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エタノール製剤を新たな事業の柱へ 加賀市内で工場を増設 ~エネックス(株)

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サキドリ

福井市に本社を置き、リサイクルトナーの製造などを手がけるエネックスは、2016年に旧菅谷小学校の校舎や体育館をリノベーションし、加賀工場として活用している。昨年4月には、ISICOの支援を受けて新棟を増設し、新たな事業の柱と期待するエタノール製剤の製造に乗り出した。​

日本海側初の生産拠点 ホワイト物流に寄与

エタノール製剤「エネコール」の写真 エネックスは、未活用だった敷地内の旧運動場部分に建築面積約1,235平方メートルの「危険物製造所」を増設し、エタノール製剤「エネコール」を製造する。
 エネコールは食品工場や飲食店などで調理器具や製造ライン、調理者の手袋・長靴などの除菌、加工食品の殺菌剤・防腐剤として使用される。新棟竣工後、7月から製造・販売を開始し、今春の本格稼働を予定している。
 「日本海側にはエタノール製剤を製造できる工場がなく、北陸の食品事業者は神戸、仙台、静岡あたりから輸送している。また、消防法によって保管できる量が規制され、ユーザーは大量に手元に置いておくことはできない。“地産地消”はホワイト物流(※)を推進する上でも一助になると考えている」。そう話すのは梅田智史副社長だ。
新工場の内観写真。液体混合槽が並ぶ 既に石川県内の菓子メーカーや弁当メーカー、総菜メーカー、醤油メーカーなどから受注を獲得し、滑り出しは上々だ。能登半島地震を受けては、被災者やボランティアの皆さんの感染症対策にも役立ててもらおうと、県を通じて約17,000本を寄付した。
 ちなみに旧菅谷小は梅田礼二社長と長男である梅田副社長の母校だ。「生まれ育った地域に貢献したい」(梅田社長)との思いで、2015年の廃校と同時に土地と建物を買い取り、2016年から加賀工場として活用している。

(※)物流業界において、健全で安心して働ける労働環境の実現を目指す取り組みのこと。

コロナ禍で売上減 新事業で反転攻勢へ

 同社はプリンターの使用済みカートリッジに、トナーやインクを補充したリサイクル製品のトップメーカーで、化粧品や医薬部外品にも使われる機能材料、濁水処理プラントの開発なども手がける。
 業績は順調に伸びていたが、2020年以降のコロナ禍で急ブレーキがかかった。職場でリモート勤務やウェブ会議が増えるとプリンター関連の注文は激減。外出の機会が減り、マスクを着用する場面が増えたことで、化粧品関連の売り上げも減少した。
 こうした状況を打開するため、新たに乗り出したのがエタノール製剤事業だ。同社では生産装置の洗浄用にエタノール製剤を仕入れており、コロナ禍では入手できずに困っていた取引先や従業員などに配っていた。コロナ禍が収束すれば特需は終わるが、北陸にエタノール製剤の製造拠点がなく、物流の2024年問題を懸念する取引先から「作ってほしい」「生産を委託したい」といった声を受け、参入を決めた。
 また、化粧品等の材料でも危険物に分類される動物性油脂やアルコールを使用することから、危険物製造所の許可を受けた工場を新設すれば、既存の取引先から新たな仕事を受注できるとの狙いもあった。

アドバイス受け計画書がより緻密に

 新分野への進出を前に、経済産業省の事業再構築補助金に申請しようと、同社が相談に訪れたのがISICOだった。
 申請にあたってはISICOが認定支援機関として事業計画書の作成などをサポートした。
梅田社長と長男の智史副社長の写真 梅田副社長は次のように振り返る。
 「当初の事業計画書は事業範囲が幅広く、内容も薄っぺらいものだった。しかし、提出できる計画書はページ数が限られているので、手を広げすぎず、最も重要なことに絞り込むべきとISICOから指導を受け、新規事業となる食品添加物分野に絞った内容に書き直した。その結果、事業計画がさらに緻密になったほか、事業を推進する上での弱点も見えてきて、対策を施すことができた。事業計画書が現実的で魅力のある内容に仕上がったおかげで採択につながった」。

ゆくゆくは全国展開 2030年に売上10億円拡大へ

 エタノール製剤は製品自体の差別化は難しいため、同社では納期や価格での優位性を生かし、まずは北陸3県をはじめ、岐阜、滋賀、新潟でシェアを上げ、その上で、ユーザーの声をもとに付加価値の高い製品の開発を目指す。
加賀工場の全景パース。左上の建物群が新たに整備した「危険物製造所」 また、医薬部外品として認可されたエタノール製剤の製造に向けても準備を進めている。認可されれば、公立の病院や官公庁などへの入札も対応可能になる。梅田副社長は「プリンター関連事業では全国1,400の販売代理店があり、この流通網を通じて全国に展開したい」と意欲を見せる。
 エタノール製剤の提案を通じて、食洗機用洗剤の開発を受注するなど、思いがけない新たなニーズに出会えることもあり、こうした新事業で2030年に10億円の売上拡大を目標に掲げている。

企業情報

企業名 エネックス 株式会社
創業・設立 創業 1972年2月
事業内容 プリンティングサプライ事業、機能材料事業、環境機材事業

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.132
備考 情報誌「ISICO」vol.132より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.132


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