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CASE01 半導体製造装置向け機器の量産へ 勉強会を開催し、品質管理を強化 ~(株)成宏電機

印刷ページ表示 更新日:2022年10月24日更新

チャンスをつかみミライをひらく

自動制御システムや電気制御機器を主力とする成宏電機。従来は、一つ一つ設計して製作する個別生産品を手がけてきたが、第二の事業の柱を求め、量産品の設計、製作に乗り出した。新たな挑戦にあたって同社では、ISICOの専門家派遣事業を活用して品質管理について学び、不良対策に役立てている。​

半導体製造装置に使われる電気制御機器を製造する様子の写真1半導体製造装置に使われる電気制御機器を製造する様子の写真2半導体製造装置に使われる電気制御機器を製造する様子の写真3

SDGsの取り組みが受注の呼び水に

 成宏電機が第二の事業の柱として力を注ぐのは、半導体製造装置に使われる電気制御機器の設計、製作である。
 取引が始まったのは2020年10月にさかのぼる。きっかけとなったのは、同社が力を入れるSDGsの取り組みだった。同社では、地中熱を活用した空調システムを導入するほか、太陽光発電や風力発電、リチウム電池を組み合わせ、エネルギーの“自産自消”を実現。また、夏梅大輔社長の母校である金沢工業大学と共同で、再生可能エネルギーの地産地消モデルを研究開発していた。こうした取り組みや成果を対外的に発信し続けていたところ、高い世界シェアを誇る大手半導体製造装置メーカーの目に留まり、取引を持ちかけられたのだ。
 当時、同社では、自動車業界向けの金属加工装置に使われる電気制御機器や搬送装置が、売り上げの約80%を占めていたが、新型コロナの影響で受注が減少していた。折しも、一つのビジネス領域への過度な依存を改め、今後成長を見込める分野として半導体産業への参入を模索していたこともあり、夏梅社長は装置メーカーからの申し出を二つ返事で引き受けた。

契約書の内容を弁護士が無料でチェック

夏梅大輔社長の写真

 取引開始を前に、まず必要だったのが取引基本契約書の締結だ。これは継続的な商取引に共通する基本的な取り決めを定める契約書である。同社ではこれまでもこうした契約書を結ぶケースはあったが、今回の契約書はより詳細で厳格な内容が記載されていた。
 そこで、夏梅社長はISICOが運営する「石川県よろず支援拠点」に相談し、弁護士からアドバイスを受けた。夏梅社長は「今の常識と照らし合わせて問題がないか、私たちに不利になる内容がないかを確認してもらった。結果的に変更が必要な箇所はなく、安心して契約できた」と話す。
 その後、まずは電気制御機器の設計業務から取引が始まり、2021年7月からは製作も任せてくれるよう申し入れた。発注前に提出を求められたのが、ビジネスリスクや品質リスクなどを申告するチェックシートである。ビジネスリスクこそ高評価だったが、品質管理などに関しては是正、改善に取り組む条件付きで何とか及第点を得た。
 夏梅社長は「これまでも大手メーカーと取引し、品質には自信を持っていました。しかし、量産品では評価されず、ショックだった」と肩を落とす。

不良の原因を見える化 頻度の高いものから対策

 さらに、最初の生産品に対しては、取引先から想像以上に厳しい指摘が30項目以上にわたって寄せられた。
 「作業者は取引先が提供するサンプル写真を見ながら配線などを行うが、少しでもいいものを作りたいという意識が強く、アレンジを加えることもあった。しかし、量産品の場合、たとえそれが改善のためであっても許されず、あらためて難しさを感じた。また、従来の仕事を通じて、不具合が見つかるとその場で直せばいいという甘い考えが社員にまん延していた」(夏梅社長)。
専門家による品質管理の社内勉強会の様子の写真 このままでは量産品の生産に対応できないと考えた夏梅社長はISICOに相談し、専門家による品質管理の社内勉強会を2021年の9月から12月にかけて、8回にわたって開催。社員に品質管理の重要性を再認識させると同時に、継続的な改善に向けてPDCAをしっかりと回していける組織づくり、問題発生時に原因を解析して改善する手法などについて理解を深めた。
 例えば、過去の不良について統計を取り、その原因をグラフや数値で見える化した上で、頻度の高いものから対策を施していく取り組みも、勉強会をきっかけに取り入れた手法で、効果を上げている。

品質管理力が認められ 別のメーカーからも受注

 勉強会の開催後、社員の意識や品質管理レベルは着実に向上し、同社では取引先からの厳しい要求に応えながら、今年の9月初めまでに40台の電気制御機器を納入した。
 思いがけない出来事もあった。このメーカーと取引しているのなら品質は確かに違いないと、別の半導体製造装置メーカーからも、開発設計から量産設計・量産製作の依頼が寄せられたのだ。
 5G(第5世代移動通信システム)やIoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)などの普及に伴って、半導体市場は活況が続いている。同社でも、既にこれら2社との間で、2025年までの生産計画が決定している。夏梅社長は今後、半導体関連の売り上げを30%まで引き上げると同時に、品質管理も新たな強みとしながら3本目の経営の柱を育て、会社を成長させていきたいと意欲を見せている。

実証試験用の制御盤の写真いしかわ企業研究者表彰優秀賞受賞時の写真。

企業情報

企業名 株式会社 成宏電機
創業・設立 設立 1977年8月
事業内容 自動制御システム、電気制御機器などの設計、製作

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.124
備考 情報誌「ISICO」vol.124より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.124


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