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ショットブラスト加工の受託は北陸唯一 6年目で売り上げの50%を占める柱に ~(株)アイエムショット

印刷ページ表示 更新日:2021年7月26日更新

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アイエムショットでは、2015年から新規事業としてショットブラスト加工の受託に取り組み、この売り上げが全体の50%を占めるまでに伸びている。ISICOの専門家派遣制度を活用してスタートした3S(整理・整とん・清掃)活動も社内で定着し、生産性向上につながっている。​

さびや皮膜を除去 塗装をはがれにくく

大型ショットブラスト機の写真。加工後に対象物を取り出したところ。

 同社のショットブラストとは直径1.0~1.4ミリの鉄粒を鋼材などに投射し、表面に生じている酸化皮膜や古くなった塗装膜、さび、汚れを除去すると同時に、小さな凸凹を作って塗装に適した状態に加工する技術である。
ショットマンと呼ばれる技術者の写真。 同社では、大量の鉄粒をさまざまな方向から自動的に投射する大型ショットブラスト機やショットマンと呼ばれる投射装置を手に持った技術者が対象物の形状を確認しながら加工する大型エアブラスト設備を併せ持つ。2019年には新工場を建設。長尺品の加工に特化した通過式ショットブラスト機を導入した。
 同社は北陸で唯一、ショットブラスト加工を専門にしている工場だ。北陸の企業が加工する場合は従来、関西の企業などに発注していた。地元企業に発注できれば輸送費が節約できる上、納期の短縮にもつながる。そのため事業開始以降、順調に売り上げを伸ばしている。
 ちなみに、東京オリンピックの水泳会場であるアクアティクスセンター、JR山手線の高輪ゲートウェイ駅、北陸新幹線の加賀温泉駅の柱にも同社の加工した鉄骨が使われている。

型枠の整備を通じて培った技術で事業展開

 ショットブラスト加工の受託は同社にとって新規事業だが、技術的には長年の蓄積がある。というのも同社が設立以来、営んできた型枠の整備に欠かせない技術だからである。
通過式ショットブラスト機の写真。 同社が扱う型枠は、海岸や河川で使われるコンクリート製の消波根固めブロックを製造する際に用いられるものである。型枠はコンクリートを固めた後に取り外し、再利用するのだが、その際、大きなハンマーで叩くので曲がることもあれば、風雨によってさびてしまうこともある。型枠のさびを落としたり、再び塗装したりする際に必要なのがショットブラスト加工である。
 公共事業の減少によって、型枠の整備や保管、輸送に対する注文は80年代や90年代に比べて減少している。そこで、事業環境の変化に打ち勝って会社を成長させていくために、スタートさせたのが受託加工だった。

専門家の指導受け 3S活動を推進

 新規事業が好調に推移する中、会社と社員がともに成長していくための共育活動の一環として、取り入れたのが3S活動である。当初は自力で取り組んだが、長続きしなかったため昨年はISICOの専門家派遣制度を利用して、アドバイスを受けた。
 活動は専門家と社員による現場パトロールから始まった。専門家が指摘した場所には紙を貼り、その後、社員の手で改善して合格ならば紙をはがすという手順で、整理、整とん、清掃を進めた。改善した場所は最終的に400カ所近くにもなった。
 今年6月には工場と敷地、その周辺地域を31のエリアに分けた3Sマップを作成。朝礼後の15分、一つのエリアを全社員で集中的に手入れしている。
 3S活動が進むと、工具を探す時間など多くのむだが削減された。工場内のスペースに余裕が生まれたため、新たな設備を入れることも可能になった。また、屋外で保管し、雨に濡れた鋼材は加工前に乾かす必要があったが、屋内の保管場所が広くなったため、乾燥の時間が不要になり、生産性向上につながった。工場の美化に向けて社員の意識が高まり、コミュニケーションも活発になった。
 このほか、専門家の支援を受け、社員のグループ研修や会社の組織整備にも取り組み、部門の枠を超えた連携が取りやすくなるなど成果を上げている。

活用の場を広げ社会に役に立つ企業に

 ショットブラスト加工によって表面を処理すれば、塗装がはがれにくくなり、鋼材の耐久性や耐候性が向上する。さびや古い塗装を落とせば、鋼材のリサイクルも可能だ。とはいえ、コストを抑えるため、ショットブラスト加工を施さないまま使われる鋼材がまだまだ多くを占めるのが現状である。
油片賢吉社長の写真。 こうした状況を踏まえ、油片(あぶらかた)賢吉社長は「初期費用が高くても長く使えるものが選ばれるよう、ショットブラスト加工のメリットを世に広めていきたい」と話す。さらに、10年後のビジョンを「BLAST into LIFE」と定め、「ショットブラスト加工の活用の場を広げ、SDGsの推進につなげるとともに、社会の役に立つ企業にしていきたい」と力を込める。家具をはじめ身近な製品に技術を応用するとともに、将来的には、橋脚やビルなど、すべての鋼構造物にショットブラスト加工が使われる社会を目指し、より一層技術を磨き、その価値を高めていく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社 アイエムショット
創業・設立 設立 1972年8月
事業内容 大型スチールショットブラスト加工、消波根固めブロック製造用型枠の整備・保管・輸送

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備考 情報誌「ISICO」vol.117より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.117


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