ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 情報誌ISICO > 【巻頭特集】CASE01 基幹システムのクラウド化やロボット導入を通じて業務を省力化 ~(株)大和

本文

【巻頭特集】CASE01 基幹システムのクラウド化やロボット導入を通じて業務を省力化 ~(株)大和

印刷ページ表示 更新日:2025年1月30日更新

人手不足に負けない!生産性向上で会社を強く

中小企業で人手不足が深刻化する中、持続的な成長を実現するためには、生産性の向上が不可欠だ。限られた経営資源で最大限の成果を上げるには、先進技術も活用しながら従来のやり方を見直すことが必要だ。今回の巻頭特集では、クラウドサービスやロボット、AIを活用して生産性の向上や業務の効率化に取り組み、この難局を乗り越えようとしている県内2社の事例を紹介する​。

効率化とペーパレス化へ 給与明細をメールで配布

スマートフォンから年末調整の申請をする従業員の写真 シニア世代向けの調理済みチルド食材を製造、販売する大和では、業務の効率化を進めるため、2021年にISICOのデジタル化設備導入支援事業を活用し、勤怠管理と給与計算、人事管理の各システムをクラウド化した。
 導入効果はさまざまな面で表れている。例えば、給与情報の登録に要していた作業時間が半減した。給与明細は紙を使わずメールでの配布に切り替えた。この結果、配布にかかっていた作業時間が約6割減り、ペーパレス化が進んだ。年末調整業務においても、従業員各自がパソコンやスマートフォンから申告できるようデジタル化した。従来は紙で行っていた申告書の配布や回収の手間が省け、事務作業にかかる時間が半減した。
 また、勤怠管理と給与計算、人事管理の各システムを連携させることで転記作業や重複管理がなくなり、業務の合理化が進むと同時に、属人化の解消にもつながった。

手間暇かけたおいしさと豊富なメニューが強み

 業務の効率化に力を入れる背景には、事業の急成長がある。同社では近年、前年比20%を超える急成長を続けており、今後の従業員や受注量の増加に対応できる環境を整備したというわけだ。
 成長要因の一つはおいしさだ。例えば、既製の液体や顆粒のだしを使わず、昆布やかつおから毎日丁寧に取っただしを使うなど、味を左右する工程は手作りにこだわっている。メニューの豊富さも同社の強みだ。同業他社が500種類程度なのに対し、大和では約2,000種類のメニューをラインアップ。手間暇はかかるが、健康的で毎日食べても飽きない味の追求に余念がない。
 出来上がった調理済みチルド食材は全国の介護施設や病院に販売するほか、生協や配食事業者を通じて個人宅にも届けられている。
社員食堂の写真。自社製造の総菜も格安で販売している。 生産量はここ数年、増え続けており、現在は小松市内の3工場で1日に合わせて8万5,000食に達している。
 働きやすい環境づくりにも注力する。例えば、従業員はそれぞれの事情に合わせ、就業時間を1時間単位で自由に決められる。福利厚生の充実にも力を入れる。昨年9月からは社員食堂を無償化。自社で作った業務用の総菜を安価で販売し、物価高が進む中、家計の助けになると好評を得ている。

一部を機械化し人手不足に対応

 事業の急成長に採用が追い付かないため、工場内でも人手不足への対応に向けた改革が進んでいる。
 ISICOの専門家派遣制度を活用し、生産ラインの一部自動化に取り組んでおり、今年2月にはロボットを導入予定だ。ロボットを導入するのは、個人宅向けの商品を作るラインの深絞り包装機の工程である。この工程では従来、2人の従業員がそれぞれ具材とだしを包装資材に入れた後、真空加熱調理へと進む。このうち、だしの投入についてロボットを導入し、自動化する。
ロボットを導入する予 定の深絞り包装機の写真 同社の調理工程は、機械にすべてを任せることができない仕事も多いが、このように自動化できる部分にロボットを導入することで、より繊細で機械任せにできない工程に人材を配置することが可能になる。
 同社の桑原(注:桑は正しくは旧字体)哲也社長は「工場の生産管理についても、デジタル化を進める」と話し、先進技術を活用して効率化と最適化を実現する考えだ。

市場の拡大見据え第4工場建設を計画

 さらに市場での存在感を高めるべく、同社では積極的に新たな挑戦を続けている。その一つとして、2020年からはISICOのチャレンジファンドの支援を受け、調理済み冷凍食品の研究開発に着手した。チルド食品は日持ちが14日程度であるのに対し、冷凍食品は1年間保存することが可能となる。冷凍食品には、施設側の在庫管理の効率化、急な入所者増加への対応力強化、物流業者への負担軽減といった点でメリットがあり、同社では急速冷凍機を導入し、既に約430品目の冷凍商品をそろえた。
桒原社長の写真 また、商品ラインアップの拡充と新たな顧客層の獲得を目指し、高価格帯の冷凍食品の開発にも取り組んでいる。第一弾として、国産牛を使用したプレミアムステーキ重を開発し、今年から試験的に販売する。
 増え続ける受注に対応するため、個人宅向けの商品の製造に特化した第4工場の建設も計画している。
 2040年には団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口がピークになるとの推計があり、シニア世代向けの調理済みチルド食品の市場もまだまだ拡大が続くと見られている。同社は食を通じて、超高齢社会の課題解決に貢献しつつ、持続的な成長につなげていく考えだ。

企業情報

企業名 株式会社大和
創業・設立 設立 1982年10月
事業内容 高齢者(施設・個人)向け調理済み食材の製造、販売など

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.139
備考 情報誌「ISICO」vol.139より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.139


月間アクセスランキングへのリンク

月間アクセスランキング
DGnet 企業情報/バーチャル工業団地/情報誌ISICO


ViVOサイトへのリンク

活性化ファンド・チャレンジ支援ファンド商品開発ストーリー集サイトへのリンク

じわもんセレクトサイトへのリンク

DGnetサイトへのリンク