が整っており、織機や工作機械、ポンプなど、さまざまな部品の鋳造に生かされている。
 そんな同社では3年前、年齢による体調への不安もあって、父から息子に経営のバトンが渡された。「現会長の父は、長年にわたって会社の舵取りを一身に担い、強力なリーダーシップで社員を引っ張ってきた。その跡を継いだからと言って、同じようにするのは難しい」。井家洋社長はこう話し、トップダウンではなく、社員一人ひとりの意見に耳を傾けたボトムアップの経営に取り組んできたという。

重い荷物を楽々運搬 ハンドリフターを導入

 その一環として、同社では、2017年度にISICOの支援を受けて採択された事業承継補助金を活用し、ハード面から働きやすい職場づくりを推し進めた。特に、重点的に取り組んだのが工場の環境整備で、老朽化していたコンプレッサーなどの設備を更新するとともに、荷物の移動に使うハンドリフターを新たに導入した。
 背景には、現場からの声がある。工場では女性社員も働いているが、従来は完成品や原材料などを手で運ぶことが多く、かなりの重労働になっていた。その点、ハンドリフターを使えば、ボタン操作だけで複数の荷物をまとめて簡単に移動させることができ、「随分、楽になった」と社員からも好評だ。
 社内の照明も全てLEDに置き換えた。現場からは「明るくなって作業がしやすくなった」との声が多く、省エネだけでなく、働きやすさの向上にもつながっている。

部長も参加して経営環境改善に着手

 さらに、2018年からはISICOの専門家派遣事業を活用。経営分析・調査や工場改革・現場改善などの専門家とともに、工程管理手法の見直しや製造・運搬の効率化など、あらゆる経営環境の改善に乗り出している。専門家が訪れる際は、社長だけでなく、現場のリーダーとなる部長も参加してミーティングを重ね、問題点の洗い出しから改善計画の策定、効果の検証を進めている。
 専門家派遣を受けて1年、いくつかの改善プランが実行されており、その一つが生産計画の見える化だ。かつては毎朝トップから指示された分を製造するだけで、詳細な生産計画は社長など限られた人の頭の中にだけあった。それを社員の誰もが一目で分かるよう、1週間ごとの生産計画をホワイトボードに書き出すように改めたことで、前日のうちに翌日の準備をしたり、スケジュールの厳しい製品に人員を割いたりするなど、社員一人ひとりが考えて行動するようになったという。
中子の写真。手がけるアイテム数は1000点以上。 できた製品から順次運び出していた配送態勢に関しても、生産計画をもとに担当社員が中心となってスケジュールやルートを作成。その生産計画に基づき、事前に効率のよい配送計画を検討することができた結果、燃料費や高速代などの運搬コストを20%近く縮減できたという。
  「社内だけで経営改善に取り組んでも、やり遂げる雰囲気にはならず行き詰まっていたかもしれない。第三者の専門家が入り、客観的なアドバイスをいただくことで、前進できた部分は多い」と、笑顔を浮かべる井家社長。現場改善を通して社員の意識が高まっていることにも大きな手応えを感じている。

企業体質の強化に向け食品用焼き型を大黒柱に

 とはいえ、輸入する原材料や輸送費の高騰などもあり、同社を取り巻く環境は決して楽観視できない。改善に向けた取り組みはまだまだ道半ばであり、現在は製造技術のマニュアル化を進めている。「私たちの仕事は職人的な面がある。経験に基づくベテラン社員の技術を見える化し、若い世代に伝えていきたい」と井家社長は話す。
井家洋社長の写真。 また、中子製造と並ぶ大黒柱の確立にも力を注いでおり、鋳造に長年携わってきた技術力をベースに、たい焼きやマドレーヌを焼く食品用焼き型のオーダーメイドも手がけている。ゆるキャラや観光地の風景などをモデルとした注文が多く、社内デザイナーが製品のデザインを行い、社内の3Dプリンターで即時に見本を製作するなど、顧客の要望にきめ細かく対応。全国各地から注文が届いており、同社では現在、売り上げの30%近くを占める食品焼き型の事業を一層拡大していく方針だ。10年先を見据えた同社の企業体質強化に向けた取り組みは、これからが本番と言えるだろう。

企業情報

企業名 有限会社 小松鋳型製作所
創業・設立 創業 1967年3月
事業内容 鋳物用中子の製造、鋳造モデルやオリジナル焼き型の製作など

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関連URL 情報誌ISICO vol.107
備考 情報誌「ISICO」vol.107より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.107


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