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前立腺がん手術後の尿失禁を軽減 装着感よく、長時間の連続使用が可能に ~(株)公進都市企画

印刷用ページを表示する更新日:2020年10月7日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

高齢化や食の欧米化などを背景に、男性特有の臓器である前立腺に生じる「前立腺がん」が増加傾向にある。現在、男性のがんでは最も多く、その標準治療の一つが外科手術だ。ただ、手術後、大半の人が尿漏れを経験し、中には長年にわたって症状が改善されない人もいる。白山市に事務所を構える公進都市企画では、尿失禁の軽減を目的に男性用尿漏れ防止器具「トメレ(TOMERE)」を開発。医療関係者や患者を中心に関心が高まっている。​​​​

全国放送で一気に拡大 悩める人の福音に

トメレ(TOMERE)の写真。 2019年11月に販売を開始したトメレは、内側3カ所に突起のあるシリコン製のループ(輪)にシルクのカバーを取り付け、上部にポリエステル製のベルトが伸びた構造となっている。使用する際はループに男性器を通し、ベルトで調整して適度に圧迫する。尿漏れが発生する原因は、尿道を締めて尿を止める括約筋(かつやくきん)が、手術時にどうしても傷ついてしまうからであり、トメレがその代替機能を果たす。
 同様の仕組みで尿失禁を防ぐ製品は以前からあったものの、締め付け時の痛みから、長時間の着用は困難だった。その点、トメレは尿道を的確に押さえつつ、血流を確保する構造で尿漏れと痛みを抑え、肌触りの優しいシルクが皮膚への負担を軽減する。装着感がよく、日常的に使用できるのが特長だ。
 症状が重度の場合、椅子から立ち上がるなど、腹部にわずかな力がかかっただけで尿が漏れてしまい、仕事や外出に不安を抱える人も多い。トメレは、パッドとの併用とはなるが、この腹圧性尿失禁症状を大幅に改善でき、生活の質(QOL)の向上に大きく貢献する。
 発売に先立って昨年9月に商品化を発表すると、県内ニュースで報じられ、続いて中部・近畿圏、そして全国ネットのテレビ番組でも取り上げられた。「放送後1週間、会社の電話は鳴りっぱなし。尿失禁に悩んでいる男性が、国内にたくさんいることを感じた」と振り返るのは小高康之社長だ。
 トメレは医師の診断を受けた上で医療機関を通して購入可能だ。全国の医療機関からの引き合いや問い合わせは続いており、販売開始から1年足らずで北海道から沖縄まで全国の90機関と提携し、販売数を着実に伸ばしている。

身近な仲間の声が医療機器開発の転機に

 前立腺がんで手術を受けた男性の多くが尿失禁になるとはいえ、95%以上の人は1年以内に支障なく日常生活を送れるようになり、回復が難しい重度の人はわずか数%にとどまる。しかも、同社にとって医療分野に携わるのは初めて。にもかかわらず、未経験の極めてニッチな市場に狙いを定めたきっかけは、悩みを抱えた仲間の声だった。
 同社のグループ会社で、白山麓の伝統工芸・牛首紬(つむぎ)を手がける西山産業(白山市)の役員が、前立腺がん手術後の尿失禁に悩まされていたのだ。役員は何とか日常生活への影響を軽減できないかと、器具の開発に知恵を絞り、2016年には自力でプロトタイプを製作した。そこで、小高社長は役員が通っていた公立松任石川中央病院の主治医に相談したところ、「同じ症状に苦しむ人のためにも商品化を成し遂げよう」と協力を得られたことからプロジェクトがスタートし、開発を本格化させた。

ISICO のサポート生かし想定の3年間で上市

 商品化にあたってネックとなったのは、医療機器の製造販売に関わる登録や認可などの取得である。畑違いの分野に乗り出すため、同社ではISICO内に設置された「石川県よろず支援拠点」を訪れ、相談に乗ってもらうとともに、専門家派遣制度や活性化ファンドなどを積極的に活用した。
JAISTの3Dプリンターを使った試作品の写真 また、医療機器の開発を初期段階から支援する医療機器開発支援ネットワーク(事務局サポート機関:三菱総合研究所)も利用した。「異業種からの参入で戸惑うことばかりだったが、ISICOには、開発過程や規制当局の許可・登録・承認などについてのあらゆる面で助けてもらった。手厚いサポートのおかげで、商品化に必要な一般医療機器の製造業登録や製造・販売業許可、薬事承認が得られ、当初に想定した3年間のスケジュール通りに上市することができた」と小高社長は話す。
試作品の写真 さらに、同社では、ISICOの橋渡しで北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)とも連携。デザイン学などを専門とする永井由佳里教授の研究室と共同で装着感や操作性などを高めるデザインを模索し、JAISTの3Dプリンターを使って試作を繰り返しながら商品化を進めた。臨床試験にあたっては、公立松任石川中央病院からの協力も受けており、トメレは産学官や医商工のコラボレーションから生まれた製品と言えるだろう。

軽症者への利用拡大や将来的な海外進出も視野

 現在、前立腺がん手術による尿失禁の重症患者は累計で1万人いると推定されており、唯一の治療法として、尿道にバンド状のカフを巻き付けて括約筋の代わりとする人工括約筋手術が確立されている。しかし、前立腺がんは加齢とともにかかる患者数が増える病気であり、小高社長は「高齢になってから、人工括約筋を埋め込むために全身麻酔をし、体にメスを入れることに抵抗のある人もいる。まずは、そんな方々にトメレを利用していただきたい」と語る。
小高 康之社長の写真 もちろん、その先の展開も見据え、重症患者だけでなく、仕事・運動をする時や回復期までのサポート器具として、軽症の人の使用にもつなげていきたいと考えている。そして、将来的にはメイド・イン・ジャパンの医療品として海外進出も視野に入れ、造園業や伝統工芸品のネット販売を事業の軸とする同社の第3の柱へと育んでいく計画だ。

企業情報

企業名 株式会社 公進都市企画
創業・設立 設立 1982年11月
事業内容 一般医療機器トメレの販売、造園施工、和食器通販(ネットショップ)「じろや」の運営

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関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.112
備考 情報誌「ISICO」vol.112より抜粋
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掲載号 vol.112

 


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