ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 金型の特殊コーティングでトップシェア 生産性向上へ、新本社工場が稼働 ~(株)オンワード技研

本文

金型の特殊コーティングでトップシェア 生産性向上へ、新本社工場が稼働 ~(株)オンワード技研

印刷ページ表示 更新日:2023年3月23日更新

フロム・ユーザーズ

切削工具や金型、部品などの特殊コーティングを手掛けるオンワード技研は昨年12月、能美市の福島産業団地内に本社工場を新設した。ISICOの支援を受けてデジタル化を進めるなどして生産効率を向上させるほか、クリーンルームを整備して品質を高め、新たな成長分野と見込む医療系部材の受託にも挑戦する。​

国内でいち早く事業化 工具の寿命が大きく向上

営業部の様子の写真。部署内のモニターでは、各装置の加工状況や現場の映像をリアルタイムで確認できる。 オンワード技研は、ガスなどを原料に真空中に発生させたプラズマによって、工具など金属の表面に特殊コーティングを施す技術者集団だ。同社の主力であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングは1/1000ミリ単位の極めて薄いものだが、ダイヤモンドのように硬度が高く、耐摩耗性を向上させる。その結果、加工前に比べ、工具などが長持ちするようになるという。
 1986年に織物業から業態転換した同社は、大学や研究機関との共同研究により、国内でもいち早くDLCコーティングを事業化した。その後、より性能に優れた新製品を次々と生み出し、コーティング装置も自前で開発。特許も数多く取得している。
 DLCコーティングのパイオニアとして業界で高い認知度を誇るほか、顧客ニーズを満足させる技術力と提案力、品質管理体制を強みとして着実に成長。今では全国約600社と直接取引し、特に金型のDLCコーティングでは国内トップシェアを占めている。

デジタルツールを導入し情報共有や意思疎通を円滑化

新本社工場の外観写真。 新設した本社工場は鉄骨2階建てで、敷地面積は1万2,941平方メートル、延べ床面積は3,479平方メートル。それぞれ旧本社工場の約3倍の広さとなる。現在はまだ設備の半分を移設しただけだが、今年8月には能美市の「いしかわサイエンスパーク」内にある技術研究所を含め、県内のすべての機能を集約させる。
 「旧本社工場が手狭になり、新規設備の導入が難しくなっていた。また、何度も建て増ししているため、作業動線が非効率になってしまうなど、さまざまな問題を抱えていた」。同社の川畠丈志社長はそう話し、安心して働ける職場環境の実現、生産効率の向上、企業の知名度やイメージのアップを目指して、新本社工場の建設に踏み切った。
 新本社工場では、作業動線を最適化したほか、組織の再構築や多能工化、工程の自動化、専用設備の導入などを通じて、生産効率が約20%向上すると見込んでいる。
 また、広くなった社屋でも円滑に情報を共有し、社員同士が意思疎通できるよう、ISICOのデジタル化設備導入支援事業を活用し、現場まで行かなくてもコーティング装置の稼働状況を確認できるモニターを社内各所に設置。各エリアに配置した360度カメラで社員の所在を確認し、必要に応じてリモートで会話できるシステムも今年中に稼働する予定だ。

クリーンルームを整備 医療分野の受注増目指す

加工見本の写真。被加工材や用途に応じて最適のコーティングを提案する。 新本社工場の目玉の一つは、DLCコーティングの作業エリアを空気中のちりやほこりを少なく保つクリーンルームにしたことだ。
 同社では近年、パソコンやスマートフォン、タブレット端末、電気自動車などに搭載される電子機器部品を製造する際に用いられる金型をコーティングする注文が伸びている。これらの金型はサイズの小さなものが多く、その分、繊細な品質管理が求められる。空気の清浄度に加え、温度や湿度も一定に自動制御することで、さらに品質を向上させ、一層の受注拡大を目指す。
 もう一つの狙いは医療分野への進出だ。
 同社では、金沢医科大学や金沢工業大学と連携し、人工関節などのインプラントに抗菌性を持たせたり、骨の成長を促進させたりするDLCコーティングの開発に成功した。また、ISICOの「いしかわ次世代産業創造ファンド」事業に採択され、発がん性のあるベンゼンの代わりに、アセチレンをコーティングの原料として使い、安全性を高める技術も確立した。
 川畠社長は「医療分野を次の主要分野と位置付け、成長させる」と力を込め、販路拡大に向けては、クリーンルームも大きなPRポイントとなる。

専門家派遣や助成金などISICOの支援をフル活用

川畠社長の写真

 2023年度から3年間の中期経営計画の策定においても、ISICO内にあるよろず支援拠点や専門家派遣制度を活用して、専門家から助言を受け、感覚ではなくデータに基づいた分析、目標設定が実現した。
 中期経営計画にはBCP(事業継続計画)も盛り込む。同社では本社工場が西日本エリア、栃木県真岡市の関東工場が東日本エリアの顧客をカバーしているのだが、東日本大震災の発生時には、約3カ月にわたって関東工場の生産がストップ。その間、本社工場が生産を肩代わりし、納期に間に合わせた経緯がある。今後はハード・ソフトの両面で関東工場を増強し、相互のバックアップ体制を整える。
 「品質管理の向上や製造原価の見直しなど、ISICOの専門家派遣制度を何度も利用した。助成制度もたびたび使っている」と話す川畠社長。今後もISICOの支援メニューをフル活用しながら飛躍を期す。

企業情報

企業名 株式会社 オンワード技研
創業・設立 設立 1986年4月
事業内容 PVDコーティング受託加工

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.128
備考 情報誌「ISICO」vol.128より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.128


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク