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ISICOは2月15日、ECセミナーをオンライン開催し、県内企業の経営者やウェブ担当者らが参加しました。セミナーでは、ISICOの専門家派遣制度を活用してホームページ(HP)を改善し、ウェブからの集客に成功した(株)出口織ネームの狭間則宏氏と浜田紙業(株)の浜田浩史氏が事例発表しました。その内容をダイジェストで紹介します。
講師
浜田紙業(株) 紙の宅配便(家庭紙卸売業)
専務取締役 浜田 浩史氏
当社が二つの自社HPを開設してECに乗り出したのは2019年2月のことで、一つはWordPress(※1)を使った法人向けの自社サイト、もう一つはショップサーブ(※2)を使った個人向けの公式通販サイトです。この4年で、ECの売り上げは月間1,000万円ペースが見えるところまできました。
ECの良いところは、お金の振り込みが先であること、24時間365日稼働してくれること、興味を持っている人が問い合わせしてくることなどがありますが、最も良い点は取り組みの効果をデータで検証できることにあるのではないでしょうか。
ISICOから派遣された専門家、AMSの古倉功一氏にアドバイスを受けながら、具体的に何をしたかを大別すると、(1)問い合わせの改善(2)事例紹介(3)ブログ(4)Google検索広告-の四つに集約できます。
まず一つ目の問い合わせについては、問い合わせフォームへのリンクバナーを大きく目立つ位置にし、「電話やメールでお問い合わせ下さい!」と大きく入れ、その直下に電話番号を目を引くように記載しました。これは私自身、フォームに文章を打つより電話の方が敷居を低く感じることと、実際、企業間取引(B2B)は電話での問い合わせが多数派を占めるからです。
二つ目の事例紹介は、法人客を誘引するには不可欠です。内容は、海外へ商品を発送した、寿司店にドリップシートを納品したなどの実例を載せています。こちらも事例ページへの大きなリンクバナーを用意しました。
いずれの取り組みもアクセスと問い合わせの増加につながりました。ポイントとなるのが、増加したアクセスは誰なのかということです。アクセス解析を見ると、デスクトップPCが75%を占め、夜や土日に数が落ちています。法人はデスクトップPCを使うケースが多いことから、増加分は法人客が多数であると推定でき、実際にB2B取引も増えました。
三つ目のブログは閲覧数を稼ぐためのものですが、ブログを通して多数の印刷会社から見積もり依頼が来て、結果的に10社と新規に取引を開始しました。ブログの内容は、紙問屋ならではの専門性のある記事です。中でも、紙やティッシュペーパーの値上げに関する記事は人気で、多いと1日で2万アクセスあり、「紙 値上げ」で検索すると大手サイトを抑えて当社のブログがトップに表示されます。
このアクセスを売り上げにつなげるため、人気記事のトップには問い合わせバナーを入れ、アクセスを維持するため、紙の値上げに関する記事は状況の変化に合わせて追記やリライトを120回以上重ねています。一方、気合いを入れて書いた紙の歴史の記事はアクセスがわずかで、ブログは大砲ではなくマシンガンを撃つつもりで取り組むのが良いと思います。
四つ目のGoogle広告には効率の良さを感じています。広告をクリックして初めて課金されるため、無駄打ちが少ないからです。例えば、「ティッシュ 大量仕入れ」をキーワードにしておけば、大量仕入れしたい方が、当社HPを見て問い合わせてきます。
そして重要なことは、一度つながりを持ったリピート客には手間を掛けて感謝を伝えることです。当社では私やスタッフの書いた手書きのお礼状やレターを送っています。今、当社の新規顧客は99%がウェブからです。今後は恐らくAIが集客を担うようになると思いますが、その中でも、人間はAIにできない部分に注力していくべきだと感じています。
企業名 | 浜田紙業 株式会社 |
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創業・設立 | 設立 1965年6月 |
事業内容 | ティッシュ、トイレットペーパー、おむつ等の衛生用紙、ダンボールシート、魚を包む緑の紙、採便シート、印刷用紙など紙製品全般の卸売業 |
関連URL | 情報誌ISICO vol.128 |
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備考 | 情報誌「ISICO」vol.128より抜粋 |
添付ファイル | |
掲載号 | vol.128 |