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プロジェクトを立ち上げ、新商品開発や販路開拓に挑戦 ~(株)四十萬谷本舗

印刷ページ表示 更新日:2021年7月21日更新

CHALLENGE for NEW NORMAL
都市部の副業人材の活用が事業変革の有力な手段に​

都市部の大企業を中心に、働き方改革の一環として副業を認める企業が増えている。一方で、外部の優秀な人材を求めるニーズも高まっており、副業人材と企業をつなぐマッチングサイトやサービスが増えるなど、副業しやすい環境も整いつつある。県内でも、自社にないスキルやノウハウを取り入れようと、副業人材を活用して新規事業やプロジェクトを立ち上げる動きが広がっている。副業人材の受け入れが、どのように企業の成長を後押ししているのか。2社の取り組みを紹介する。

大手メーカーのマネジャーらが参画

ライブコマースの配信風景写真。画面の向こうにいる視聴者とコミュニケーションを取りながら商品を紹介する。

 かぶら寿しに代表される発酵食品の老舗である四十萬谷本舗では、昨年1月から首都圏の大企業で働く副業人材が参加するプロジェクトを立ち上げ、新商品の開発や販路の開拓に挑戦している。
 プロジェクトを主導するのは、6代目の四十万谷正和専務と妻の奈緒さんである。「私たちは約4年前にUターンして家業に入りました。売り上げの伸び悩みなど、会社にはさまざまな課題があったのですが、どこからどう手を付けようか迷っていた時に相談したのが、大手食品メーカーに勤めていた頃の先輩で、協働日本の村松知幸社長でした」(四十万谷専務)。
 「(株)協働日本」(東京)は副業人材のマッチングによる地域企業の経営支援や事業開発支援を手掛ける会社だ。四十万谷専務は、マーケティングで実績のある大手メーカーのブランドマネジャーや大手電機メーカーのシニアマネジャー等、想いと実力のあるメンバーがプロジェクトに参画してくれることを知り、契約を決めた。なお、副業人材に掛かるコストはパート従業員を1人雇用するのと同程度。先に述べた2人のほか、リアルなビジネスの現場を経験して学びたいというサポートメンバーがボランティアとして5人参加している。

社員や顧客にヒアリング 課題を三つに整理

 プロジェクトでは、手始めとして副業人材が金沢に足を運び、社員や顧客にヒアリング調査を実施した。その後はオンラインでミーティングを重ね、調査結果をもとに課題を以下の三つに整理した。
副業人材によるヒアリング調査の様子の写真 一つ目は新規顧客の創造である。四十萬谷本舗の購買層は60代以上が中心で高齢化が進んでおり、若い世代との接点づくりが急務と言えた。二つ目は販売チャンネルの開拓だ。これまでとは違う消費者を取り込むためには、従来の直営店やギフトカタログだけでなく、新たな販路の確立が必要と言えた。三つ目は事業構造の変革である。同社の売り上げは12月に集中しており、年間を通して売れる新商品づくりが求められていた。
 課題の解決策を検討する際には、四十萬谷本舗が新たにアプローチする顧客像を細かく設定した。どのような価値観やライフスタイルの消費者が同社の商品を購入してくれるのかをイメージすることが、具体的な戦略を練り上げるのに役立った。

ライブコマースなどが新たな消費者との接点に

 プロジェクトではその後、新たな試みをいくつかスタートさせている。例えば、昨年は野々市市が「にぎわいの里ののいちカミーノ」に整備したシェアキッチンを借りて、期間限定で人気商品の塩糀炙り(しおこうじあぶり)や漬物を使ったランチを提供する店を開いた。野々市市には若い世代や県外からの流入者が多く住んでいる。これらの層の中でも発酵食や糀に興味のある消費者と接点をつくるのが出店の狙いで、来店者に手渡すちらしに割引クーポンを付けるなどして店舗への誘客を図った。来店者の中には四十萬谷本舗のことを知らない人も多く、四十万谷専務は「ファンづくりにつながった」と話す。
 今年4月には、若い世代に糀の魅力を感じてもらえる機会を作ろうと、店頭で食べられるスイーツとして「OYATSU糀」を発売した。これは米や糀をシャーベット状にしたもので、「金沢ゆず」「棒茶&豆乳」「トマト&レモン」の三つのフレーバーを用意した。天然素材にこだわっていて、砂糖や添加物は入っていない。現在は弥生本店と金沢南店で販売し、消費者からは「優しい甘さを楽しめる」と好評だ。今後、通信販売などを通じて全国の顧客にも楽しんでもらえるような新製品の開発にも取り組む。
 新たな客へのアプローチに向け、今年5月からは「ライブコマース」にもチャレンジしている。ライブコマースとは、インターネット上で動画を生配信しながら商品を売る方法だ。これまで土曜の夜に6回、1時間から1時間半ほどかけて配信。双方向のコミュニケーションができる強みを生かし、おすすめの食べ方やお酒との相性など、視聴者から寄せられる質問やコメントに答えながら、商品を紹介している。常時約20人が視聴し、多いときには約8万円を売り上げるなど、予想を上回る反響で、今後もしばらく継続する予定だ。

自分の考えを整理する時間にも

 ほかにも、100種類以上ある体験キットのどれかが、申し込んだ人の自宅にサプライズで届くサービス「おうちハック」と連携して、糀漬けの体験キットを開発したり、自社商品の新たな食べ方を考案し、そのレシピをホームページやカタログに掲載したりするなど、将来を見据えた取り組みにトライし続けている。
 「さまざまな知見やアイデアをもらえ、自分の考えを整理する時間にもなっています」とプロジェクトのこれまでを振り返る四十万谷専務。「まだまだ試行錯誤の段階だが、引き続き副業人材が持つスキルやノウハウを活用して、より大きな成果を出せるよう頑張ると同時に、私たちだけでなく、地域の企業が副業人材の力で活性化するきっかけも作ってきたい」と話している。

企業情報

企業名 株式会社 四十萬谷本舗
創業・設立 創業 1875年
事業内容 各種発酵食品の製造・販売

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備考 情報誌「ISICO」vol.117より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.117


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