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ビッグデータやAI、情報学、統計学など、多様な知を結集し異分野融合の研究を推進

印刷用ページを表示する更新日:2021年2月16日更新

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藤生慎准教授の写真。民間企業からの相談にも意欲的に対応する。 

金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の藤生慎(まこと)准教授は、土木構造物の維持管理をはじめ、まちづくりや交通計画、防災計画に関する研究を手掛けている。研究を進めるにあたっては、ウエアラブル端末(※)などを使って収集したビッグデータを人工知能(AI)で解析するなど、最新のテクノロジーを活用。民間企業や自治体と連携した研究事例も数多い。藤生准教授の研究室を訪ね、最新の取り組みについて聞いた。

※身に着けて使う小型情報機器

温度データを基にAIがのり面の劣化を診断

 藤生准教授が今まさに取り組んでいるのが、赤外線カメラとAIを使って道路ののり面を点検するシステムの開発だ。
 このシステムでは、小型無人機ドローンに搭載した赤外線カメラで、盛り土や切り土、岩盤にモルタルを吹き付けたのり面を撮影し、温度差を確認することで、モルタルが浮いている場所を特定する。
 モルタルを吹き付けたのり面は老朽化すると、土や岩とモルタルの間に水が入り込んで浮いてしまい、はがれ落ちてしまう危険性がある。浮いている場所が他に比べて温度が高くなる性質を利用し、赤外線カメラによって得た温度分布のデータを基に、あらかじめ機械学習をさせたAIが診断する。
 従来は検査員が路上や高所作業車からのり面をハンマーでたたく打音検査や触診、近接目視によって、リスクのある場所を特定していたが、所要時間やコスト、安全性が課題になっていた。
 新システムが完成すれば、今までよりも効率よく安全に検査できるようになる。また、検査に必要な人数がこれまでの5、6人から2人で済む点も、人手不足が深刻化し、熟練した検査員の確保に悩む土木建設業界にとっては大きなメリットだ。

ドローンに搭載した赤外線カメラを使ったのり面の撮影画像の一例。温度が高い場所は黄色で表示されている。

老朽化した橋の点検も画像から可能に

 この研究は今年度、ISICOの次世代ファンドに採択され、藤生准教授は事業を統括する全国企業振興センター(金沢市)、建設コンサルタントの東洋設計(同)、システム開発のユニークポジション(同)と共に連携体を構成する。
 既に基礎的な研究は終えており、今後は撮影技術やAIによる診断の精度向上に取り組む。さらに、専門的な知識がなくても画像をパソコンに取り込むだけでAI診断を利用できる使い勝手のよいアプリケーションの開発を進め、2023年度の発売を目指す。
 藤生准教授は「インフラの維持管理には、予算不足・人材不足・技術力不足という三つの課題があると言われる。新システムの実用化を通じ、これらの解決に貢献したい」と意欲を見せる。
 インフラを維持管理するためのシステムとしてはこのほか、高精細な画像で撮影した橋の画像をAIで解析し、ひび割れなどの傷みを診断する技術を既に確立している。撮影には1.5億画素の高性能カメラを使用し、0.2ミリ以下の微細なひび割れも識別可能だ。
 画像データの容量が大きいため、山間地などから送信する際、現在主流の第4世代(4G)移動通信システムでは時間がかかることが普及のネックとなっていたが、昨年5月には民間企業と共同で大容量データを高速でやりとりできる5Gを使った実証実験を成功させた。
 高度経済成長期に建設され、老朽化した橋は全国に約73万本あると言われている。これらの点検が急務となる中、従来の目視点検を支援する効率的な点検システムとして期待が高まっている。

外国人観光客の動向をGPSや心拍数で調査

クルーズ船で訪れた外国人観光客と金沢大学の学生の写真。調査協力を依頼し、ウェアラブル端末の使い方を説明しているところ。 藤生准教授の研究フィールドは土木だけにとどまらない。例えばクルーズ船で金沢を訪れた外国人観光客の行動分析もその一つだ。
 調査の方法はまず、外国人観光客に腕時計型のGPS(衛星利用測位システム)機器と30秒に1回自動でシャッターを切る高性能小型カメラを身に付けてもらう。GPS機器では旅行者が立ち寄った場所や経路、移動速度などを把握可能だ。心拍数センサーを内蔵したGPS機器もあり、その変化の度合いによってどういった場所で外国人が感動しているかも分析する。小型カメラでは旅行者が見ている景色や看板、食事、土産品などの画像が記録され、外国人が興味を示したものを、より詳細に知ることができる。
 2014年から継続的に取り組んでおり、これまで欧米やアジア諸国の乗客約1,000人が調査に協力した。
 「例えば、欧米人がひがし茶屋街や兼六園など和の雰囲気を求めているのに対し、アジア人は香林坊や近江町市場での買い物を重視する傾向が強いといったように、国や地域、年齢によって、金沢の楽しみ方に違いが見られた。また、主要観光ルートを外れたポケットパークに強い興味を示すなど、意外なものにドキドキワクワクしている様子も分かった。こうしたデータを活用して、旅行者のニーズに応じた観光プランやスポット、サービスを開発すれば、金沢の魅力が高まり、満足度をもっと上げられる」。藤生准教授はそう指摘し、地域振興のさらなる可能性を探り続ける。

コロナ前後の行動の変化 ポイントカードで分析

 外国人観光客の行動分析は新型コロナウイルスの感染拡大で一旦休止を余儀なくされたが、一方で、昨年11月からはコロナ禍の前後で石川県民の購買行動がどう変化したかを分析する産学共同研究をスタートさせた。
 利用するのは提携先の書店やスーパー・コンビニ、ドラッグストア、飲食店などで、利用金額に応じてポイントを貯められるTカードのデータである。どこに居住している人がどこに移動して買い物したかといった情報を把握することが可能で、分析結果はウィズコロナ・アフターコロナ時代のまちづくり計画に活用される。
 このほかにも藤生准教授はビッグデータやAI、情報学、統計学、医学、保健学など、さまざまな分野の知識を用いて異分野融合の研究を行っている。民間企業と共同研究した実績も多数あり、県内企業からの相談にも意欲的に対応している。藤生准教授は、具体的なテーマで共同研究を考えている企業はもちろん、産学連携に取り組んでみたい人まで幅広く歓迎しているので、関心のある方は気軽に連絡を取ってほしい。

企業情報

企業名 国立大学法人金沢大学 藤生研究室
創業・設立
事業内容 土木構造物の維持管理、まちづくりや交通計画、防災計画に関する研究

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.114
備考 情報誌「ISICO」vol.114より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.114

 


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