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生涯使い続けられる一膳を全国に 輪島塗箸の魅力 東京のギフト・ショーで発信 ~小山箸店

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One Step

令和6年能登半島地震で被災しながらも、試練を乗り越え、明日への一歩を踏み出した地元企業の奮闘ぶりを紹介します​。

漆を乾かす独自の装置が損傷

自社開発の「箸アシメ」の写真。箸の片方を動かしやすい八角形、もう片方を軽い力で固定しやすい三角形にした商品

 輪島塗の箸を製造し、全国の百貨店や専門店に卸している小山箸店。漆器業界で合成樹脂塗料が広く使われるようになった今も、変わらず天然漆にこだわり続けている。
 樹液から精製される天然漆は、使い込むほどに増す風合いが魅力だ。一方、合成樹脂塗料に比べて製造時の扱いが難しく、特に乾燥に時間がかかり、塗膜が垂れてむらになりやすい。
 かつては均一に乾かすため、職人が手作業で箸の向きをこまめに変えていたが、作業が煩雑なことから、同店は約45年前に輪島市内では独自となる箸専用乾燥装置「回転風呂」を開発した。湿度を管理した「室(むろ)」の中で、電動装置が数分ごとに箸を180度回転させてむらなく乾燥させる仕組みで、品質の安定と省力化を実現してきた。
 同店の箸作りに欠かせないこの装置が、能登半島地震で大きく損傷した。3月中旬に修復にこぎ着けたが、「自宅兼工場の壁も崩れ、隙間風が吹き込む中では湿度が保てず、漆をしっかりと乾かせるようになるまで、さらに1カ月半の試行錯誤が続いた」と小山雅樹代表は話す。

「元気な姿」を見せたい

手作業で箸に漆を塗る様子の写真 ようやく乾燥工程が安定し始めた矢先に起きたのが奥能登豪雨だった。この影響で、約15年前から力を入れてきたオーダーメードの箸づくりも、先行きが見通せない状況にある。
 同店では、「手の小さな子どもから手の力が弱くなった高齢者まで、誰もが無理なく使える箸を届けたい」という思いのもと、太さを1mm単位、長さを1cm単位で調整しているほか、持ち手や箸先の形状も複数用意し、一人一人の手に最も合った箸を提供している。
 この高い自由度を可能としていたのが、木地加工から塗りまでを自社で手がける一貫生産体制だった。ところが、豪雨で木材の在庫や機械が浸水し、木地加工の工程が止まってしまった。
 苦境は続くが、小山代表の心は折れていない。ISICOの支援を受けて、9月に開催される「東京インターナショナル・ギフト・ショー」への出展を決めた。小山雅樹代表と息子の俊治さんの写真「まずは元気な姿を見てもらいたい」と、復旧への一歩と位置づける。
 現在は息子の俊治さんへの事業承継の準備も進めている。「一人でも多くの方に、手にぴったりな箸を使って生涯食事を楽しんでもらいたい。それが私たちの箸文化への貢献」と小山代表は力強く語った。

企業情報

企業名 小山箸店
創業・設立 創業 1946年
事業内容 輪島塗箸製造卸業

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.142
備考 情報誌「ISICO」vol.142より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.142


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