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ものづくり補助金で3D切削機など導入 試作品製作のリードタイムを大きく短縮 ~(有)ジータ

印刷用ページを表示する更新日:2019年11月29日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​​

石川県内や関西、中京地区の大手産業機械メーカーなどに機械設計サービスを提供するジータ。同社はそもそも、水戸一博社長が以前在籍した機械設計事務所でできなかったものづくりを視野に入れ、堀畑英明専務と立ち上げた会社だ。「ものづくり補助金」を活用して、3D切削機などを導入し、生産体制を強化したほか、ISICOが運営するインキュベーション施設「いしかわクリエイトラボ」への入居をきっかけに人脈を広げ、開発のスピードアップやレベルアップにつなげている。​

補助金の申請書作成 専門家がアドバイス

3Dプリンターと3D切削機の写真。これらを活用して納期の短縮、効率化などを実現した。 従来は工場でしかできなかった製造業務をオフィスで。卓上サイズの加工機の登場、普及によって、そんな「デスクトップファブリケーション(机上工場)」の世界が広がりを見せている。
 県内でデスクトップファブリケーションを実現している企業の一つがジータだ。同社のオフィスの一角にある3畳ほどのスペースでは、3D切削機やミニ卓上旋盤、卓上フライス盤といった小型の加工機がまさに事務机の上に設置され、今か今かと出番を待っていた。
 同社では、設計業務で取引する産業機械メーカーなどからの受託開発というかたちでものづくりも手がけており、そのための試作品の製作、あるいは実機の評価段階で判明した不具合を修正する際の部品製造などに、こうした加工機を活用している。
 「従来、部品の製造は外注し、その場合は発注から納品まで、2、3週間を要していた。社内に加工機を導入してからは、早ければその日のうちに作ることができるようになり、大幅にリードタイムを短縮することができた」(水戸社長)。
 また、部品の製造を加工業者に外注する際は設計データとは別に、部品図(三面図)を作成する必要があるが、3D切削機の場合は3D-CADのデータをそのまま入力するだけで加工できるため、省力化につながっている上、寸法などの変更にも容易に対応できるようになった。
 こうした設備の導入には、ものづくり補助金を活用した。補助金の申請に当たってはISICOの職員の支援を受け、申請書や導入計画の作成に取り組んだ。水戸社長は「申請書の作成では、読み手の目線から的確なアドバイスをもらえて助かった。次に申請する際もぜひお願いしたい」と笑顔を見せる。

設計業務にとどまらず省人化装置などを開発

 水戸社長は本業の設計にとどまらず、昔から好きだったものづくりにも取り組みたいと2004年にジータを創業した。夢の実現に向け、第一歩を踏み出したのは約10年前で、内部に小型の加速度センサーを仕込み、勉強時間を測ることのできるペンの開発にチャレンジした。残念ながら商品化には至らなかったが、製品化の難しさを実感すると同時に、ものづくりへの意欲を新たにする機会となった。
水戸一博社長の写真。 取引先からの依頼を受け、同社が再びものづくりに携わるようになったのは2012年のことだ。これまで培った機械設計技術に、IoT(※)をはじめとするICT(情報通信技術)を取り入れ、例えば、入庫してきた部品の仕分け先をLEDの光で誘導するシステムなど、オリジナルの省人化・省力化装置などを開発、製造している。IoTに不可欠なウェブや通信環境を構築するソフトウェア技術に関しては、県工業試験場電子情報部のアドバイスが大きな助けになっているという。
 2016年にはISICOの職員からの勧めもあり、「いしかわクリエイトラボ」にも研究拠点を構えた。これによって、北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の研究者や産学官連携コーディネーター、県をはじめとする行政職員とのネットワークが広がり、取り組みの充実につながっている。
(※)IoT:ものや人からインターネットを通じてデー タを収集し、活用する仕組み

クリエイトラボ入居後多彩なパートナーと連携

 クリエイトラボへの入居をきっかけに始まった取り組みの一つが、同じく入居企業であるサイテムとの連携である。サイテムは次世代エネルギーとして注目されている水素の発生、貯蔵に関する技術や製品を研究開発する企業だ。ジータでは、ガスボンベに代わる新たな水素供給ツールとしてサイテムが製造する水素を吸収・放出する特性を持つ水素吸蔵合金を充填した容器の生産や管理を、IoTを活用して効率化できないか研究している。水素漏れを検知する機器の設計、製造も手がけ、製品デザインや3Dプリンターを使った試作品製作にはJAISTの永井研究室の協力を得た。
 また、ジータでは、JAISTが主催する産学官金連携マッチングイベント「Matching HUB(マッチングハブ)」に参加したことを契機に和歌山大学の秋山演亮(ひろあき)教授、宇宙機器設計・製造会社オービタルエンジニアリング(神奈川県)の山口耕司社長と連携し、防災・減災に向けたLPWA活用の研究・開発にも取り組んでいる。LPWAとは少ない電力で広範囲に電波が届くIoT向け無線ネットワークのことで、ジータではその一つである「LoRaWAN」を使って、降雪の強さを赤外線センサーで測定し、市庁舎などに情報を送る仕組みの構築を目指す。水戸社長は「将来的には融雪装置のスマート制御に活用できるのでは」と期待を寄せる。

東大先端研との共同研究がスタート

 今年9月には、県とISICOが連携協定を結ぶ東京大学先端科学技術研究センター(以下、先端研)と共同で取り組む新技術・新製品開発事業化可能性調査事業にジータが採択された。これも、クリエイトラボに入居後、先端研のラボ見学ツアーに参加したことが端緒となった。
 共同研究のパートナーは、人間拡張工学の専門家である先端研の稲見昌彦教授で、目指すは「製造業とスポーツの融合を図ったパワーアシストシステムの開発」だ。配管用のパイプを人の手で曲げるための「パイプベンダー」と呼ばれる工具にモーターを取り付け、人力だけでは不足する分を補うほか、スポーツのように楽しく作業できるような工夫を取り入れる。
パイプを曲げるための工具の試作機の写真。 「きつい仕事を楽しくできるようになれば、製造業の人手不足解消につながる。女性や筋力の衰えを感じる高齢者にも使ってほしい」。水戸社長はそう話し、まずは作業者からのヒアリングや試作機の開発を進め、事業化の可能性を探る。
 ものづくりの取り組みが多岐に広がる現状を受け、「まだ道半ばだが、やりたいことに近づいている」と話す水戸社長。今後もクリエイトラボを利用することで得られる人脈や情報を有効活用し、受託開発の売り上げを機械設計と同程度にまで伸ばそうと意欲を燃やしている。

企業情報

企業名 有限会社 ジータ
創業・設立 設立 2004年6月
事業内容 受託開発サービス、機械設計サービス、水素関連機器設計製作および販売

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.108
備考 情報誌「ISICO」vol.108より抜粋
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掲載号 vol.108