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働きづらさのある人の就労をサポート 北陸を中心に14事業所を展開 ~ヴィスト(株)

印刷ページ表示 更新日:2021年2月12日更新

あの受賞者のその後にフォーカス!

ヴィスト(株) 奥山純一社長の写真 

ISICOでは2007年から毎年、ビジネスプランコンテストを開催し、優秀な事業計画を提案した起業家に対しては集中的に支援し、アイデアの実現を後押ししている。ところで、厳しい審査を勝ち抜いた起業家がその後どのように成長したのか気になる読者も多いのではないだろうか。そこで今回は2014年度のコンテストで優秀起業家賞に選ばれたヴィストの奥山純一社長の取り組みについてレポートする。​

全国平均を大きく上回る就労実績

「ヴィストカレッジ」での一コマ(写真)。 ヴィストでは、うつ病や統合失調症、パニック障害など精神疾患や発達障害のある人に就労支援サービスやキャリア教育を提供している。就労移行支援事業・就労定着支援事業「ヴィストキャリア」からスタートし、現在は就労継続支援A型・B型事業「ヴィストジョブズ」、放課後等デイサービス・児童発達支援事業「ヴィストカレッジ」、相談支援事業も手がけ、計14事業所を運営する。
 柱の一つであるヴィストキャリアは、職場でのコミュニケーションスキルやパソコンの操作、ビジネスマナー、ストレスコントロールなどについて学んだり、実際に仕事を体験しながら、就職活動やその後の職場への定着を支援するサービスだ。画一的に通所訓練を施すのではなく、一人ひとりの興味や長所、希望に基づき、専門スタッフが伴走しながらオーダーメードで支援を提供する「IPSモデル」に取り組む国内でも数少ない企業である。同社が運営するヴィストキャリア金沢駅前では1年間で26人(2019年度)の利用者が就職するなど、全国平均を大きく上回る実績を挙げている。
 従来の石川・富山県内に加え、2020年10月には横浜市内に初めて事業所を開設。奥山純一社長は「当社が地方で培ってきた福祉施設や医療機関、企業などをつなげ、情報を密に共有しながら支援するモデルは、都市部でこそ生かされる。横浜を足がかりに、ゆくゆくは関東の1都3県にもサービスを届けたい」と意欲を見せる。

箔打ち紙を利用したアクセサリーが好評

 2014年から開始した「ヴィストジョブズ」は企業等での自立した就労が困難な人、働く意欲のある障害のある人を対象に、就労の機会を提供するサービスだ。
金沢箔の箔打ち紙を利用したアクセサリーの写真。 企業から委託された軽作業に取り組んでもらうほか、より多くの雇用を創出しようと、ヴィストでは自社商品の製造にもチャレンジしている。その一つとして、2017年にISICOの活性化ファンド事業の後押しを受けて開発したのが、金沢箔の箔打ち紙を利用したイヤリングとピアスである。加賀五彩をイメージした色に染め上げた4センチ四方の箔打ち紙で鶴を折り、樹脂でコーティングして金具を付けたもので、利用者が作った折り紙をヒントに試行錯誤しながら商品化した。アクセサリーは金沢駅やひがし茶屋街の土産物店で販売して好評を得たが、コロナ禍によって観光客数が減少すると売れ行きが鈍化。そのため、同社では昨年新たにアパート・マンションの共有部の定期清掃を請け負う仕事を立ち上げるなど、新たな働く場の創出に力を入れる。

レストランを事業承継 新たな就労の場に

 昨年7月に金沢市内でレストランMEGU(メグ)を経営する浅ノ川フーズを買収したのも、その一環である。ゼロから店を立ち上げるよりも事業承継する方がメリットが大きいと考えた奥山社長は、ISICOが運営する石川県事業引継ぎ支援センターに登録し、同センターの仲介により、後継者がおらず承継先を探していた浅ノ川フーズの株をすべて買い取った。ヴィストでは従業員を引き続き雇用して店舗を営業し、今年3月から就労継続支援A型事業所の就労の場として運用を計画する。
 奥山社長は「飲食店には、フロア業務や調理補助、皿洗い、事務など、さまざまな仕事があり、多様な就労の機会を作ることができる」と話し、今後5~10人の利用者の勤務を想定する。また、MEGUの味を家庭でも楽しめるよう、デリバリー事業やテイクアウト事業を展開しようと青写真を描き、「利用者にもぜひ活躍してほしい」と期待をかける。

レストランMEGUの外観写真 レストランMEGUの料理写真

福祉の枠組みを超えてサポートを

 これまで紹介してきた就労移行支援や就労継続支援の対象は18歳以上だが、事業を展開するうち、発達障害など発達に特性のある生徒や児童、あるいは未就学児の保護者からも相談が寄せられるようになったことから、2017年に開設したのが「ヴィストカレッジ」だ。
 ここは0~6歳の未就学児には児童発達支援を、小中高生には放課後等デイサービスを提供する施設だ。体幹を鍛え日常動作をスムーズにする「運動スキル」、時間の管理や身だしなみなど将来自立した生活を送るために必要な「生活スキル」、会話力やストレスの対処など対人関係をうまく営むための「社会スキル」を年齢や発達段階に合わせて習得するためのプログラムをそろえ、今後は学校や職場におけるさまざまな場面をVR(仮想現実)で体験できるシステムも取り入れる。
 創業以来、順調に成長を続けるヴィストの将来ビジョンについて奥山社長は「あらゆる人に“働く希望”を提供するのが私たちの使命だ。現在は福祉の分野で事業に取り組んでいるが、例えば、LGBT、がん患者、ひとり親など、働きづらさを感じている人などを対象に、将来は福祉の枠組みを超えてサポートを提供していきたい」と話す。また、働きづらさの原因の一つは社会の偏見にあるとの考えから、偏見を取り除くための情報発信にも注力する。必要な人に必要なサービスを届けるため、一歩一歩着実に歩み続けるヴィストの挑戦にこれからも注目したい。

企業情報

企業名 ヴィスト 株式会社
創業・設立 設立 2012年7月
事業内容 就労移行支援事業・就労定着支援事業、就労継続支援A型・B型事業、放課後等デイサービス・児童発達支援事業、相談支援事業

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関連URL 情報誌ISICO vol.114
備考 情報誌「ISICO」vol.114より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.114


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