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専門家の指導を受け5S改善活動を実践 作業の無駄が減り、不良率も低減 ~(株)安土鉄工所

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フロム・ユーザーズ

安土(あんづち)鉄工所は、自動車の足回り部品の一つである「ハブベアリング」の機械加工を主力とする。持ち味は確かな技術力が生み出す優れた精度と生産性だ。さらに競争力を強化し、働きやすい職場環境を作るため、2020年2月からはISICOの専門家派遣制度を活用して5S改善活動に取り組んでおり、不良率低減などの成果を挙げている。​

5Sに関する自己評価点が2年間で約20点もアップ

第2工場の生産ラインの写真。 安土鉄工所は卓越した切削技術を生かし、創業当初から1980年代までは建設機械用の特殊ナットを中心に手がけてきた。87年に自動車分野に参入し、現在は車体とタイヤをつなぐハブベアリングの量産機械加工を担い、トヨタをはじめ、国内外メーカー車の足回りを支えている。
 ナットとハブベアリングは一見すると別物だが、内径に溝を切るという点では共通しており、同社が長年培ってきた技術の応用が可能だった。また、一度加工対象物を固定するだけで、内径全体を切削できる独自の生産設備を備えているため、精度が高く、生産性に優れている点も強みとなっている。
鍛造した金属素材に機械加工を施したハブベアリングの写真 そんな同社が一層の生産性向上を目指して取り組んでいるのが、整理・整頓・清掃・清潔・しつけの5S改善活動である。2020年2月以降、月に一度、デンソーで長年現場管理に携わった経験を持つコンサルタントを三重県から招いて指導を受け、着実に改善が進んでいる。
 例えば、5Sに関する約50項目を自己採点するチェックシートの活用も取り組みの一つだ。点数の推移を社内で共有することで5Sを心がける意識が芽生え、当初は68点だった評価点が今では87点にまで上昇した。
 工場内がきれいになることで、作業の無駄が減っただけでなく、不良率が40%以上も低減した。「ここまで不良率が下がるとは思いませんでした。5Sは仕事の基本という言葉をあらためて実感しました」と安土達宏社長は話す。

ワークショップを通じ整理・整頓の効果を実感

 同社が5S改善活動に力を入れ始めたきっかけは、安土社長が取引先の大手ベアリングメーカーが主催する研修会に参加し、協力会社の工場を見学したことだった。「5Sにしても、トヨタ生産方式にしても、うちの工場はまだまだだと痛感しました」と安土社長は当時を振り返る。
 手始めとして5S活動に着手することにしたが、以前自力での取り組みが頓挫した経験があったため、安土社長は外部の力を借りようとISICOに相談。その後、ISICOと中部経済産業局が経営課題を抱える中小企業と専門的な知識やノウハウを持つ県内外の人材を結び付ける「経験値活用型サポート人材交流会」に参加し、自動車分野に精通した専門家の紹介を受けた。
 1年目は主に安土社長と同社のグループ長4人が専門家から研修を受けながら社内全体への啓発を図り、現場でも5S改善活動を実践した。2年目は一般社員にも専門家の研修を受ける機会を設けた。
一般社員によるブロックを使ったワークショップの写真 一般社員向けの研修では、単に座学で知識を学ぶだけでなく、体験を通して5Sの効果を実感するワークショップも盛り込まれた。バラバラの状態のブロックをいかに早く目的の形に組み立てられるかを競う体験もその一つ。あらかじめブロックが整理されていれば、探す必要がなくなり、スムーズに組み立てられるので、所要時間は劇的に短縮される。5Sの効果を実際に感じてもらうことで、社員の改善マインドが向上した。
 3年目となる今年は30代半ばまでの次期グループ長候補がメインとなって研修を受けており、5S改善活動の定着に向けた仕組みづくりに取り組む。安土社長は「5S改善活動を継続し、将来は誰が来ても感動してもらえるような工場にしたい」と意気込んでいる。

デジタル化や採用強化にもISICOの支援策を積極活用

省力化に向けて導入した自動外観検査システムの写真 同社がISICOの支援策を活用した事例はほかにもある。
 2019年度には次世代ファンド「製造工程省力化支援事業」に採択され、設備の稼働管理システムを導入。工場内の機械の稼働状況を見える化することで、生産性の向上につなげている。
 また、22年2月には、「デジタル化設備導入支援事業」を使って自動外観検査システムを設置した。これは加工した穴がずれていないか、あるいは外周のバリがきれいに取れているかをカメラで自動的にチェックする仕組みである。従来、人が目視で検査していた工程を省力化する試みで、現在、本格運用を目指し、検証作業を続けている。
安土達宏社長の写真。 採用面では、21年度にISICOが開催した「ハローワーク求人票作成講座」を受講(※)。ここで学んだことを生かし、求人票に盛り込む情報を充実したほか、ハローワークに足を運び、職員に求人内容を周知するといった取り組みを継続した。その結果、リーダー候補生をはじめ、5、6人を採用。安土社長は「以前は思うような反応を得られませんでしたが、着々と成果が出ています」と話し、今後もISICOの支援策を積極的に活用し、会社の成長につなげていく考えだ。

※関連情報
情報誌 ISICO PRESS vol.123では、「ハローワーク求人票作成講座」受講後に採用に成功した県内2社の取り組みと人材アドバイザーからのメッセージを紹介しています。
詳しくは、「ISICO PRESS vol.123」をご覧ください。

企業情報

企業名 株式会社 安土鉄工所
創業・設立 創業 1948年4月
事業内容 自動車用ハブベアリングの機械加工

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.123
備考 情報誌「ISICO」vol.123より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.123


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