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新旧の技術組み合わせ器を創作 一流の料理人から高い評価 ~secca inc.((株)雪花)

印刷用ページを表示する更新日:2019年11月28日更新

あの受賞者のその後にフォーカス!   

「Landscape ware」シリーズの器の写真大地を想起させる起伏とそれによって作られる陰影が美しい器の写真

ISICOでは2007年から毎年、ビジネスプランコンテストを開催し、優秀な事業計画を提案した起業家に対しては集中的に支援し、アイデアの実現を後押ししている。ところで、厳しい審査を勝ち抜いた起業家がその後どのように成長したのか気になる読者も多いのではないだろうか。そこで今回は2015年度のコンテストで優秀起業家賞に選ばれたseccaの上町(うえまち)達也代表取締役CEOと柳井友一取締役CCOの取り組みについてレポートする。​

新たな表現、新たな価値を求めて

上町達也代表取締役CEOと柳井友一取締役CCOの写真 「ものづくりをアップデートしたい」。上町代表がそう話すように、seccaは金沢を拠点に最先端の技術と伝統的な技術を組み合わせてものづくりのプロセスを見直し、これまでにない新たな表現、新たな価値を生み出すベンチャー企業である。
 取り組みの一つが、ビジネスプランコンテストで発表した器づくりである。現在までの代表作である「Landscape ware( ランドスケープウェア)」と名付けられたシリーズは、大地を想起させる起伏とそれによって作られる陰影が美しい器だ。
 中にはメビウスの輪のようにひねりを加えた形状もある。こうした形状は手作りするのが難しく、再現性も低いが、seccaではデザインや設計、型づくりに3D-CADや3Dプリンター、3D切削機といった最新のデジタル技術を活用し、複雑で立体的な表現を可能にしている。もちろん、ベースとなるのは伝統的な焼き物の技術であり、漆や金銀箔などの職人と連携することもある。
 人脈を通じて、あるいは器そのものが広告塔の役割を果たし、seccaの器は、現在までに「銭屋」「浅田屋」といった金沢の有名料亭のほか、東京の星付きレストランなどにも採用されている。

体験の提案へ。レストラン事業にも参画

 器はあくまでも“もの”であり、人の心が動かされて初めて価値が生まれるとの考えから、器を通じて食体験を提供することも事業の大きなテーマだ。その際、重要な役割を果たすのが料理人で、上町代表は「seccaの器を使って、新たな料理を思いついたと言ってもらえることが一番の褒め言葉。新たな食体験を料理人と作り上げていきたい」と話す。
陶器で制作したシャンデリアの写真 国内外からシェフが集まり、コラボレーションする食の実験場というコンセプトで、今年の暮れに金沢市片町で開店予定の「 A_ Restaurant( ア レストラン)」では、seccaも運営のコアメンバーとして参画し、器やアートピース(美術品)、照明などの制作、コーディネートを担当。他では経験できない食体験を提供しようと着々と準備を進めている。
 器のほか、アートピースの制作も手がけ、こちらも12月に京都で開業するホテルのメインレストランのシンボルとして採用されるなど、実績を積み上げている。新たな音楽体験の提供を目指し、プロミュージシャン向けのオリジナル楽器の制作にも取り組んでいる。

資金や経営ノウハウの獲得 コンテスト参加が助けに

 そもそも二人は金沢美術工芸大学を卒業後、それぞれ大手の光学機器メーカー、音響機器メーカーで製品デザインに携わっていた。しかし、数年掛けて生み出した製品が、1年後にはワゴンセールに並んでしまうといった具合に、“もの”の価値が短期間で消費されてしまう現状に疑問を感じて相次いで退職。孫の代まで使ってもらえるような、長く愛されるものづくりを模索するうち、二人は金沢で再会し、事業活動を具体化させていった。
 設立間もない頃、二人の頭を悩ませたのが資金調達である。実績や信頼性に乏しいベンチャー企業だけに、金融機関や投資家から融資や出資を受けるのが難しく、わらにもすがる思いで参加したのが、ISICOが主催するビジネスプランコンテストだった。二人は97人の参加者の中から見事に優秀起業家賞に選ばれ、100万円のスタートアップ資金を獲得。それを開発費用のほか、人脈づくりやクライアントと打ち合わせをする際の旅費などに充て、その後の成長の糧とした。「ビジネスプランコンテストで得た資金は、使い途に制限がなく、報告書も簡素で、やってみないと何も見えてこないベンチャー企業にはとても理解のある支援だった」と上町代表は振り返る。
 また、受賞企業に対するISICOの支援チームによる定期的なフォローアップが、経営ノウハウの不足を補う大きな力となった。中小企業診断士の資格を持つ職員の指導の下、事業計画を策定したり、状況に応じて軌道修正を図ったりすることで、着実な成長につながった。ISICOの専門家派遣制度も利用し、弁理士から秘密保持契約書の作成、意匠権の管理などについてアドバイスを得た。

工業デザインも好調 売り上げのベースに

 こうした取り組みが奏功し、初年度は100万円に過ぎなかった同社の売り上げは右肩上がりに伸び、現在、8,000万円に達している。
 もっとも、器などの自社製品はまだ全体の30%ほどで、売り上げの70%を占めているのは工業製品のデザインだ。工業製品のデザインも好調で、例えば、2017年からは石川樹脂工業(加賀市)が展開する食器ブランド「 Plakira(プラキラ)」シリーズのデザインを手がけ、星野リゾート(長野県)のラグジュアリーホテル「星のや」に採用されるなど、販路拡大に貢献している。
手作業で制作している風景の写真 さらに、石川樹脂工業とのタッグで、伊藤園(東京都)がキャンペーンでプレゼントする樹脂製の急須のデザイン、製造も受注した。
 上町代表によれば、今はまだ、工業製品のデザインで得た利益を、自社製品を開発するために投資している段階とのこと。将来的には工業製品のデザイン、器やアートピース、楽器といった自社製品がそれぞれ単独で利益を確保できる状況を作り、新たに生まれた資金を次の事業の種に投下することで、持続的な会社の成長と社内活性化につなげていく考えだ。

企業情報

企業名 secca inc.(株式会社 雪花)
創業・設立 設立 2013年8月
事業内容 工業製品の企画・デザイン・コンサルタント・自社製品の開発・製造・販売

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.108
備考 情報誌「ISICO」vol.108より抜粋
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掲載号 vol.108