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【巻頭特集】受注管理システムを導入 効率化が進み、ミスも削減​ ~(株)ふくべ鍛冶

印刷ページ表示 更新日:2022年10月24日更新

デジタル化設備が経営強化の強い味方に

自社の課題を解決し、強みを伸ばすための有力な手段の一つがAIやIoT、RPA、クラウドサービス等の戦略的な活用だ。とはいえ経営資源の少ない中小企業では、導入がままならないケースも多い。そこで、こうしたITツールを導入する際、経費の一部を補助するのがISICOのデジタル化設備導入支援事業だ。同事業に採択され、業務の効率化や事業拡大につなげている2社の取り組みを紹介する。

作業スペースの一角に設置された受注管理システムの写真。利用者から送られてきた包丁を修理する職人の写真。

包丁の修理をネットで受け付け

 ふくべ鍛冶が2018年に始めた包丁研ぎをオンラインで受け付け、宅配するサービス「ポチスパ」が好評を得ている。利用方法はこうだ。まず利用者がインターネット上で注文すると、ふくべ鍛冶から専用ボックスが送られてくる。これに包丁を入れてポストに投函すると、届いた包丁の状態を職人が1本1本見極めた上で丁寧に修理。修理が終わると、利用者の元へ切れ味がよみがえった包丁が返送されてくる。
 サービス開始以降、首都圏を中心に全国各地から注文が相次いでいる。自社のECサイトに加え、2019年からは大手食品通販会社オイシックスと業務提携し、同社が展開するサービスの利用者からも多くの注文が寄せられる。その結果、今では月に数百件以上を受注し、経営の新たな柱に育っている。

手書きの台帳で管理 件数が増えると手間に

干場健太朗社長と妻の由佳取締役の写真 注文が順調に増える一方で、頭を悩ませていたのが受注管理だ。ふくべ鍛冶ではポチスパの開始以降、受注管理に手書きの台帳を使っていた。注文が入ると利用者の名前や受注日を記入し、お礼と確認を兼ねたメールの送付、包丁の受け取り、修理、検品、包丁の送付、発送メールの送付といった一連の流れについて、手書きで日付を記入し、進捗状況をチェックしていた。
 「1件の受注に対して、何度も台帳を見返す必要があった。月に10件や20件なら問題ないが、100件を超えた頃から負担が増えてきた」。そう話すのは受注管理を担当する干場由佳取締役だ。
 また、修理前の状態を記録すると同時に、取り違えを防ぐため、包丁の写真を撮影する際は、受注管理に携わる社員がスマートフォンで撮影し、LINE上で到着日ごとにアルバムにまとめ、検品などの際はさかのぼって確認していた。しかし、送られてきたものと違う包丁を返送してしまうミスもあった。

二次元コードを活用 操作はタッチパネルで

 こうした現状を何とかしたいと同社では昨年春、ISICOのデジタル化設備導入支援事業の採択を受け、受注管理システムを開発し、運用を開始した。
2次元コードを読み込むスマホの写真。 このシステムでは受注後、利用者の情報をECサイトなどからCSVファイルで取り込むと、自動的に受注者リストが作成され、包丁のやり取りに必要な伝票類に加え、専用ボックスに貼付する二次元コードが発行される。これが便利で、例えば、包丁が送られてきた際は二次元コードをスマホに読ませるだけで、該当する利用者の欄に一瞬で日付が記入される。手書きの作業や台帳から注文者の名前を探す手間はほとんどなくなった。
 また、包丁を写真に撮る際も二次元コードを端に写し込むことで、自動的に注文者と紐付けられ、サーバー上に保存されるようになっている。
 タッチパネルですべての操作をできるようにしたのも工夫の一つ。そのため、20代から70代までの誰もが使いやすいシステムに仕上がった。
 導入効果はてきめんで、受注管理に要する時間は半減した。これまで2件あった包丁の取り違えもなくなった。
 受注管理システムの導入後、社内ではデジタル活用の機運が高まり、ビジネスチャットアプリ「slack」も導入した。スマホを通じて、業務連絡はもちろん、利用者から届いたお礼の手紙なども共有し、社員のモチベーションアップにつなげている。また、包丁の修理のこつを動画で撮影し、いつでも見られるようにするなど、人材育成にも役立てている。

副業人材が販路開拓 製造部門もシステム化へ

 同社では、ポチスパ事業の成長スピードをさらに速くしようと、副業人材を活用して販路拡大に取り組んでいる。副業人材は首都圏の大手企業に訪問してオンラインで干場社長とつなぎ、多くの商談を進めている。県内では、新たにコープいしかわとの連携が進み、10月から県内全域にちらしを配布する。
 干場健太朗社長は並行して作業スペースの拡充、職人の増員なども進め、「月に1,500件は対応できる体制が整った。ポチスパを会社全体の売り上げの5割まで伸ばしたい」と当面の目標を掲げるほか、「ゆくゆくはポチスパを海外へフランチャイズ展開し、加盟企業にも受注管理システムを活用してもらいたい」とビジョンを描く。
ふくべ鍛冶の職人の皆さんの写真 来年1月には、包丁のオーダーメードなどを手がける製造部門でも、ISICOのデジタル化設備導入支援事業を活用して受注管理システムを導入する予定だ。これにより生産計画の見える化、業務の効率化につなげたい考えで、干場社長はデジタル技術を有効に取り入れながら、会社の成長に向けてギアを上げる。

企業情報

企業名 株式会社 ふくべ鍛冶
創業・設立 創業 1908年
事業内容 刃物の製造、販売、修理など

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.124
備考 情報誌「ISICO」vol.124より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.124


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