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【巻頭特集】自身の悩みを解決してくれたシャンプー 日本酒由来の保湿成分で機能を強化 ~(株)MOYU

印刷ページ表示 更新日:2022年3月25日更新

企業と地域の輝く未来へ、女性経営者が奮闘中!

政府が掲げる成長戦略の柱の一つが女性活躍だ。その指標の一つと言える石川県の女性社長比率は6.6%で、全国平均の8.1%を下回るものの着実に増えている(2021年4月時点/帝国データバンク調べ)。そこで今回の特集では、親族から事業を承継し、あるいは会社を立ち上げ、陣頭指揮を執る二人の女性経営者に注目した。​

ネットショップには全国から注文

小坂治美社長の写真。 ​MOYUが製造、販売する「BE WASH」は日本酒に含まれる保湿成分「α-EG」や乳酸菌生成エキスを配合したシャンプーである。髪を作り育てる土台である頭皮の環境を健やかに保つことで抜け毛を防ぎ、育毛を促進するとともに、皮膚の常在菌のバランスを整え、バリア機能をアップさせる。また、毛包幹細胞の維持に必要なコラーゲン量を増やしてくれる。
 シリーズ商品の一つとして開発したヘッドパックは2018年の石川ブランド製品の「グッド石川ブランド」に認定されている。「頭皮に塗布した後、シャンプーで洗い流す使い方に加え、頭皮に塗ってからヘアカラー剤を使うと頭皮への刺激を抑えられるため、美容室でも活用されています」。そう紹介してくれたのは小坂治美社長だ。
 昨年にはα-EGや乳酸菌生成エキスのほか、いぼや肌荒れを改善するヨクイニンを配合した化粧液「SU-I(スイ)」も発売した。
 これらの商品は、石川・富山の美容室や皮膚科クリニックで販売するほか、自社のネットショップには全国から注文が寄せられ、着実に売り上げを伸ばしている。
 現在はさらにラインアップを拡充させるため、ナイトクリームも開発中だ。

「石川らしさがない」その一言が開発の原動力に

 小坂社長は化粧品会社に勤めた後、自宅でエステサロンを経営し、2012年に同社を立ち上げた。きっかけは抜け毛に悩んでいた45歳の頃、知人が経営している会社のシャンプーを試したところ、3カ月後に症状が劇的に改善したことだった。
 知人の話では、このシャンプーは最高級の天然界面活性剤を原料にしているため、300ミリリットルで5,000円以上と高値で、売り上げが芳しくなく、生産中止を検討していた。そこで小坂社長は在庫300本を買い取って、友人や美容業者にモニターを依頼。多くの人から好評を得たため、思い切って会社を設立して事業を引き継いだ。
 その後、小坂社長は販路を開拓するため、県内の美容室を営業して回った。そこで耳にしたのは「石川発のシャンプーなのに、どこにも石川らしさがない」という声だった。そこで、小坂社長は化粧品会社に勤めていた頃から着目していた日本酒由来の保湿成分の配合を思い立った。
 とはいえ、研究開発や成分の抽出には協力者が必要だ。そこで小坂社長はいくつかの大学に話を持ちかけ、最終的に力を貸してくれたのが金沢工業大学の尾関健二教授だった。尾関教授が同席し、説明してくれたことで、地元酒蔵会社の協力が得られ、α-EGが誕生した。
 開発には国の創業補助金などを活用した。申請時に欠かせない事業計画書の作成にあたってはISICOスタッフなどからアドバイスを得た。
オリジナルシャンプー「BE WASH」の写真。 こうして誕生したのが「BE WASH」である。高価なシャンプーだけに普通に販売しても手に取ってもらえないだろうと、小坂社長はエステサロンで導入していた頭皮チェックやヘッドマッサージのノウハウを美容室に提供。金沢エムザ1階でもそれらの体験会を定期開催し、カウンセリングとともに販売するよう工夫し、売り上げを伸ばした。

知人夫婦の事業プランに賛同して塾を開業

 4年前からは塾事業にも乗り出し、金沢市高尾台1丁目で「学習塾MOYU」と「親子DE発達凸凹(でこぼこ)学習塾86(はる)」の2施設を運営する。
 前者は子どもの認知特性を診断し、一人一人に合わせた学習法で指導する塾である。認知特性とは物事を記憶・理解・表現する能力の違いで、見て記憶するのが得意な人もいれば、聞いて記憶するのが得意な人もいる。こうした特性を考慮して勉強すると、より効果が上がるというわけだ。
 後者は発達障害の子どもを支援する放課後等デイサービスだ。保護者に対しても子どもへの接し方を指導する点に特徴がある。
 講師を務めているのは小坂社長の友人で、小学校に長年勤務していた夫婦である。小学校を辞め、発達障害の子どもを持つ保護者に指導したいという思いを形にすべく、一から事業プランを立て、何度も何度もブラッシュアップし、今のスタイルを作り上げた。
 どちらの塾も評判で定員を超える応募があり、経営の新たな柱となっている。

「親子DE発達凸凹(でこぼこ)学習塾86(はる)」の保護者向けレッスンの写真。「親子DE発達凸凹(でこぼこ)学習塾86(はる)」の写真。

海外市場の開拓など65歳まで全力尽くす

 同社は今年、設立10周年の節目を迎える。小坂社長が今後、シャンプー事業で力を入れたいのが海外市場の開拓だ。
 「日本酒由来の保湿成分は海外でも関心が高い。メード・イン・ジャパンへの信頼も厚く、人口も所得も減少する日本より大きなビジネスチャンスがあると考えています」(小坂社長)。
 既に取引実績のあるロシア向けは、ウクライナへの侵攻を受け、先が見通せない状況だが、BE WASHシリーズの一つで、アルコール不使用のペット用ドライシャンプーはアメリカ・サンディエゴに販路を確立した。サンディエゴは日本より水道代が高い上、大型犬を飼っている人が多く、水の使用を抑えられるドライシャンプーが重宝がられているのだ。
 サンプルなどの輸出にはISICOのチャレンジ支援ファンド事業の補助金を活用しており、今後も展示会出展などを通じて販路を模索する。
  塾事業では拠点を増やす、あるいは同じ志を持つ経営者らと連携しながらその輪を広げていく構想を描く。
 「変化の激しい時代だけに、いつまでも私の感性や感覚を押しつけるようではいけない」と65歳で経営の第一線から退くことを決めているという小坂社長。経営の傍ら、後継者育成や起業家支援にも力を入れ、あと7年を全力で走り抜ける。​

企業情報

企業名 株式会社 MOYU
創業・設立 設立 2012年11月
事業内容 シャンプーなどの製造販売、エステサロン・学習塾の運営

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関連URL 情報誌ISICO vol.122
備考 情報誌「ISICO」vol.122より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.122


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