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全自動分包機と電子薬歴システムを導入 業務の効率化進め、患者サービスの充実へ ~(有)笠原(笠原健招堂薬局)

印刷ページ表示 更新日:2021年3月30日更新

From USERs 各種支援制度の利用者に聞く​​​

大正時代から富来で営業を続ける笠原健招堂薬局は調剤だけでなく、地元の利用者や全国の幅広い年代からの健康相談にも対応している。とりわけ同薬局を特徴付けるのが、高齢者の薬の管理を薬剤師がサポートしている点で、ISICOの「AI・IoT等を搭載した設備導入支援事業」によって調剤や薬歴確認を省力化し、患者一人一人によりきめ細やかな対応を実現している。

一袋にまとめて間違い、飲み忘れを防ぐ

小型全自動分包機を使用する薬剤師の写真。 笠原健招堂薬局の患者は地域柄、高齢者が多く、全体の70%を占めている。こうした高齢患者に多発する問題が薬の飲み忘れで、これを予防するため、同薬局では以前から一包化調剤を採用している。
 一包化(分包)とは、複数の薬を服用するタイミングごとに一袋ずつパッケージ化することを指す。一袋にまとめることで飲み間違いや飲み忘れ、紛失などの恐れを大幅に低減させることができる。
 一方で、薬を調剤する薬剤師には相応の手間がかかる。特に、同薬局では一つの病院の複数科にわたる処方薬を一包化するだけでなく、複数の病院にかかっている場合でも各病院の医師の了解を取り一包化している。そのため、パッケージ化する薬の種類が多く、処方せんを受け取ったその日のうちに調剤しきれず、残業したり翌日に持ち越したりするケースが少なくなかった。そこで、一包化作業を効率化するため、ISICOの補助事業を利用して導入したのが小型全自動分包機である。

薬の分包を自動化 遅延と残業を一掃

 旧来の手まき式分包機では、まず診療報酬明細書を作成するレセプトコンピューターから調剤する薬のリストを紙に出力し、棚から必要な薬を取り出す。その後、一つ一つのますに手作業で錠剤を1個ずつセットし、機械でパッケージ化する。
 これに対し、自動分包機では、レセプトコンピューターから薬のデータが転送される。薬を取り出すのは手作業だが、自動分包機に設けられたカセットに錠剤を薬種別にまとめて入れれば、後は機械が自動的に封入してくれる。さらに、袋に「朝食後」「夕食後」といった印字もできるようになった。
 全自動分包機の導入により、一包化のリードタイムは瓶に入った薬剤の場合、8分から6分に短縮された。数字上はそれほど大きな改善ではないが、機械が薬を一つずつ分けてくれるので、薬剤師の笠原友子さんは「手間が3分の2になったように感じる」と話す。人が張り付かなくてもよいので、調剤の依頼が大量に来た際は新旧の分包機を同時稼働させて対応することが可能になり、残業はほぼなくなったという。

服用可能な飲み残し あらためて一包化

 同薬局では患者をフォローするため残薬整理にも取り組んでいる。残薬整理とは、患者が飲み残した薬を回収して、使える薬と使えない薬を仕分けし、医師と相談の上、服用可能なものをあらためて一包化することである。
 飲み忘れ自体はあらゆる世代で起こるが、飲み忘れる量は高齢患者が圧倒的で、1人で廃棄薬価が328万円に達するケースもあったという。何より、薬の服用状況は医師の診断を左右する重要な要素だ。
 このため、同薬局では残薬整理と合わせて、患者の服用状況などの薬歴も管理している。笠原さんは「処方された薬を自販機のように調剤するのではなく、患者の反応や薬の効き方を評価して、医師にフィードバックすることも薬剤師にとって重要な仕事です。患者が代謝の落ちた高齢者となればなおさらのこと」と、かかりつけ薬局が薬歴を管理する意義を強調する。
 加えて言えば、一度、残薬整理をしてリセットすると、その後は飲み忘れが減る傾向にあるそうだ。残薬整理と薬歴管理によって、患者の飲み残しが減り、医師に正確な情報が伝わり、医療費の削減にもつながって一石三鳥となっている。

管理は紙からデータへ どこからでもアクセス可能に

 とはいえ、薬歴管理も一包化と同様に薬局にとって少なくない負担になっていた。というのも、紙に出力してファイリングする管理方法だったからだ。そのため、患者本人や離れて暮らす患者の家族から問い合わせがあると、そのたびにファイルを取りに行ったり、出先であれば帰ってから折り返したりしていた。
タブレット端末を利用する薬剤師の写真。常にタブレットを携帯し、いつでも問い合わせに対応できるようにしている。 そこで、薬歴管理を合理化するため、小型全自動分包機と併せて導入したのが電子薬歴システムだ。このシステムはタブレット端末で手軽に薬歴を確認でき、データをクラウドに保存しているため外出先からでも薬歴を閲覧できる。
 特に、笠原さんは金沢大学大学院先進予防医学研究科の博士課程に在籍しており、研究や学会、勉強会で薬局を不在にすることがままある。笠原さんは「どこにいても患者さんのデータを確認できるので重宝している」と話し、今後は場所を選ばない電子薬歴システムがさらに活躍する見込みだ。

全国から健康相談 窓口は柔軟に設定

 また、同薬局には地元だけでなく、日本全国から健康相談が寄せられる。それは、地元出身者の口コミに加え、笠原さんに糖尿病に関する著書があるためで、相談者の利便性を考えて対面、電話、ファクス、メール、ウェブサイト、ビデオチャットとさまざまな窓口を用意する。
 遠隔地からの相談者には、市販薬や漢方薬を配送販売しており、売り上げの38%を占めるまでになっている。この配送販売でも、自動分包機が活躍する。薬剤師の笠原友子さんの写真。そのまま発送すると対面で受け取らなければならない瓶入りの薬も、分包化することで郵便受けに入るメール便で送ることができ、荷物の受け取り、ひいては服薬がスムーズになるわけだ。
 笠原健招堂薬局では、今後も業務の効率化と省力化を可能な限り進め、こうした健康相談の時間をもっと確保して、患者サービスを充実させていく方針だ。

企業情報

企業名 有限会社 笠原(笠原健招堂薬局)
創業・設立 設立 1925年
事業内容 調剤薬局

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関連URL 情報誌ISICO vol.116
備考 情報誌「ISICO」vol.116より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.116


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