ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 8カ月で主力部品の不良率を半減 専門家派遣でQC活動が進展 ~(株)永井鉄工所

本文

8カ月で主力部品の不良率を半減 専門家派遣でQC活動が進展 ~(株)永井鉄工所

印刷ページ表示 更新日:2020年12月22日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​​

作業効率や安全性、品質の向上などを目的とした「QC活動」は、業界に関わらず、ものづくりの現場では欠かせない取り組みだ。ただ、始めてはみたものの、なかなか思ったような成果が上がらずに頭を悩ませている企業も少なくないだろう。各種小物精密部品製造を手がける白山市の永井鉄工所では、ISICOの専門家派遣制度を利用したことをきっかけにQC活動が大きく前進している。​

1個から大量生産まで多彩なニーズに対応

さまざまな切削加工機器をそろえている永井鉄工所の社内風景写真。 マシニングセンタやNC旋盤をそろえる永井鉄工所では、手のひらサイズの小さな部品の切削加工を得意とし、1個の試作品から数万個単位の大量生産品まで幅広いニーズに応えている。県内外のさまざまな機械メーカーに製品を納め、その中には半導体製造機器に用いるものなど極めて高い精度の部品も少なくない。
 そんな同社が、ISICOの専門家派遣制度の利用を始めたのは2019年8月からだ。以来、大手自動車メーカーで開発・生産プロジェクトを担当した経験を持ち、中小企業の経営改善を手がけるアドバイザーが月に1回訪れ、8人の社員とともにQC活動にあたっている。
 まず取り組んだのが、バルブ機器や産業機械などの継ぎ手部品の量産製造プロセスの改善だ。これは同社にとって主力となる商品で、外内径の公差が100分の2ミリという精密さを求められ、ある程度の不具合が発生していたため、不良率の低減を目指し、アドバイザーと社員が一丸となって活動に着手。8カ月後の2020年3月には不良率を半減させることに成功した。

データをもとに対策 意識改革も大きな成果

 専門家派遣1年目から成果を上げた背景には、細かなデータ収集がある。同社では、これまでも不良品が出た際、日付と個数、不良内容を書き残していたが、派遣制度活用後は不具合が出た時間帯や原因とその対策までも記録するように変更。より多くのデータを集めて分析する中で、切りくずが刃具に巻きつくことが加工精度の落ちる原因だと突き止めた。
 そこで、対策として、切削油をかけるノズルの角度や大きさを細かく調整したり、刃具そのものの長さを短くしたりして切りくずが巻きつかないようにした。さらに、NC旋盤に搭載する複数の刃具の位置を見直したことも切削時のトラブル回避につながった。
 目に見える成果だけでなく、社員の意識が変わったことも大きな収穫だ。同社では、20年ほど前から品質向上や作業の効率化などを目的に、毎週勉強会を開いてきたが、近年はあまり効果が上がっていなかった。「正直なところ、日々の仕事に精一杯で、なあなあの雰囲気があったかもしれない。それが専門家の視点が入ることで雰囲気ががらりと変わった」と話すのは、同社のQC活動の先頭に立つ永井康裕専務だ。外部からの刺激を受けて社員からも積極的にアイデアが出るようになったという。

3Sや段取り改善に着手 全社的な活動へと展開

動画撮影をしている写真。撮影した動画で検証することで、改善点が見えてくる。 専門家派遣2年目となる2020年度は、QC活動を全社的な取り組みへと拡大した。その一環として力を入れるのが、3S(整理・整頓・清掃)活動である。週に1回、時間を設け、パート従業員も含めた全員で、各自の担当する作業スペースの3Sを徹底している。
 加えて、段取りの標準化も進めている。現在は上司や先輩からの指導をベースに各従業員が経験に基づいて作業しており、マニュアルなどは整備していなかった。そこで、同社では作業手順をビデオ撮影し、動画をもとにアドバイザーと社員で無駄を省いて効率化できるところがないかを探っており、ゆくゆくは設備ごとに効率的な段取りをまとめた標準作業書を整える考えだ。
 同社では、かねてから工作機械をカスタマイズして複雑な作業手順を簡素化したり、育児と仕事を両立できる環境を整えたりするなど、女性が活躍できるよう知恵を絞っている。今後もQC活動を通じて、主婦を中心としたパート従業員も働きやすい環境づくりを加速させる。

一層の省力化と効率化で競争力強化が不可欠

 専門家派遣制度を利用し、同社が現場の改善に全力を傾ける理由は、年々激しさを増す競争に打ち勝っていくためだ。近年では、ベトナムなど、海外の部品メーカーとの競合も少なくないという。
永井康裕専務の写真 「目まぐるしく状況が変わる中で、生産性や品質の向上、短納期化は待ったなしだ」。こう話す永井専務はスピード感のある事業戦略に力を入れ、今年10月には顧客が海外に構える生産拠点に向けて部品の輸出をスタートさせた。これからも顧客のニーズに応え、新たな取り組みに果敢に挑んでいく方針だ。並行して、社長である父からの事業承継を控え、永井専務は工場長とともに改善活動を一層推し進め、どんな荒波もわたっていける企業体力を蓄える戦略を立てている。

企業情報

企業名 株式会社 永井鉄工所
創業・設立 創業 1961年6月
事業内容 各種小物精密部品

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.113
備考 情報誌「ISICO」vol.113より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.113


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク