ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 情報誌ISICO > メニュー > 情報誌ISICOバックナンバー > “氷”の可能性を探求する老舗企業 日本発、業務用氷の輸出を開始 ~(株)クラモト氷業

ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク


“氷”の可能性を探求する老舗企業 日本発、業務用氷の輸出を開始 ~(株)クラモト氷業

印刷用ページを表示する更新日:2020年12月22日更新

チャンスをつかみ、未来をひらく
Seize a chance and open a bright future.​

氷室の仕込みや氷室開きは今も続く金沢の伝統行事で、藩政期には加賀藩がこの雪氷を江戸の将軍家に献上していたとの文献が残っている。そして、時代を経て令和となった今、氷室の名を冠した氷は、石川から遠く海を越えてアメリカにまで運ばれている。手がけるのは1923年創業のクラモト氷業(金沢市)。100周年を間近に控えた老舗企業では、新市場開拓という挑戦が本格化している。​​

カクテルブーム追い風にアメリカ西海岸を開拓

アメリカ市場に売り込む業務用氷の同社のブランド「金沢氷室」の写真。 クラモト氷業がアメリカ市場に進出したのは2019年1月からで、業務用氷を海外に輸出するのは国内初の取り組みとなる。西海岸のロサンゼルス、サンフランシスコやラスベガス、シカゴ、テキサスなどに展開し、現在は東海岸のニューヨークにも狙いを定め、レストランやバーなどの飲食店を中心に出荷している。
 海外市場で展開するのも国内と同じブランド「金澤氷室」で、金沢市湊の製氷工場で作る不純物が極めて少ない純氷だ。家庭用冷凍庫がマイナス20度くらいの設定となっているのに対し、同社ではマイナス8度からマイナス10度ほどで、空気を送り込んで攪拌(かくはん)したり、きれいな水を追加したりしながら48時間かけてじっくりと凍らせていく。こうすることで水中のわずかな空気やミネラル分を取り除き、溶けにくく、溶けてもすっきりとした味わいの純氷に仕上がる。
蔵本和彦専務の写真 「アメリカではグラスに氷を入れてお酒を飲まない人が多く、製氷業は発展していなかったが、近年のカクテルブームでおいしい氷が求められている」と、話すのは海外事業を引っ張る蔵本和彦専務。そんなアメリカの需要をつかみ、高品質が魅力の金澤氷室はコロナ禍でも輸出量を増やし、市場開拓2年目で海外事業の売り上げは同社全体の8%近くに達する見込みだ。ラスベガスのホテルチェーンへの取り引きが決まるなど追い風はさらに強く吹いており、同社では3年目には海外の売上高を全体の30%近くにまで押し上げていく計画を立てている。

SNSでの夢の発信が海外進出の突破口に

 長年にわたって北陸を営業エリアとしてきた同社が、海外進出を思い描いたのは2014年からだ。蔵本専務が新婚旅行で訪れたラスベガスのバーで現地の氷を目にし、商機を感じ取ったのがきっかけで、以来、将来の夢としてアメリカ進出をSNSで発信し続けてきた。
 その思いは、3年後にかかってきた1本の電話で大きく動き出す。相手は日本の食品を扱う商社に勤めるロサンゼルス在住の日本人で、高級なレストランやバーでドリンクに使う品質の良い業務用氷を探していた。ところが、現地では納得のいく製品が見つからず、そんな中、アメリカンドリームを熱く語る蔵本専務のSNSに目が止まったという。そして、同社のホームページなどを通して品質を確信し、海外から直接、電話をかけてきた。実際に顔を合わせ、互いに展望を話し合う中で、両者の狙いががっちりとかみ合い、老舗企業の海外戦略は一気に加速していった。

ものづくり補助金で自動計量機を導入

 もちろん、高品質と当事者の熱意だけで初の海外進出が成功したわけではない。同社では、市場調査を徹底し、外部のクリエイターとともにプロモーション方法に知恵を絞るなど綿密な戦略を練った。その一つが、商品化する氷のサイズだ。アメリカでは大きめのグラスを使う店が多く、加工する氷のサイズも合わせて変更。キューブタイプは国内で一般的な45ミリから50ミリ四方に広げ、かち割り氷も大きめに砕いたものを使っている。
コンピュータースケールの写真。かち割り氷の製造が大幅に効率化した。 アメリカ進出を見据え、2019年にはISICOのサポートのもと、「ものづくり補助金」を活用してコンピュータースケール(自動計量機)も導入した。同社では、形のふぞろいなかち割り氷をパッケージする際、従来は容量の目安となるマスに詰め、その上で実際に計量して人の手で調整していた。一方、自動計量機ではこの作業を削減し、砕いた氷を運んで重さを測り、パッケージに詰めるまでを自動化できる。これにより、かつては社員が付きっきりで作業していた負担がゼロになり、袋詰めまでにかかる時間も20%近く短縮した。省力化とスピード化は氷が破損したり、溶けたりするリスクの回避にもつながり、品質向上にも効果を発揮している。

フードロス削減も視野にオリジナルかき氷を販売

 さらに、海外市場だけでなく、国内でも挑戦をスタートさせている。それが「クラモトアイス」と名付け、今年6月から始めたかき氷の移動販売だ。特徴は、県内の農家・茶舗などと連携して開発した野菜や果物、玉露、棒茶などのオリジナルシロップにある。自社工場や地域イベントなどに出店して人気を集めており、蔵本専務は「シロップならば規格外の素材でも活用でき、フードロス削減にも貢献できる。地元の豊かな食材を使った商品で、石川をかき氷のまちにしていきたい」と展望を語る。
フードロス削減も視野に入れたオリジナル下記ご悪露の販売風景の写真。 そんな新たな夢への一歩として、同社ではチャレンジファンドの採択を受け、カップかき氷の開発にも力を入れる。長期間冷凍保存しても固くならず、やわらかな食感を残す方法に苦心しているものの、「2021年冬には発売にこぎ着けたい」と商品化への意欲は高い。カップかき氷は、寒い時でもこたつに入って食べるほど、アイス好きな石川の県民性をとらえ、夏場に比べて大きく落ち込む冬場の製氷需要を掘り起こすのが狙いだ。
 氷を扱っているからといって冷める気配は全くない。大きく燃え上がった情熱をエンジンに、同社は、“氷”の可能性を探求する道を走り続けていく。

企業情報

企業名 株式会社 クラモト氷業
創業・設立 創業 1923年
事業内容 純氷の製造・販売、かき氷の移動販売など

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.113
備考 情報誌「ISICO」vol.113より抜粋
添付ファイル

添付ファイルを開く [その他のファイル/182KB]

掲載号 vol.113

 


月間アクセスランキングへのリンク
 
月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO