ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 【巻頭特集】能登で人気の農家民宿を承継 夢の実現目指し、開業準備着々 ~土とDISCO

本文

【巻頭特集】能登で人気の農家民宿を承継 夢の実現目指し、開業準備着々 ~土とDISCO

印刷ページ表示 更新日:2023年3月22日更新

事業承継には「後継者人材バンク」の活用を
経営資源を引き継ぎ、コストとリスクを低減

ISICOが運営する石川県事業承継・引継ぎ支援センターでは、創業希望者と後継者のいない中小企業・小規模事業者をマッチングするための「後継者人材バンク」を設け、成約につなげている。既存事業を承継する場合、設備やノウハウ、取引先といった経営資源を引き継いでスタートできるため、初期投資やリスクの低減が可能だ。後継者人材バンクを活用して新たな一歩を踏み出した2人の取り組みにスポットを当てた。​

今春オープンへ 内部をリノベーション

田村さん夫妻の写真。民宿&カフェ「土とDISCO」は築120年の古民家で、囲炉裏や仏壇が残されている。 のと里山海道穴水インターから国道249号で車を20分ほど珠洲方面へ走らせると、左手に緑に囲まれた古民家が見えてくる。2021年8月に東京から能登町に移住した田村早苗さんが民宿&カフェのオープンに向け、準備を進める「土とDISCO」だ。
 もともとは「ゆうか庵」という人気の農家民宿だった建物で、田村さんが近隣の田畑と山林を含めて引き継いだ。ダイニングキッチンや浴室・洗面スペース、玄関は既にリノベーションを済ませ、大きな仏壇と囲炉裏のある和室や寝室なども今後手を入れ、この春の営業開始を目指す。
 リモートワークを中心に東京のインターネット企業で働く夫の哲史(さとし)さんが、農園の管理など運営をサポートするとはいえ、1歳の長男の子育て中とあって、当面民宿は1日1組、週末のみ受け入れ、平日の日中は奥能登の野菜を使ったスパイスカレーや菓子を味わえるカフェを開く予定だ。

海外経験が起業の原点 懐妊が移住の決め手に

 田村さんは1989年、金沢市生まれ。宿の経営を志したのは大学時代にさかのぼる。2年間休学し、世界各地を旅しながらゲストハウスに泊まり歩くうち、「そこで生まれる出会いがとても刺激的で、自分でも人と人とが出会う場所を作りたい」と考えるようになった。
 大学卒業後は東京のIT企業などで7年間勤務し、資金を貯めた。能登での開業のきっかけは2020年2月に県とISICOが都内で開催した移住・創業セミナーに参加したことだった。能登で古民家を改装した宿泊施設を経営する移住者の体験談を聞き、漠然としていたイメージが現実味を増した。能登を訪れたことがなかった田村さんと哲史さんはすぐさま旅行を計画。この際、宿泊したのがゆうか庵だった。
リノベーショ ンしたダイニングキッ チンの写真。手前にはバーカウ ンターを設置している。 ゆうか庵を営む中田さん夫妻と田村さんは思いがけず意気投合した。というのも中田さん夫妻は、ゆくゆくは娘の住む大阪へ身を寄せるため、5年ほど前から後継者を探していたのだ。しかし、築120年の家屋だけでなく田畑と山林も含め、東京ドーム1個分の土地を一括で売却という条件がネックとなり、引き継ぎは難航していた。その点、自然が好きで、農業や森を活用した遊び場づくりにもチャレンジしたいと考えていた田村さんにとってはむしろ好条件だった。
 承継を決めたのはそれから半年後のことだ。新型コロナがなかなか収束せず、「自由に遊びに行けないなら東京にいても意味がないと感じるようになった」と田村さん。そして、このタイミングで長男を授かり、「子育てするなら東京よりも田舎で」との思いにも背中を押された。

コーディネーターの支援で安心して事業譲渡契約結ぶ

 承継にあたって田村さん夫妻は3週間、ゆうか庵に住み込んで研修を受けた。近隣へのあいさつ、瓦や井戸のメンテナンス、裏庭の手入れ、草刈り機やピザ窯の使い方、山菜マップの作成など、田村さん自身が30項目にわたるリストを作り、引き継いでいった。ゆうか庵の名物メニューだった「ブルーベリーおこわ」の作り方も教わった。
 苦労したのは田畑の承継だ。日本では農地法により農家でない人による農地の購入が厳しく制限されている。そのため哲史さんがJAはくいや、いしかわ農業総合支援機構が主催する農業塾に通って知識や実務を学んだほか、膨大な量の書類を作成して能登町役場や農業委員会に熱意を伝え、許可を得た。
キウイフル ーツの木をせん定する田村さんの写真。 事業承継・引継ぎ支援センターの後継者人材バンクに登録し、支援も受けた。「当初は不動産売買契約で進めるつもりだったが、コーディネーターから助言を受け、事業承継・引継ぎ補助金を活用できる事業譲渡契約に切り替えた。契約書も専門家がチェックしてくれて、調印にも立ち会ってもらえたので安心して承継できた」と田村さんは笑顔を見せる。
 家屋や土地の購入、各種手数料などは田村さんの自己資金でまかなった。リノベーションは自己資金に加え、ISICOの起業支援金、能登町の創業・継承支援事業補助金などが助けとなった。今後は事業承継・引継ぎ補助金も活用しながら、さらに宿の魅力をアップさせる計画だ。

自然と音楽、ダンスを介して多様な人が集まる場に

 移住、承継から約1年半が経過し、「自然の厳しさや古民家のメンテナンス、広大な山林の管理など、田舎暮らしは思っていたより大変」と苦笑いする田村さん。そのため思ったように準備も進まないが、昨年は、友人や以前の仕事仲間の協力を得て、宿を試験的に営業し、本格オープンを前に課題を探った。
 土とDISCOというネーミングには、「二人が好きな自然と音楽、ダンスを介して、都会の人も地元の人も海外の人もごちゃ混ぜになって楽しめる場所にしたい」(田村さん)との思いを込めている。
 家族とともに、新天地で夢に向かってたくましく前進する田村さんにエールを送りたい。

「後継者人材バンク」をご利用ください

後継者人材バンクの実績 石川県事業承継・引継ぎ支援センターは、事業承継(親族承継、従業員等承継、第三者承継、引継ぎ創業)に関する課題解決に向けた助言、情報提供およびM&Aマッチング支援等を行っています。
 その一環として取り組んでいるのが、後継者のいない中小企業・小規模事業者と個人起業家を引き合わせる「後継者人材バンク」事業です。有形・無形の経営資源を引き継ぐことができる上、ゼロから起業する場合に比べ、創業時のコストやリスクを低減できるのが大きなメリットです。後継者人材バンクには2017年11月の開設以降、累計で130人の起業家が登録し、
2件が成約しています。
 事業承継に向けた準備は、早期に始めることが大切です。跡継ぎ不在の中小企業・小規模事業者や創業を志す方はお気軽にご相談ください。

 お問い合わせ
ISICO 石川県事業承継・引継ぎ支援センター
TEL.076-256-1031
​https://ishikawa-hikitsugi.go.jp/

企業情報

企業名 土とDISCO
創業・設立 創業 2023年4月(予定)
事業内容 民宿、カフェの経営

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.128
備考 情報誌「ISICO」vol.128より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.128


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク