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ISICOは1月19日、ネット活用セミナーをオンライン開催し、県内企業のSNS担当者ら約70人が参加しました。当日はウェブマーケティングの専門家で(株)PROPO(福井県)代表取締役の中尾豊氏が、SNSで情報発信する際のポイントについて解説しました。セミナーの内容をダイジェストで紹介します。
「フォロワーが40人もいて、いいねもたくさんついててメッチャバズってるじゃん!」。上司にそうほめられたとつぶやいた島根県の醤油メーカー「やすもと醤油」のツイッターが話題になったのをご存じでしょうか。ほのぼのしたエピソードに癒やされてフォローする人が続出し、たった1日でフォロワーは40人から4万人に増え、売り上げもアップしました。
これだけ聞くとSNSの効果はすごいと思うかもしれません。しかし、無理にバズを意識してはいけません。狙ってできる人はほんの一握りです。それにSNSは購買に直結しません。大事なのは投稿するたびに高い確率で、いいね、シェア、リツイート、コメント、保存といった反応をもらえるようにすることです。SNSでの存在感を高めればSEOにも好影響があります。
SNSに一生懸命投稿しているのに、集客できていないのであれば、それは情報が伝わっていないからです。伝わらない原因の多くは、自分が言いたい情報を発信しているだけで、受け手が知りたい内容を投稿していないことにあります。顧客へのアンケートやインタビューを通じてしっかりとニーズを把握し、知りたい情報に焦点を当てて投稿するようにしましょう。
パーソナルな情報はフォロワーや友達を除く、多くの人にとって無関係ですから、投稿をおすすめしません。また、投稿内容がよくても伝える場所や相手が適当でなければ見てもらえません。各SNSの特徴やユーザー層を踏まえて投稿しましょう。見せ方も大事です。同じ情報でも表現方法を工夫するだけでより多くの反応が得られる場合があります。
できるだけ多くのユーザーに見てもらうために効果的なのは、インプレッション(表示回数)を増やすことです。そのために重要なのが、フォロワーあるいはそれ以外の人から、シェアやリツイート、リポストなどの反応をもらうことです。
では、そのためにどうすればよいでしょうか。心理学的には人は他者が発信している情報に対し、共感や嫌悪など感情が高ぶったときにコンテンツを拡散します。この心理を念頭に、「面白い(楽しい)」「かっこいい(かわいい)」「感動する」「なるほど(上手な言語化、表現)」「知らなかった(発見)」「応援したくなる」など、共感を呼び誰かに教えたくなる情報を投稿しましょう。
「役に立つ」情報もおすすめです。皆さんの仕事の中にも、ユーザーにとって役立つ情報が必ずあるはずです。それをうまく編集して投稿するのが効果的です。
「怒り(悲しみ)」も拡散されやすい感情ですが、誤解を招き、マイナスイメージにつながる恐れがあるので、企業公式アカウントではあえて投稿しなくてよいと思います。同じように、議論したくなるような内容もデリケートな問題を含む場合がありますから、慎重に扱いましょう。
懸賞も効果的ですが、プレゼントだけを目当てにしたアカウントからたくさんフォローされても、あまり意味がないことは覚えておいてください。
ここからはSNSごとの攻略法を紹介しましょう。ツイッターでは画像をできれば4つ使うようにしてください。1画像1メッセージとし、起承転結になっているとなおよいでしょう。画像内にも文字を入れ、それだけで意味が分かり、保存したくなるようにしてください。
文章の一言目は強く、印象的なフレーズを使うことを心がけましょう。内容は箇条書きでつづり、まず要点から書き始め、理由や具体的根拠を示し、最後にまとめる「PREP法(※1)」や「SDS法(※2)」を意識すると簡潔で分かりやすく書けます。
いつも新しい投稿内容を考えるのは大変ですから、過去に書いたブログ記事やインスタグラムの内容を再編集するだけでも十分です。
インスタグラムはいいねの数でなく保存の数が多い投稿ほど、表示回数が増える仕組みになっています。保存の数が増えると、「発見タブ」に掲載されやすくなります。ユーザーの興味や関心に基づいて自動的に投稿が表示される発見タブはインスタグラムのユーザーが一番使っている機能です。フォロワー以外の人への表示回数を伸ばすには、この発見タブに掲載されることがポイントになります。
保存の数を増やすにはフォロワーの質が重要です。人数だけを追求し、あなたに興味のないフォロワーを増やしても意味がありません。
保存したくなるコンテンツとはノウハウや知識、お得な情報などです。後で見返したくなるような内容を目指しましょう。フォントを混ぜる、数字を大きくするなど、文字の使い方にも工夫が必要です。
おすすめは最大60秒の動画を投稿・視聴できるリールです。リールは簡単に作成できる上、発見タブにも上位表示されやすいので、ぜひ活用してください。
リール用に短尺の動画を作るならば、同時に活用してほしいのが動画投稿アプリのTikTok(ティックトック)です。ショートムービーをきっかけに化粧品や書籍が爆発的に売れるなど、TikTokは今や有力な販促ツールです。また、TikTokで視聴されると、ツイッターやインスタグラムなど、他のプラットフォームのフォロワー数がかなり増えるというデータもあります。
動画を作成する際には、冒頭にインパクトを持ってくる、飽きさせない展開にする、落ちをつけることを意識しましょう。
TikTokは視聴者がコメント欄を開いている際、動画がバックグラウンドでループ再生されます。視聴時間が長ければTikTokによいコンテンツと認識され、フォロワー以外にもリーチしやすくなりますので、コメント欄をうまく使って視聴者とコミュニケーションをとるようにしてください。
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.121 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.121より抜粋 |
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掲載号 | vol.121 |