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イカの風味が香る煎餅が大人気 専門家のアドバイスで商品化に成功 ~(株)和平商店

印刷ページ表示 更新日:2023年1月19日更新

フロム・ユーザーズ

和平商店では、能登町の小木港で水揚げされるイカを原料とした加工品を製造、販売している。ヒット商品の一つがイカをふんだんに使った「能登いか煎餅」だ。開発にはISICOの助成金を活用し、今では売り上げの約15%を占める主力に成長した。その後も専門家のアドバイスを受けながら、利益体質の強化を進めている。​

イカを48%も含有 地元観光施設で販売好調

小木港に揚がったイカをふんだんに使った「能登いか煎餅」の写真。 小木港は、北海道の函館港や青森県の八戸港と並んでイカの水揚げが多い三大漁港の一つとして知られる。釣り上げた直後に船上で急速冷凍した小木の船凍(せんとう)イカは「小木物」と呼ばれ、鮮度と品質に優れているのが特長だ。
 この船凍イカのゲソやミミを使って手作りしているのが、和平商店の「能登いか煎餅」である。イカが48%も入っていて、その香りや旨みが凝縮された味わいがおいしいと評判で、2017年の発売以降、着実に売り上げを伸ばしている。
 販路の中で最も売り上げが多いのは、能登町内で2020年6月にオープンしたのと九十九湾観光交流センター「イカの駅つくモール」の売店だ。前年からの新型コロナの影響もあり、この年5月までの同社の売上高は過去最低ペースだったが、9月までの4カ月間で煎餅が飛ぶように売れ、10月の決算では過去最高の業績を記録した。
 21年4月、つくモールにスルメイカの巨大モニュメント「イカキング」が完成すると人気に拍車が掛かり、22年も好調を維持した。

1年かけて160回の試作 素材や焼き方に工夫

能登町産の菜種油を使って低温で挟み焼きしている写真。これが第一段階。

 同社の商品は、胴体に自社製のショウガ甘みそを詰めた「いかの鉄砲焼き」や鮮度が落ちる前に素早く加工した「いか刺し」など、ゲソを使わないものが多い。余ったゲソを何とか有効活用できないかと考えたのが煎餅を開発したきっかけだ。
 当初は自分たちだけで商品化にチャレンジしたが、煎餅づくりは初めてとあって難航し、1年ほどで行き詰まった。その後、料理研究家の指導を仰ぎながら、第一弾を完成させ、2015年3月の北陸新幹線金沢開業に合わせて金沢駅構内の土産コーナーやスーパーで販売した。
 しかし、しばらくすると輸送時に割れやすく、多くのロスが発生することが判明し、1年後に販売を休止した。
乾燥させてオーブンで焼き上げている様子の写真。これが第2段階。 改良に向け、次にアドバイスを求めたのは菓子メーカーで煎餅を開発した実績を持つシルバー人材だ。粉の種類や配合、乾燥・焼成の温度や時間を何度も見直し、1年をかけて約160回もの試作を重ね、輸送時に割れにくく、イカの風味がより強く感じられる現在の煎餅を完成させた。
 生イカと干したイカの両方を使ったり、低温の挟み焼き機と高温のオーブンで二度焼きしたりと、おいしさを引き出すためにさまざまな工夫を凝らしている。
 開発には、ISICOの活性化ファンド事業の助成金を活用した。
 能登いか煎餅の開発や製造を統括する浅井英輝(ひであき)さんは、「現在のラインアップは5枚入りと10枚入りだが、職場などへの土産用に20枚入りも検討したい。能登には銘菓が少ないが、人気漫画にいか煎餅が登場するなど、少しずつ認知度も上がっている。さらに売り上げを伸ばして雇用にもつなげていきたい」と意欲を燃やす。

原価計算を見直し価格や内容量を適正化

 和平商店では商品開発だけでなく、経営力強化にもISICOの支援メニューを役立てている。2021年度からは専門家派遣制度を活用し、中小企業診断士の助言を得ながら、利益体質の改善に取り組んでいる。
 例えば、利益を出すための原価計算の考え方について指導を受けたこともその一つだ。それまでの同社の原価計算は自己流で、どんなに仕入れや販売を頑張っても、決算では利益が出にくい状態が続いていた。
 原価計算や原価率を見直し、全商品の価格や内容量を適正化することで、今ではしっかりと利益が出せるようになり、決算内容も改善した。

海外市場の開拓を目指し商品開発や衛生管理を強化

 人口減少による国内市場の縮小、イカの価格高騰、円安の影響などを考慮し、同社では海外市場を将来有望な販路と考えている。
 そのため、6、7年前から海外バイヤーとのマッチング商談会に参加するほか、ISICOの助成金を活用して海外市場を見据えた商品開発も進めている。その一つは油はねしない天ぷら用のイカだ。干して皮と身の間の水分を抜くことで油はねを防ぐ商品で、アジアの日本食レストランをターゲットにしている。また、糀を使ってまろやかに仕上げたイカの塩辛は、発酵食品のニーズが高く、健康志向のシンガポールなどで販路拡大を目指している。
開発・製造を担当する浅井英輝さんの写真。浅井和平社長の長男。 既存の商品でも、能登の伝統的な魚醤いしるを使った一夜干しは海外でも評判がよく、能登いか煎餅も赤いパッケージが好まれるのか、香港から旧正月にまとまった注文が入るという。
 新型コロナの余波を受け、輸出は足踏み状態が続いたが、今後の取引増加に向け、食品衛生管理の国際基準「HACCP(ハサップ)」による衛生管理をさらに厳格化するなど、動きを加速させていく。

企業情報

企業名 株式会社 和平商店
創業・設立 設立 2009年10月
事業内容 船凍イカ加工品の製造・ 販売

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.126
備考 情報誌「ISICO」vol.126より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.126


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