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ISICOは2月15日、ECセミナーをオンライン開催し、県内企業の経営者やウェブ担当者らが参加しました。セミナーでは、ISICOの専門家派遣制度を活用してホームページ(HP)を改善し、ウェブからの集客に成功した(株)出口織ネームの狭間則宏氏と浜田紙業(株)の浜田浩史氏が事例発表しました。その内容をダイジェストで紹介します。
講師
(株)出口織ネーム(ジャカード織物製造業)
代表取締役 狭間 則宏 氏
当社では2022年8月にHPをスマホ対応サイトにリニューアルして検索広告を出したことで、月平均30~40件から3カ月連続10件台に急下降していた問い合わせが、70~80件にまでV字回復しました。現在、新規顧客の100%がウェブ経由になっています。
これまでHPに手を加え、閲覧数が上昇に転じたことが何度かありますが、大幅リニューアルは02年の開設以来2度目で、年内に実施できればと考えていたものを前倒しし、急きょ実行したものでした。実は、当初は22年3月に追加した求人ページと、スマホサイトの案にアドバイスを受けるため、22年4月にISICOの制度を利用してAMSの古倉功一氏の専門家派遣を申し込んでいたのです。
ところが、6月から3カ月連続で問い合わせ件数が10件台となり、その原因が更新頻度の少なさとスマホ対応になっていないことと考え、リニューアルに踏み切りました。当初はスマホ対応に加えて、かっこよくて見やすい写真の追加・変更、伝わりやすい文章の追加・変更、目次ページの削除、タイトルとディスクリプション(※1)の変更、URLの一部変更を予定し、デザイナーにもそう発注していました。
しかし、専門家からこれではアクセスは増えないとアドバイスがあり、ページ数は減らさず、タイトルとディスクリプションも、URLも変えないことにし、変更は問い合わせと電話発信用のボタンを追加するにとどまりました。
リニューアル後には、スマホの写真拡大表示用に画像差し替え、問い合わせボタンの追加と位置変更、ランディングページ(※2)の内容修正、製品ページのレイアウトと内容の追加・修正、ブログのデザインテーマ変更と記事投稿などを実施し、更新頻度を高めています。
リニューアルに合わせて、広告の出稿も開始しました。そもそも、YAHOO!もGoogleもHPがスマホ対応になっていなければ、広告を出すことができません。検索広告の初期設定には、広告を表示させたいキーワードの選定、広告に使う見出しと説明文、広告をクリックした際のランディングページ、1クリックの単価、1日の広告費を決める必要があります。これらの設定は広告の効果と効率に大きく影響するため、表示回数、クリック数、コンバージョン数(※3)、問い合わせ件数、問い合わせの参照元、受注件数、受注金額といったデータに基づき、細かな調整を加え、これまでに8回も見直しています。
両社とも広告運用のサポートは手厚く、無償サポートやオンラインセミナーもあります。中でも強力に勧めてくるのがAIによる自動化です。ただし、AIの指示に従うと受注につながらない問い合わせが増えるというのが、今の肌感覚です。当社では、受注業務を人間が丁寧に対応していることが30~40%のリピート注文率につながっている要因だと考えており、現在はAIより専門家のアドバイスの方が有用と感じています。
こうした結果、21年と22年の9~12月のアクセスを比べるとモバイル比率が約40%から60%に増え、参照元は検索サイトが約70%から30%に減る一方で、広告経由がゼロから60%ほどに膨れ上がっています。ずっと広告費を払っていかなければならないのかという心配もありますが、年末年始に広告を止めた時も、検索結果の表示画面からの流入は昨年より増えており、今後も両方の強化を進めていきたいと考えています。
企業名 | 株式会社 出口織ネーム |
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創業・設立 | 創業 1950年 |
事業内容 | ジャカード織ネーム、オリジナル商品の製造販売 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.128 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.128より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.128 |