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大学の知見と経験を社会に生かす「ワンストップサービス窓口」に相談を ~金沢大学先端科学・社会共創推進機構

印刷ページ表示 更新日:2023年12月25日更新

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産学連携の重要性が説かれて久しい。金沢大学では、これまで蓄積した知見や研究成果をもとに、企業や自治体などが抱える問題の解決、新しい価値観や産業の創出、人材育成に取り組んでいる。組織の再編・統合により、社会課題を解決するハブとしての機能を強化し、企業からの相談も積極的に受け入れている。​

20人の専門スタッフが対応

 金沢大学では2019年2月、地域連携推進センターと先端科学・イノベーション推進機構を再編・統合し、先端科学・社会共創推進機構を設置した。同機構が教育・研究の高度化や研究支援とともに力を注いでいるのが「産学連携による研究成果の社会への還元」だ。
 企業などから寄せられるさまざまな相談に対応するために設けているのが「ワンストップサービス窓口」である。簡単な技術相談から本格的な共同研究まで受け付けており、県内外の民間企業との共同研究件数は3年間で約10%伸びた。
 窓口で相談を受けるのは、約20人のリサーチ・アドミニストレーター(URA)である。URAとは、大学や研究機関、企業の研究活動を支援する「専門職」で、同機構では研究畑を歩んだURAと民間出身のURAが在籍し、多様な視点と柔軟な発想で相談者に対応できる体制を整えている。

企業や自治体からの相談を受けるURAのメンバーの皆さんの写真

企業と研究者との橋渡し役

 企業からの相談に対し、URAは内容を問わず相談に乗り、ニーズの聞き取り調査を行う。「製品開発のアドバイスがほしい」「大学の研究・特許・設備などを利用したい」「新規分野を開拓したい」「ネットワークを構築したい」「研究者や学生と気軽に話したい」など相談は多岐にわたる。
 URAは、相談内容をもとに、企業とマッチする研究者がいないかを調べ、橋渡し役をする。時には企業の問題解決を優先し、他大学の研究者を紹介するケースもあるという。
 その後、企業は「学術コンサルティング」として、研究者から教育研究・学術上の専門知識に基づき、指導・助言を受ける。費用としては1時間2万円からとなっている。学術コンサルティングで解決できる問題も少なくないが、さらに踏み込んで取り組むには、企業と研究者とが共通の課題について研究・開発する「共同研究」という選択肢もあり、費用負担は内容による。

研究成果の社会実装進む

「TAPPY」を利用する女性の写真 2022年度の共同研究件数は312件で、研究テーマも幅広い。例えば、2020年度から始まった北菱電興(金沢市)との共同研究では、「製造業における働きがいと労働生産性を両立させる新事業開発と実証実験」に取り組んだ。
 この共同研究で生まれたのが2つのツールである。1つは出退勤の際に匿名で感謝の気持ちを送る「TAPPY(タッピー)」だ。これは、その日の退勤時に感謝を伝えたい人をタップして選び、次の日に自分への感謝の数が分かる仕組みである。「FIBACK」を利用する女性の写真もう1つは、働きがいを高める作業のフィードバックツール「FIBACK(フィバック)」だ。製造作業をサポートする治具にセンサーを取り付け、自分の作業時間を記録する仕組みで、時間短縮を狙うなど作業をゲーム感覚で楽しむ人もいるという。これら2つのツールは試験的に導入され、成果を挙げている。 
 また、コマニー(小松市)は、金沢大学とLIXIL(リクシル/東京都)と共同で「トイレのオールジェンダー利用に関する研究会」を発足し、性別を問わずに利用できるトイレに関する意識調査を行った。調査は2022年11月、心と体の性別が一致しない「トランスジェンダー」325人を含む1,325人に実施した。2023年6月に調査結果を発表し、トランスジェンダーの約4割が、職場で利用したいトイレを利用できていないと回答したという。

学生とのディスカッションも

 企業とともに増えているのが自治体との共同研究だ。中能登町とは「持続可能な観光地域づくりに関する調査研究」、羽咋市とは「羽咋市の都市像に係るグランドデザイン事業に関する研究」と「小学生の交通事故削減に向けた研究」、小松市とは「公立小松大学の小松市への経済波及効果に関する共同研究」などの実績がある。
金沢大学先端科学・社会共 創推進機構のオフィスがある本部棟の写真 このほか、「北陸未来共創フォーラム」を創設。北陸地区の国立4大学と、企業・団体・行政機関が協業する産学官金共創システムを構築し、全国の地方創生のロールモデルの形成を目指している。会員登録すれば、シンポジウムに参加したり、コーディネーターによる会員同士のマッチングを受けられたりするほか、グリーンイノベーションなど8つの分科会やワーキンググループに参加できる。
 同機構の産学連携部門の責任者を務める安川直樹准教授は「大学に相談するというと材料工学や化学を想像されるかもしれないが、学生にも集まってもらってディスカッションをしてアイデアを出してもらうといった使い方もできる。できる限り要望に応えるので一度相談してほしい」と話している。

企業情報

企業名 金沢大学先端科学・社会共創推進機
創業・設立 発足 2019年2月
事業内容 基礎研究から応用研究に至る全領域の研究支援、 産学官連携により得られる研究成果の社会還元の促進

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備考 情報誌「ISICO」vol.131より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.131


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