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業務の効率化と市場開拓を目指し、新たな3次元計測機器を導入 ~(株)地域みらい

印刷ページ表示 更新日:2024年3月22日更新

フロム・ユーザーズ

建設コンサルタントの地域みらいはISICOのデジタル化設備導入支援事業を活用し、2022年度に新たな3次元計測機器を導入した。これにより、事業の柱として育ててきた3次元計測・モデリング業務を大幅に効率化すると同時に、従来とは違う顧客の開拓や用途開発に力を入れる方針だ。​

計測や処理にかかる時間や工数を大幅短縮

SLAM式LiDARを搭載して飛行するドローンの写真 地域みらいが導入したのは、「SLAM(スラム)式LiDAR(ライダー)」とこれを搭載するドローンである。SLAM式LiDARは、レーザーを照射し、物体に当たって戻ってくるまでの情報を収集し、自身の位置や周辺環境を把握しながら、土地や建物などの形状を読み取る計測機器だ。
 1秒間に192万点の情報が取得可能。さまざまな角度からレーザーを照射することで、一見すると樹木などで隠れて見えない地表部分も計測できる。重さは1.5キロほどで扱いやすく、ドローンや車両に搭載して使うだけでなく、手持ちで歩きながらの計測にも適している。
 位置や角度を変えながら何度も測定する必要があった従来の地上型レーザースキャナーに比べ、データの計測や処理にかかる時間や工数が大幅に短縮できる点も特長の1つだ。例えば、1ヘクタール分のデータを計測・処理する場合、以前は延べ3名で12時間をかけていたが、新たに導入した機器では1名、40分で済む。ドローンを使えば、現場に人が入らなくて済むので、災害時などは安全面でもメリットがある。

民間への営業ノウハウ 専門家から学ぶ

 同社が3次元計測に取り組み始めたのは2005年にさかのぼる。これは全国的に見ても非常に早いタイミングだった。以降、計測はもちろん、取得したデータを使ってCGを作成するなど、ソフトの分野でもノウハウを蓄積し、2015年には3次元関連事業が総売上の約20%を占めるまでに成長し、新たな柱になった。しかし、同業他社の参入によって独自性や優位性が低下したほか、計測や処理にかかる時間や工数が増加し、受注の上積みが困難になったことなどを理由に、18年以降は伸び悩みに直面した。
 そこで、3次元関連事業をてこ入れしようと導入したのがSLAM式LiDARだった。「中小企業にとっては多額の設備投資になるので、補助金は大きなインセンティブになった。また、補助金の申請書を作成する際には市場性や収益性を検討し、数字を入れながら書くので、担当者にとっていい勉強の機会になっている」と北原良彦社長は話す。
 SLAM式LiDARの導入には、従来の主要取引先である官公庁だけでなく、民間企業からの受注を増やしたいとの思いもあった。とはいえ、同社には企業への営業経験がほとんどない。そのため、機器の導入に先駆け、ISICOの「経験値活用型サポート人材交流会」と「専門家派遣事業」を活用してテレビ局や大手自動車部品メーカーに勤務経験があり、視覚的コンテンツやデジタルデータの扱いに長けた専門家からノウハウを学んだ。

災害現場の測量や地形の実態調査に活躍

北原良彦社長の写真。新機器

 では、SLAM式LiDARは導入後、どのように活用されているのだろうか。2022年に能美市や白山市、小松市、七尾市で豪雨災害が発生した際には、被災現場のデータを計測。その効率性や正確性、安全性を大いに発揮した。
 年初に起きた能登半島地震の復旧・復興に向けても存分に活用されている。同社では1月2日から対応にあたり、損壊したのと里山海道や国道249号、大規模な土砂崩れが発生した輪島市市ノ瀬町などでの測量にSLAM式LiDARを投入。「使命感を持って取り組んでいる」と北原社長は話す。
 昨年には北國新聞社からの依頼で白山市桑島にある白亜紀の地層「桑島化石壁」を計測し、繁茂する草木を取り除いた岩肌を3次元データで再現したほか、白山市尾口にある県内唯一の鍾乳洞「鴇ケ谷(とがたに)鍾乳洞」の内部構造の測定にもSLAM式LiDARが貢献した。
 このほか、北陸技術交流テクノフェア、MatchingHUBといった展示商談会、マッチングイベントに参加し、SLAM式LiDARを紹介したところ、県内外の大学や研究機関、民間企業から注目を集め、現在、5件の案件が進行している。

2台目を導入 新たな商機を模索

 SLAM式LiDARの有用性が確認できたことから、同社では今年1月に2台目を導入した。北原社長は「さらに付加価値の高いものを提供したい」と話し、今後ますます活用の場を広げていこうと意欲を燃やす。
 例えば、SLAM式LiDARで取得したデータを用いて、現実の空間にあるものをそっくりそのままデジタル空間上に再現した「デジタルツイン」を作成し、さまざまなシミュレーションに活用してもらうのもその1つだ。あるいは「VR(仮想現実)」などの先端的な視覚技術に応用し、現実ではできない新たな体験を提供することも可能だ。現実にあるものをデータ上から消したり、見えなくしたりする「DR(減損現実)」にも、新たなビジネスチャンスがあるのではと模索する。
 SLAM式LiDARの導入により、得意とする3次元計測やそのデータを加工する技術にさらに磨きがかかり、同社の成長にも弾みが付きそうだ。

SLAM式LiDARを用いた鍾乳洞の内部構造の測定の写真

企業情報

企業名 株式会社 地域みらい
創業・設立 設立 1972年5月
事業内容 測量、建設コンサルタント、補償コンサルタント、3次元計測・解析

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.134
備考 情報誌「ISICO」vol.134より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.134


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