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ISICOは11月22日、県地場産業振興センターで「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2022」を開催した。将来有望な起業家を発掘するコンテストは今年で16回目。当日は全国から寄せられた115件の応募の中から、ファイナリスト7人が事業計画を発表し、アイ・オー・データ機器の細野昭雄会長をはじめ県内外の創業経営者が審査した。今回の巻頭特集では事前の書類審査で決定した地域活性化賞を含め、各賞受賞者の提案内容を紹介する。
最優秀起業家賞
尾島 康仁/(株)コノミー
500万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いた(株)コノミーは、石川県産を中心とした新鮮な食材とAI(人工知能)を活用した利用者好みのレシピをセットにした冷蔵ミールキットを定期宅配するサービスについて発表した。
レシピはスパイスの専門家が開発する。10種類以上のスパイスを使い、レシピ通りに作ると20~30分で本格的な料理が完成する。レシピは現在100種類ほどあり、週替わりで届ける。おいしさはもちろん、作る楽しみや食材の特徴を学ぶ楽しみを提供し、家族のコミュニケーションを促進する。
ウェブ上で利用者に味の評価をフィードバックしてもらうことで、AIが好みを学習し、レシピの最適化を図る仕組みも準備を進める。
定額制で週に1、2回、ミールキットを宅配するサブスクリプションサービスとして展開する。
同社は2022年にサービスを開始し、これまで利用者の継続率は97%を誇る。月額1~3万円のコースを利用する人が多い。日本のミールキット市場は現在200億円規模で、将来は2,000億円規模に成長すると見込まれる。石川での事業モデルをベースに全国展開も視野に入れている。
優秀起業家賞
小寺 孝明/Granate
小寺さんが自身の経験をもとに、開発に取り組んでいるのが、男性向けの妊活サポートアプリだ。不妊の原因の半分は男性にあり、生活習慣が大きく影響していることが分かっている。このアプリではAIを用いて生活習慣から精子の状態を予測し、改善に向けてアドバイスする。利用者のモチベーションを維持するため、ゲームの要素を取り入れる。リリース後、5年で45万ダウンロード、1億5,000万円の売り上げを目標とする。
優秀起業家賞
高桑 蘭佳/(株)メンヘラテクノロジー
高桑さんが考案したのは、従業員の日常的なストレスをケアするための匿名チャットアプリだ。相談に対応するためのトレーニングを受け、テストを突破したサポーターが24時間、予約不要で話を聞いてくれる。不満が爆発する前に安心して感情を吐き出せるほか、従業員が希望すれば、話した内容を会社や管理職に伝えられる。導入コストは企業が、相談料は従業員が負担。現在、実証実験中で2023年春の正式リリースを目指している。
学生賞
中村 雛乃/(株)LFOR/金沢大学大学院
中村さんは、人手不足感が強い製造現場の離職に歯止めをかけようと、工場の健康診断サービスについて提案した。従業員の仕事満足度を計測するアンケートのほか、工場内のコミュニケーションや作業ペースの測定を通じて、工場の状態を可視化することで具体的な課題を把握し、改善に向けて活動できる環境を整える。2023年10月のサービス開始を予定している。
女性起業家賞
池田 玲海/(株)ビューティーサロン
池田さんは毎月定額でさまざまなエステサロンでフェイシャルエステを受けられるサービス「HADA PASS(ハダパス)」について発表した。利用者にとっては複数のサロンを気軽に試すことができるのがメリットで、エステサロンもコストをかけずに認知度アップや集客ができる。2021年12月からサービスを開始。10年後に10億円の売り上げを目標とする。
地域活性化賞
松田 裕子/ばるじぇの
松田さんがプレゼンしたのは、人と人とがつながり、食と循環型社会を楽しく考えられる拠点「ばるじぇの」だ。具体的には築100年の金澤町家で、各家庭から出る生ごみを堆肥化して野菜づくりを行うコミュニティコンポスト事業、食料品をごみを出さずに販売する量り売り店舗事業、親子でくつろげるカフェダイニング事業を展開し、2023年6月の開業を計画する。
中川 宏
(株)喜こころ
24時間非接触で薬を入手する無人受渡しBOXの開発!
日野 信輔
(株)Nextwel
日本初!地域と障害がある方の社会課題を解決する障害者専門の起業支援サービス
企業名 | 公益財団法人 石川県産業創出支援機構 |
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創業・設立 | 設立 1999年4月1日 |
事業内容 | 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.126 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.126より抜粋 |
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掲載号 | vol.126 |