ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 得意の切削加工技術で製造したアウトドア用品が絶好調 ~(株)イナバエンジニア

本文

得意の切削加工技術で製造したアウトドア用品が絶好調 ~(株)イナバエンジニア

印刷ページ表示 更新日:2021年10月11日更新

チャンスをつかみミライをひらく

イナバエンジニアが「INAVANCE(インアバンス)」のブランド名で展開するアウトドア用品が売れに売れている。キャンプ好きの稲葉誠社長が、得意とする切削加工技術を生かして開発したもので、今や同社の主力である航空機部品を凌ぐ、売り上げと利益を計上するまでになっている。​

約25アイテムを展開 10分で1,000個が完売

アルミを削り出してすくられた蚊取り線香ホルダー「MIKADUKI(ミカヅキ)」の写真

「MIKADUKI」に蚊取り線香をセットした状態の写真1。 INAVANCEのヒット商品の一つが「MIKADZUKI(ミカヅキ)」だ。その名のとおり、三日月の形をした蚊取り線香ホルダーで、すべてのパーツがアルミを削り出して作られている。収納時にはコンパクトにまとめておくことが可能で、部品を展開していくとつるしたり、テーブルなどに立てたり、三脚に固定したりと、さまざまな使い方ができるよう工夫されている。
「MIKADUKI」に蚊取り線香をセットした状態の写真2。 また、他社製のアウトドア用品をさらに便利にカスタマイズする商品も販売している。例えば、「ZERO CAP(ゼロキャップ)」はGoal Zero(ゴールゼロ)社製のLEDランプに取り付ける専用キャップである。ZERO CAPにはネジ穴や磁石を仕込んであるため、照明スタンドへの装着などLEDランプの固定が容易になる。
 現在、INAVANCEではこれらを含め約25アイテムを自社のネットショップで販売中だ。2019年6月のブランド立ち上げ以降、SNSを通じて評判が広がり、売り上げは急上昇。例えばZERO CAPは累計1万5,000個を販売し、1,000個がわずか10分で完売したこともある。人気商品は品薄の状態が続いていることから、類似品が出回り、INAVANCEの商品がフリマアプリで定価より高く転売されるケースも後を絶たない。

ほぼすべてを削り出して造形

イナバエンジニアの工場の写真。同時5軸加工ができるマシニングセンタなどがずらりと並ぶ。 こだわりのポイントは、何と言ってもほぼすべてを自社が培ってきた切削加工技術を生かして製造している点にある。
 INAVANCEのアウトドア用品は、一般的にはプレス加工や溶接を用いて作るようなパーツでも高度な技術によって美しく精緻に削り出す。中には、あえて研磨せずに、切削加工したアルミの肌をそのまま見せているパーツもあり、そこには「切削加工をもっと多くの人に知ってほしい」との稲葉社長の思いがにじむ。
 技術に裏打ちされた品質の高さはもちろん、どの商品も機能性やデザイン性を兼ね備えており、持ち運びしやすく、少しでも荷物を減らせるようにと軽量・コンパクトに設計されている点も人気の秘密と言えるだろう。

キャンプで感じた不便 解決するため工場で自作

 イナバエンジニアはそもそも、試作品やレース用のバイク部品など、一品ものを数多く手がけてきた会社である。しかし、3Dプリンターの普及によって、試作品の注文が減少したことから高い成長が見込める航空機産業への参入に挑戦。ISICOが派遣する専門家の指導の下、航空機部品を製造する際に必要となる品質管理の国際認証「JISQ9100」を取得し、約7年前からアクチュエータ(駆動装置)部品の製造をスタートした。
 試作品やレース用部品は突発的に注文が入り、極めて短納期だ。一方、航空機部品は計画的な生産が可能であり、稲葉社長にも余暇を楽しむゆとりができた。そんな時、稲葉社長がはまっていったのがキャンプである。ある時、斜めに張ったロープにつり下げたランタンが自重でずり落ちてきたことがあった。「こんなときに固定できるものがあれば便利だな」。そう考えて工場で自作したフックが、キャンプ仲間や彼らが投稿したSNSで評判を呼んだ。あくまでも自分用のつもりだったが、あまりに好評だったため市販することを決め、ネットショップを開設するまではインスタグラムのダイレクトメッセージ機能を使って直接取引した。

「INAHOOK(イナフック)」の写真。自社ブランド展開するきっかけとなった。「INAHOOK」をロープにかけ、ランタンを吊り下げている写真。斜めになっているロープでも固定できる。

技術を広めるきっかけに 楽しみながら開発を

 その後、ブランドの認知がじわじわと広がり、INAVANCEの売れ行きは好調だ。折しも、コロナ禍や製造上の問題によって航空機が減産されていることもあり、経営的にも大きな助けになっている。
稲葉誠社長の写真。切削加工技術を広く知ってもらおうとアウトドア用品ブランドを立ち上げた。 とはいえ、稲葉社長はアウトドア用品を将来の柱に据えようと考えているわけではない。
 「アウトドア用品を作っている目的は、あくまでも種まきです。削り出しでこんなものができるんだと知ってもらい、将来の受注につながればいいかなと。それに新商品を開発しなきゃいけないと考えながらキャンプをしても楽しくないし、いいものもできませんから」(稲葉社長)。
 数多くあるアウトドアブランドの中で、存在感を発揮しつつあるINAVANCE。確かな技術に裏打ちされた機能性やデザイン性だけでなく、何より楽しんで作る姿勢がヒットの要因になっているに違いない。

企業情報

企業名 株式会社 イナバエンジニア
創業・設立 設立 1997年5月
事業内容 航空機部品、義足用パーツの製造、アウトドア用品の製造・販売

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.118
備考 情報誌「ISICO」vol.118より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.118


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


アンケートフォームへのリンク

ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク