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【巻頭特集】スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2025

印刷ページ表示 更新日:2025年12月1日更新

未来を変える挑戦者たち 夢の実現へ、渾身のプレゼン

コンテストでプレゼンするファイナリストと会場の風景写真

ISICOは10月28日、県地場産業振興センターで「スタートアップビジネスプランコンテストいしかわ2025」を開催した。将来有望な起業家を発掘するコンテストは今年で19回目を迎えた。当日は全国から寄せられた応募の中から、厳選されたファイナリスト7人が熱のこもったプレゼンテーションを展開した。審査員はBIPROGY(株)(東京)の平岡昭良顧問をはじめ県内外の創業経営者や投資家が務めた。今回の巻頭特集では事前の書類審査で決定した地域活性化賞を含め、各賞受賞者の提案内容を紹介する。​

馳浩石川県知事の写真 コメントする審査員の写真 審査員と聴講者の写真 ビジネスプランについて説明する発表者の写真

感染症を迅速に特定する小型の遺伝子分析装置を開発)

最優秀起業家賞を受賞したビヤニ・マニシュ氏の写真。 ​最優秀起業家賞
ビヤニ・マニシュ
/BioSeeds(株)

 最大600万円のスタートアップ補助金が交付される最優秀起業家賞に輝いたBio Seeds(株)のビヤニ・マニシュさんは、ウイルスによる感染症を簡単に検査できる新型RNA/DNA分析装置「バイオミューラン」について発表した。
 バイオミューランは、北陸先端科学技術大学院大学発のベンチャーである同社が、進化分子工学や電気化学などの技術を駆使して開発した。新型コロナウイルスの流行時に浮き彫りになった、「高価な装置がないと検査ができない」「変異株が見分けられない」「大量の検査が困難」といった課題を解決する。
 本体は1辺が12センチメートルのサイコロ型で、使い捨てのカートリッジをセットし、パソコンやタブレットに接続すれば、わずか5分で準備が整い、10検体を同時に検査できる。PCR検査と同等の高い精度を誇り、変異株の特定も可能だ。コロナだけでなく、インフルエンザやノロウイルスなどにも対応する。
 装置本体と消耗品のカートリッジで収益を上げるビジネスモデルを採用し、装置は石川県内の企業、カートリッジはインドで製造する。特許も取得済みだ。
 2026年に人口14億人を抱えるインド市場で、大学・研究機関向けに販売を開始。その後、日本市場でも販売を計画する。2028年からは医療用途へも展開し、2030年には売上高20億円を目指す。インドと日本、日本と世界の架け橋になろうと意欲を燃やしている。

養豚業界の革新へ、独自の豚精液凍結技術を開発

加藤裕介氏の写真 優秀起業家賞
加藤 裕介/RAL(北陸先端科学技術大学院大学)

 加藤さんは材料科学の研究成果を基に、独自に開発した豚精液の凍結保存事業を発表した。豚の人工受精は普及しているが、現在主流の「生精液」は保存期間が3日程度と短く、品質も不安定な点が課題となっている。加藤さんの特許技術は、これまで困難だった豚精液の長期凍結保存を可能とし、品質保証された精液の安定供給や、冷凍輸送による国際流通が実現する。さらに、飼育コストの削減にも寄与し、「精子ブランディング」という新たな市場を創出することで、業界の革新と食料供給の安定化に貢献しようと意欲を見せている。

AIで病理診断支援 医師の負担を大幅削減

金道敏樹氏の写真 優秀起業家賞
金道 敏樹/SAIL-field(金沢工業大学)

 金道さんは、AIを活用した病理画像診断支援システム「ADVISE(アドバイス)」を発表した。ADVISEはわずか1枚の診断済み画像を学習するだけで、医師の診断能力を獲得できる。ディープラーニングの手法で学習したAIが苦手とした「がんがない」ことを見分ける診断においても、最も病変が疑わしい箇所をハイライト表示することで医師の診断をサポートする。これにより、診断時間を10分の1に短縮し、見落としリスクを低減する。今後は診断支援サービスを軸に、医学教育分野への展開も目指し、10年後に200億円の売り上げを目指す。

廃棄される着物に新たな価値を地域の雇用と技術継承を目指す

大山 愛美氏の写真 地域活性化賞​
大山 愛美/(株)Coatolie

 大山さんが発表したのは、廃棄される着物をアップサイクルし、地域の雇用創出と技術継承を目指すビジネスプランだ。自身も24年の縫製経験を持ち、能登の震災復興に関わる中で事業化を決意した。事業の核は、廃棄着物を海外でも人気が高いルームウェアや上下が分かれた二部式着物として再生し、販売することだ。被災家屋から回収され焼却される着物などを活用する。縫製の担い手不足解消のため、地域の住民や障害者へ技術を指導する教育プログラムも開発する。今後は石川県内に生産拠点を設け、ECサイトを足がかりに販路を拡大する計画だ。

医師と福祉・通信事業者が連携し、過疎地や被災地に専門医療を提供

松田 耕一郎氏の写真 地域活性化賞​
松田 耕一郎/いしかWA安心ネット

 医師である松田さんは、能登半島地震を契機に、過疎地や被災地にも専門医療を届ける「いしかWA安心ネット」の構築について発表した。IBD(炎症性腸疾患)などの専門医が金沢市に偏在する課題に対し、専門医による定期巡回診療と、現地の医師(Doctor)と患者(Patient)を専門医が遠隔支援する「D to P with D」型遠隔診療を組み合わせる。福祉事業者や通信事業者らと連携し、平時・災害時を問わない体制を構築する。さらに、蓄積した診療データを製薬企業に提供する事業も展開し、医療とビジネスの両面から地域活性化を目指す。

ファイナリストと発表テーマ

赤坂 剛史氏の写真

赤坂 剛史/エアシェルパ(金沢工業大学)
能登地震を教訓に─命と暮らしを守るフェイズフリーな次世代物流ドローン(積載量50kg-飛行距離50km)事業

亀谷 仁郁氏の写真亀谷 仁郁/ViveSpoon(金沢大学)
摂食障害に苦しむ全ての人に治療を届ける、統合デジタル治療プラットフォーム

小泉 泰英氏の写真

小泉 泰英/(株)オリゼ
米麹発酵とアップサイクルで叶える甘味料革命

中川 佳奈

中川 佳奈/(株)blue ripples
世界照準の新しいメンタルケア習慣
~メディカルハーブSt. John’s Wort と咀嚼運動の新結合~

企業情報

企業名 公益財団法人 石川県産業創出支援機構
創業・設立 設立 1999年4月1日
事業内容 新産業創出のための総合的支援、産学・産業間のコーディネート機関

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関連URL 情報誌ISICO vol.144
備考 情報誌「ISICO」vol.144より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.144


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