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金沢ゆずやヘタ紫なすの生産に汗 新拠点をオープンし、新たなステップへ ~きよし農園

印刷ページ表示 更新日:2022年8月17日更新

スポットライト

6年前、23歳で祖父の跡を継いで就農した多田礼奈さん。金沢市浅川地区特産の「金沢ゆず」や加賀野菜の一つ「ヘタ紫なす」の生産に励む一方、知名度アップに向けたイベントを仕掛け、今年5月には店舗兼加工所をオープンした。農業にかける思いやこれからのビジョンを聞いた。​

専門家のアドバイスが事業計画書作りの力に

店舗兼加工所「Siii」の外観写真。一面がガラス張りになっていて解放感あふれる雰囲気。 店舗兼加工所は金沢市土清水から湯涌温泉へと延びる「湯涌ゆずの街道(みち)」の中ほどに位置する。広さは15坪で、金沢ゆずなど地元産の果物や野菜を使ったタルトやジェラート、おにぎりなどを販売するほか、ガラスの奥には厨房設備が並ぶ加工所が見える。屋外には川のせせらぎを聞きながら、これらを味わえるスペースも設けた。オープン以降、「手作りのおやつがおいしい」「地元にこういう店ができてうれしい」といった声が寄せられ、出足は順調だ。
 店名は「Siii (シー)」と名付けた。「Si」はケイ素の元素記号に由来している。「ケイ素は植物が細胞を作るのに大事な微量要素。このお店もお客さんにとって欠かせない存在になれれば」と話す多田さん。三つ並んだ「i」には、人が集まってくるイメージと人・もの・環境を大事にしていきたいという思いを込めた。
 開店にあたってはISICOの新分野進出・事業転換支援事業費補助金を活用した。また、銀行から融資を受けるため、専門家派遣制度を使って中小企業診断士のアドバイスを受けながら事業計画書を作成した。「とても一人ではできなかったので、すごく助かりました」と多田さんは話す。

「おいしい」の一言がすべての苦労を吹き飛ばす

多田礼奈さんの写真 多田さんと農業との出会いは21歳の頃、金沢ゆずのブランド化やヘタ紫なすの増産に力を注いでいた祖父を手伝い始めたことがきっかけだった。その後、農業にやりがいと将来性を感じた多田さんは、祖父が遺した農園を引き継いだ。年間を通じて本格的に農作業に従事するのは初めてであり、知識不足と経験不足を補うため、金沢農業大学校で学び、祖母や周囲の農家の助けを借りながら、少しずつ農家としての力を蓄えていった。
 とはいえ、道のりは苦難の連続だった。「明日やろうと思っていたことが雨でできなかったり、晴天が続いて土が乾いてしまったり、とにかく天候に左右されて計画通りに進みません。夏は暑くて、冬は寒く、重たいものを運ばなくてはいけなくて、体力的にもきつかったですね」(多田さん)。
 それでも、祖父を手伝っていた頃に感じていた農業の楽しさは変わらなかった。毎年違う天候も、「飽き性で同じ仕事を続けるのが苦痛」と話す多田さんにとって、決してマイナス材料ではかった。何より、「おいしい」という消費者の一言が全ての苦労を吹き飛ばしてくれた。

金沢ゆず香るん祭り 今秋、3年ぶりの開催へ

 金沢ゆずやヘタ紫なすの知名度を上げて消費につなげたい、そして産地に足を運んでほしいとの思いから、多田さんはイベントも企画した。
 JA金沢市柚子部会のメンバーらに呼びかけて実行委員会を立ち上げ、2017年11月に初開催した「金沢ゆず香るん祭り」もその一つ。金沢ゆずやその加工品の販売や入浴剤の手作り体験など、さまざまな催しを実施し、会場となった東浅川小学校のグラウンドには想定していた6倍以上の人が集まった。19年まで開催した後、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて20、21年は中止したが、今秋の開催に向けて腕まくりしている。
 18年7月には、ナス畑の隣で「夕焼けレストラン」を開催。約20人が、フレンチシェフが作ったヘタ紫なすのフルコースディナーを味わった。
 こうした取り組みが奏功し、認知度はじわじわとアップ。販路拡大にも効果を発揮している。

地元産のフルーツで加工・販売部門を強化

「Siii」で販売しているタルトやジェラート、シロップの写真。どれも植物性食材だけで作られている。 2017年には金沢ゆずの皮を甘く煮た「ピール煮」の加工、販売にも乗り出した。
 皮に傷などがあるユズは、搾った果汁だけを出荷し、残った皮の多くは廃棄処分されていた。これを何とか有効活用できないかと考えた多田さんが、以前から交流のあった翠星高校のレシピを基に、パティシエの意見を取り入れ、フレッシュ感のあるオリジナルの味に仕上げた。主に和洋菓子店に販売し、ケーキや大福の材料として好評を得ている。Siiiの看板商品であるタルトにも、このピール煮がたっぷりのっている。
 今後は地元で採れる桃やリンゴ、梨、ブルーベリーをコンポートに加工して業務用に販売するほか、地物野菜の総菜などの製造も本格化させる計画で、「ゆくゆくは店舗を道の駅のように大きくしたい」とビジョンを描く。農園についても「栽培品目を広げ、天候に左右されない施設栽培にも取り組みたい」と意欲を示しており、これからの活躍に期待が膨らむ。

企業情報

企業名 きよし農園
創業・設立 創業 2016年3月
事業内容 金沢ゆずやヘタ紫なすなどの生産、店舗兼加工所「Siii」の運営

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.123
備考 情報誌「ISICO」vol.123より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.123


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