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おなかに優しい「A2ミルク」の製造を開始 ウェブ受注システムの導入で効率アップも ~(株)ホリ乳業

印刷ページ表示 更新日:2024年6月14日更新

フロム・ユーザーズ

牛乳やヨーグルトなどを製造、販売するホリ乳業は今年2月、金沢市専光寺町に本社と工場を新築移転した。新工場ではおなかに優しいと注目を集める「A2ミルク」の製造を新たにスタート。また、ISICOのデジタル化設備導入支援事業を活用してウェブ受注システムを導入するなどして、業務の効率化を進めている。

消化不良を引き起こすタンパク質を含まず

新工場の外観写真。牛の模型と牛乳パック型の看板が目を引く

 新たに建設した本社と新工場は、敷地面積が約1万4,600平方メートル、延べ床面積が約4,600平方メートル。金沢市袋畠町の旧工場と比べ、牛乳は約3倍、ヨーグルトは約2.5倍の生産能力を有する。全工程で洗浄・殺菌レベルを高め、細菌汚染の原因を減らす「ESL設備」を導入し、紙パック牛乳の賞味期限を従来の7日から12日まで延長することが可能になった。
 この新工場で、ホリ乳業が将来の主力商品として期待をかけ、製造を開始したのがA2ミルクだ。A2ミルクと一般的な牛乳の違いは、βカゼインというタンパク質の差異にある。βカゼインにはA1型とA2型の2種類があり、一般的な牛乳が両方を含んでいるのに対し、A2ミルクはA2型だけを含んでいる。
 A1型のβカゼインは消化不良の原因であり、これを含まないA2ミルクは飲んでもおなかを壊しにくいのが特徴だ。堀初治社長は「日本人の5人に1人は牛乳を飲むとおなかがゴロゴロすると言われている。牛乳を飲みたいけれども、おなかが弱くて敬遠していた人にぜひ飲んでほしい」と話す。

徹底した品質管理で第三者機関から認証第1号

A2ミルクのパッケージ写真。 A2ミルクは、一般的な牛乳に何らかの加工を施して作るわけではなく、A2型遺伝子だけを持つ牛が出す生乳を加熱殺菌して紙パックに詰めたものだ。ちなみに該当する牛は全体の3割程度にとどまる。
 そのため、同社ではA2ミルクの製造に先立ち、原料を供給する関連会社・ホリ牧場の牛の遺伝子を調べて選別し、5棟の牛舎のうち、1棟をA2型遺伝子だけを持つ乳牛の専用にした。工場では、一般的な牛乳もA2ミルクも同じラインを使うが、操業後に機器を洗浄した後、朝一番でA2ミルクを製造することで、混入を防いでいる。紙パックへの充てん後にもA1型のβカゼインが混ざっていないか、定期的に検査を実施する。
 徹底した品質管理が認められ、ホリ乳業は第三者機関である日本A2ミルク協会から認証を得た。国内では現在、6社ほどがA2ミルクを製造しているが、同協会からお墨付きを得たのは同社が第1号だった。
堀初治社長の写真 同社がA2ミルクの製造に乗り出した理由は、その付加価値の高さにある。牛乳はそもそも差別化が難しい商品で、価格競争になりやすい。その点、A2ミルクは機能性に優れている分、安売りを回避できる。同社のA2ミルクは一般的な牛乳よりも5割ほど高い360円で販売しており、堀社長は「収益性が高く、酪農家にもより多く還元できる」と説明する。
 販路は石川県内のスーパーにとどまらず、首都圏や関西圏、中京圏のイオンの一部店舗や食品スーパーに広がり、売れ行きは徐々に伸びている。国内ではA2ミルクの認知度はまだまだ低いものの、オーストラリアやニュージーランドなど海外では既に人気が高まっている。今後その機能性が周知されれば、国内でもニーズはぐっと高まると期待し、堀社長は「ISICOの販路開拓アドバイザーにも協力を仰ぎ、A2ミルクの良さをしっかりとPRできるこだわりの食品を扱うスーパーや生協、食品宅配事業者といった販路を開拓したい」と話す。

受注のシステム化で手間が省け、ミス激減

 また、ホリ乳業ではISICOの支援メニューを活用し、業務の効率化にも取り組んでいる。昨年、デジタル化設備導入支援事業を活用して導入したのがウェブ受注システムだ。
新工場で稼働している紙パックへの充てんラインの写真。 同社では従来、問屋や幼稚園、保育園、給食会社といった地元の顧客からの注文をファクスで受け付け、ドライバーがタブレット端末に入力し、倉庫から商品を集めて配送していた。現在は顧客がウェブ上で注文するとそのデータが自動的に販売管理システムに反映されるようになっている。入力業務の手間や打ち間違いがなくなった結果、ドライバーの受注業務時間は月165時間から80時間に減少した。
新工場で稼働している殺菌装置の写真。 思いがけないメリットもあった。ウェブ受注システムでは、同社が扱うすべての商品が表示されるため、リピート品以外の商品の注文が増えたのだ。
 このほか、顧客が電子発注システムなどを使って配信してくる注文もRPA(※)を使うなどして、定時に自動的に販売管理システムに取り込むようにした。この結果、受注量が旧工場の2倍となっている現状でも、入力業務の作業者が従来の7.5人から5.5人に減り、大幅な効率化とさらなる受注増に対応できる体制づくりが進んだ。同社のような日配食品メーカーでの受注はまだファクスが主流で、こうしたシステムの活用は先進的な取り組みだ。
 新工場では指の静脈認証を利用する勤怠管理システムも導入した。このデータを活用した給与の自動計算や給与明細のメール配信も始まった。今後は原料の在庫や賞味期限の管理もシステム化する予定で、新たな拠点の整備を契機に一層の効率化を追求していく。

(※)RPA:ロボティックプロセスオートメーション。定型的な事務作業の自動化

企業情報

企業名 株式会社 ホリ乳業
創業・設立 設立 1932年3月
事業内容 牛乳、ヨーグルトなどの製造・販売

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.135
備考 情報誌「ISICO」vol.135より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.135


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