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航空機産業でより高く飛躍するために技術力向上や設備導入に支援策を積極活用 ~(株)三洋製機

印刷ページ表示 更新日:2020年10月7日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​​

経済発展が進む新興国での旅客・貨物量の増大などを背景に、今後大幅な需要の拡大を期待されるのが「航空機産業」だ。加賀市の三洋製機は1977年の設立以来、航空機部品の製造に取り組んでおり、今年6月には品質適合率100%、納期遵守率100%が評価され、国内の大手航空機エンジンメーカーが全ての取り引き先の中から選定する「ゴールドサプライヤー賞」を受賞。同社では、ISICOの多彩な支援制度を活用し、航空機産業分野で確かな信頼を築き上げている。​

専門家派遣制度でJISQ9100認証取得

次世代ファンドで導入したNC複合旋盤の写真 航空機産業は、今後20年で約3万5,000機の新造機の需要が見込まれ、前途有望な分野として国内外のメーカーが虎視淡々と参入を狙っている。ただ、同じくらい撤退を余儀なくされる企業が存在するのも事実だ。その理由は、厳格な品質基準にある。
 航空機には、現代のテクノロジーの粋が詰まっているだけに、部品一つ一つにも高い技術力と品質管理体制が求められる。そんな厳しい水準を証明する指標と言えるのが、航空宇宙分野のマネジメントシステム「JISQ9100」だ。航空機産業の製造に関わる上で不可欠とも言える認証で、三洋製機ではその取得を目指してISICOの専門家派遣制度を活用。コンサルタントのアドバイスを受けながら航空宇宙・防衛産業界における品質マネジメントシステムを構築し、2011年8月に取得した。ちなみに、ISICOではこれまでも中小企業のJISQ9100取得をサポートしており、同社も含めて15社が認証を取得して航空機産業進出への足がかりとしている。
 同社では人材育成でも専門家派遣制度を利用している。航空機は部品点数は多いものの、自動車のように大量生産されるものではなく、多品種小ロットでの受注がベースだ。同社でも多くて数百個、少なければ1個単位で製造しており、多岐にわたる製品を扱う上で、経験に裏打ちされた熟練工の勘やコツに頼る部分が少なくなかった。そこで、ベテランのノウハウを若手でも実践できるよう、外部の助言を生かし、昨年から作業の標準化に力を注いでいるところだ。

NC複合旋盤を導入し生産力が30%アップ

 高品質な加工を実現するため、設備の導入にも積極的だ。2019年12月には、ISICOの「いしかわ次世代産業創造ファンド」の助成金を用いてNC複合旋盤を設置した。採用したのは、切削や穴開けなどのさまざまな工程を集約して担う設備で、最初に目標値を入力しておけば、汎用機3台で対応していた作業を1台でまかなうことができる。これにより大幅な時間短縮が可能となり、同社では導入前と比べて30%近い生産性の向上につながった。
彦野宏和社長の写真 加えて、今年9月には、ISICOのサポートのもと「ものづくり補助金」を活用し、NC研磨機を導入した。同社が担う航空機部品では、研磨は非常に神経を使う工程だ。従来は、熟練工が付きっきりで作業に当たっていたが、NC研磨機によって作業者の負担が軽減され、プログラムに従い自動で精度の高い研磨をしてくれるため、大幅な省力化を実現でき、この間、違う作業に従事できるようになった。
 「当社のような規模の会社では、社員一人一人が重要な戦力だ。設備面はもちろん、育児休暇など社内制度の充実を図り、女性社員が活躍できる環境の整備を進めていく」と、彦野宏和社長は語る。

AC Ishikawa参加を機に県内一貫生産体制を構築

 ISICOが事務局を務める「AC Ishikawa(県航空機産業クラスター)」への参加も成長に向けた一歩となった。AC Ishikawa は航空機産業への参入や技術力の高度化、販路開拓などを目的に2017年に発足した組織で、県内企業22社とISICOなどの支援機関で構成されている。同社では、AC Ishikawaの一員として2018年の国際航空宇宙展(会場:東京ビッグサイト)やISICO主催のビジネス創造フェア(会場:県産業展示館2号館)などに出展し、販路開拓に努めている。
 さらに、AC Ishikawa のメンバー2社とともに、2018年には県内一貫生産体制を構築した。連携にあたっては次世代産業創造ファンドを活用して試作品の開発などに取り組んだ。今後は、これまで県外に発注していた表面処理や非破壊検査といった特殊工程を県内企業に依頼することで、より綿密なコミュニケーションや情報交換が可能となり、高付加価値の製品づくりを目指している。

エンジン部品の受注拡大や他分野への進出も計画

 同社では2007年から航空機エンジン部品の製造に参入し、ここ数年で航空機装備品向けと並ぶ事業の柱に成長した。今後も幅広く対応する体制を築くことで、より多くの需要の取り込みを狙う。
同社が手がける航空機部品の一部の写真。特殊工程を除いて、材料調達から加工、検査、納品まで社内で一貫して対応できる体制を整えている。 当然、昨今のコロナ禍で航空機産業の見通しも不透明感が強まっている。「現在のところ受注は落ちていないが、来年、再来年は見通せない部分が多い。だが、より長い目で見ればコロナを乗り越え、市場は順調に成長していくと確信している。一時、苦境に陥ったとしても、企業体質を強化する好機と捉えたい」と、彦野社長は前向きな姿勢を見せている。
 並行して、航空機産業への果敢な挑戦で磨いた技術力を生かした新たな柱の確立にも知恵を絞る。照準を合わせるのが、通信機器部品や産業機器部品であり、同社では、他社が参入しづらい多品種小ロットの製造に活路を見出していく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 三洋製機
創業・設立 設立 1977年7月
事業内容 航空機部品、通信機器部品、産業機器部品の製造

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.112
備考 情報誌「ISICO」vol.112より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.112


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