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県内2社と連携し、共同配送の実現へ DXにも力を注ぐ ~疋田産業(株)

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サキドリ

疋田産業は県とISICOが創設した「成長戦略ファンド」の後押しを受け、県内企業2社と協力し、取引先への共同配送体制の構築に乗り出した。DXにも積極的に取り組み、業務の効率化を加速させている​。

共通の取引先へ 年内に試験運行

金沢ロボットセンターの内観写真。複数のメーカーの産業用ロボットを常時展示する。

 機械部品などを販売する疋田産業では現在、金沢機工(金沢市)、北菱電興(同)と連携し、共通する取引先への共同配送体制の構築について検討を進めている。
 3社は現在、配送する際に自社の車で運んだり、運送会社に委託したりしているが、40社ほどの取引先が共通しているため、共同便に荷物を集約して配送することで、コストや荷受け回数の削減、積載率の向上、二酸化炭素の排出量削減といった効果を期待する。ドライバーの残業規制が強化され、人手不足が懸念される物流の2024年問題への対応にもつながる。
 運行開始に向け、3社の配送業務の現状を把握するため打ち合わせを重ねており、試験運行や配送管理システムの開発にかかる費用の一部については成長戦略ファンドの助成金を活用する。
 試験運行は年内に開始する予定で、課題を抽出した上で、より効率的な共同配送体制を構築する考えだ。

ファクスで送られてくる注文票の入力を自動化

白山本社の外観写真。 疋田産業ではこれにとどまらず、近年さまざまな業務効率化に力を入れている。その一つが2021年度にISICOのデジタル化設備導入支援事業に採択されて取り組んだAI-OCRを活用した注文データの自動入力だ。
 OCRとは画像データに記載されている文字を読み取り、データに変換する機能のこと。これにAIを組み合わせることで文字の認識精度が大幅に向上する。
 同社では従来、取引先から毎日ファクスで送られてくる注文票を手作業で受発注システムに入力していたが、この業務にAI-OCRを活用し、受注入力業務にかける手間を20%ほど削減した。同時に、取引先からED(I 企業間電子データ交換)システムによって送られてくる取引データについても、一旦印刷し、手作業で受発注システムに入力するやり方を改め、自動化した。

議論の様子や成功事例を共有して意識改革

白山本社のオフィスの様子の写真。業務の効率化を進めている。 同社は2022年度にも再びISICOのデジタル化設備導入支援事業の採択を受け、RPAを導入した。
 RPAは人がパソコンで行っている定型的な事務作業を専用のソフトウェアを使って自動化する技術だ。同社では機械部品などの注文を受けた後、仕入れ先から送られてきた納期の情報を基幹システムに入力する作業を自動化するなど、現在7件の業務をRPA化している。
 ITを活用して業務の効率化を進めるため、同社では2021年に組織横断型の「DX推進チーム」を結成。営業、業務、総務経理、倉庫と担当を振り分けて、各種システムの導入や活用を推進したほか、議論の経過など活動状況はビジネスチャットツール「Microsoft Teams」に掲載し、見える化した。
 当初は既存の業務プロセスを変えることに対して抵抗感を感じる社員もいたが、成功事例を共有したり、チームのメンバーが各拠点に出向いてデモンストレーションしたりすることで意識改革につなげた。これまで述べた以外にも、SFA(営業支援システム)を導入し、データを活用した営業強化などにも注力している。
 こうした取り組みが評価され、同社は経済産業省が中堅・中小企業のDXのモデルケースを発掘する「DXセレクション2024」において、県内企業として初めて優良事例に選定された。今後は倉庫内作業の自動化なども検討する。

ロボットセンターを開設し地元製造業のDXも支援

疋田弘一社長の写真。

 同社では自社だけでなく、取引先のDXに対しても提案力を強化しようと、2023年春に金沢市若宮町で「金沢ロボットセンター」を開設した。
 同センターには産業用ロボット7台とAGV(無人搬送車)システム1台を展示する。複数メーカーのロボットを集めて展示する施設としては北陸最大級。同社のインストラクターによる、労働安全衛生規則に基づいた特別安全教育も実施可能だ。今後は実際のワークを使ったテストもできるようになる。
 「ロボットは導入企業のニーズに応じてカスタマイズする必要があり、この際、要素部品を扱う商社の強みを生かすことができる。地方では数少ない、ロボットの導入提案から設備の製造、設置、アフターサポートまで対応するシステムインテグレーターとして、人手不足に悩む企業の自動化や省力化をお手伝いしたい」と話す疋田弘一社長。開設後、相談件数は着実に増えており、現在数%に過ぎないロボット関連の売り上げをゆくゆくは15~20%まで引き上げたいと考えている。

企業情報

企業名 疋田産業 株式会社
創業・設立 創業 1907年
事業内容 機械部品・工作機械・工業用資材の販売

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.135
備考 情報誌「ISICO」vol.135より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.135


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