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高耐熱性繊維で大口径の組紐を開発 次世代ファンド事業で製紐機など導入 ~谷口製紐(株)

印刷用ページを表示する更新日:2020年3月25日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

谷口製紐(たにぐちせいちゅう)は、ナイロンやポリエステルはもちろん、炭素繊維やアラミド繊維など、糸の扱いが難しいスーパー繊維を組紐(くみひも)として加工する高度な技術を有する。2018年には、ISICOの次世代ファンド事業の助成金を活用し、耐熱性に優れたアルミナ繊維を使って大口径の円筒状の組紐を開発することに成功した。これは大型ガラスの製造ラインに組み込まれている搬送用ローラーの保護材として用いられる製品で、技術力のさらなる向上につながった。​​

織物の欠点を克服 優れた伸縮性で汎用可能に

さまざまな繊維を組紐に加工する製紐機の写真。 谷口製紐が開発した保護材は現在、大手板ガラスメーカーの海外主力工場で実証試験の真っ最中だ。評価は上々で、今後の継続受注を見込んでいる。
 板ガラスは、溶融したスズの上に溶かしたガラスを浮かべ、徐々に冷却しながら連続的に引き出すことで作られる。この際、板状になったガラスは石膏製のローラーを使って搬送されるが、ローラーがむき出しのままではガラスの表面に傷が付くため、円筒状の保護材がかぶせられている。
 保護材にはこれまで、1,000℃以上の高温に耐えられるアルミナ繊維の織物が使われていた。しかし、織物を円筒状にするには両端を縫い合わせる必要がある上、ガラスの精度に影響しないよう縫い目を消す後加工が欠かせない。また、製造ラインでは、直径の異なる数種類のローラーが使われており、それぞれのサイズにぴったりの保護材をオーダーメードするため、非常に高価だった。
 従来品のこうした欠点を克服したのが、同社が手がけた保護材である。円筒状にした組紐にはそもそも縫い目がなく、後加工は必要ない。さらに、織物と違って組紐は伸縮性が高く、直径130mmの保護材を作っておけば、それだけで直径120mmから140mmまで、さまざまなサイズのローラーに対応可能で、大幅なコストダウンに貢献した。

ISICOの助成金が開発を後押し

大口径組紐の試作品の写真。次世代ファンド事業に採択され、開発に取り組んだ。 開発のきっかけは、原糸メーカーを通じて大手板ガラスメーカーから要望を受けたことだ。大口径の組紐製造に必要な製紐機や糸の準備に使う自動管巻機はISICOの次世代ファンド事業の助成金で導入した。
 直径130mmという大口径の製品は同社にとっても初めてのチャレンジである。最も難しいのは糸の長さをきっちりとそろえた上で、製紐機にかけることだった。組紐に使われる糸は、細い糸を何本も束ねて作ったものである。その1本1本の長さがばらばらでは、組紐になったときに表面が滑らかにならず、でこぼこになってしまうのだ。これではガラスの品質にも悪影響を与えかねない。
 しかも、アルミナ繊維は他の繊維に比べてもろく、極めて扱いが難しい。そこで同社では、製紐機にかけるボビンに糸を巻く際の張力を細かく調整したり、アタッチメントを自作したりしながら、糸の長さをそろえるノウハウを確立した。
 谷口道夫社長は「開発案件は次から次へと持ち込まれるが、経営資源は限られているため着手できないものも多い。今回開発に取り組むことができたのは次世代ファンド事業の後押しがあったから。非常に助かった」と振り返る。

取り組みが評価され、新たな開発依頼も

 同社ではそもそも、御守りや絵馬の飾り紐、靴紐、ネックストラップをはじめ、車や家電で使われている絶縁用の工業資材など、高度な組紐技術を生かして幅広い製品を製造している。
 付加価値の高い仕事を求め、炭素繊維やアラミド繊維といった高性能のスーパー繊維を組紐として加工する研究をスタートさせたのは2001年にさかのぼる。以後、既存の製紐機で組めない素材は、その特性に合わせて専用設備を独自に作るなど、技術を磨き上げてきた。その結果、炭素繊維の組紐を作ることに成功。今では、大手自動車メーカーから次世代車の部品の試作を依頼されるなど、その実力は折り紙付きだ。炭素繊維の加工は難度が高い分、単価も高く、今では売り上げの30%を占めるまでになっている。
 今回の大口径組紐の開発にも、高い評価が寄せられており、製品の供給先である大手板ガラスメーカーからは新たにシリグラスという耐熱性ガラス繊維を使った製品の開発を持ちかけられた。要望に応えるため、谷口製紐では次世代ファンド事業で導入した製紐機と同じタイプの設備を自己資金で追加購入し、開発をスタートさせている。

金属に代わる素材として商機の拡大目指す

谷口道夫社長の写真。「大口径の組紐を製造する技術の確立によって、新たな販路の拡大にもつながっている」と話す。 他社が容易にまねのできない技術の確立によって、谷口製紐の業績は右肩上がりに伸び、昨年5月に父親から経営のバトンを受け継いだ谷口社長は、年率8%の成長という経営目標を掲げる。
 今後の飛躍に向け、有望視しているのが、これまで金属で作られてきた製品への組紐技術の応用だ。例えば、炭素繊維の組紐を樹脂で固めた炭素繊維複合材料(CFRP)でボルトを作れば、金属製に比べて軽く、さびて強度が落ちることもない。また、同様の技術で漁網を作れば、従来のステンレス製に比べて大幅に軽量化され、船の燃費が向上するなどのメリットが得られる。
 さらに、義足を人体に取り付ける際に使用するソケットに、大口径の組紐技術を用いたCFRPを使いたいといった相談も持ちかけられるなど、ビジネスチャンスは着実に拡大している。
 「新しい市場で組紐を使ってほしい。そのためにも技術を高度化し、世界にインパクトを与えるようなものを作りたい」と意欲を燃やす谷口社長。技術力、開発力の強化に向け、アクセルを全開にする。

企業情報

企業名 谷口製紐 株式会社
創業・設立 設立 1991年10月
事業内容 ガラス繊維の撚糸、丸打ち・平打ち組紐の製造・販売

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関連URL 情報誌ISICO vol.110
備考 情報誌「ISICO」vol.110より抜粋
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掲載号 vol.110