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年5件の利用数から業界のリーディングカンパニーへ ~(株)アイサス

印刷ページ表示 更新日:2025年12月1日更新

受賞者のその後にフォーカス 

ISICOでは2007年から毎年、ビジネスプランコンテストを開催し、優秀な起業家の成長をサポートしている。厳しい審査を勝ち抜いた起業家が、その後どのように成長したのか。第1回コンテストで優秀起業家賞に選ばれたアイサスの百成公鋭(どうみききみとし)社長に現状を聞いた。​​

手間とコストが大幅減 手厚いサポートも

百成公鋭社長の写真 百成社長がコンテストで発表したのは、「information bridge」と名付けた公共事業向けの土木・建設工事情報共有システムだ。このシステムでは、工事中に発生する書類や図面、写真をサーバーに登録し、発注者と受注者の間で情報共有を可能にする。
 従来まで紙の書類で行っていたやりとりがネット上で可能になるため、企業にとっては発注元へ何度も通う手間がなくなり、事務作業やコスト軽減、納期短縮にもつながる。工事完了後の大量の書類や図面、写真の納品もCDで済むので、発注元が広い保管場所を用意する必要もない。
 提供体制をASP形式にしたことで、ユーザーは初期投資不要、かつ低額で導入でき、バージョンアップやサーバーの保守に煩わされることもない。
 同種のシステムの中で後発にあたるinformation bridgeの強みと言えるのが、徹底的に現場目線に立った使いやすさにある。「現場の人はお世辞にもITに強いとは言えない。『このボタンを押せば、この書類ができる』という簡便さにこだわった」と、百成社長はシステムの使いやすさに自信をのぞかせる。
 さらに、北海道・沖縄・離島を除き、無料で現場に赴いて操作説明を実施している点も喜ばれている。
 「操作が分からなければパソコンの使い方までサポートするのが当社の方針。そこをクリアして初めて、システムを使えるようになるわけですから」と百成社長はその理由を話す。

石川と岡山で圧倒的シェア 行政側にも営業活動

information bridgeの画面の画像。工事書類の作成と提出の効率化だけでなく、電子入札やスケジュール管理にも対応。 こうした使いやすさと手厚いサポートを武器に、information bridgeは現在、公共工事に関して、石川の県市町と岡山県の発注するほぼすべて、北陸地方整備局の7割で利用されている。全国の地方整備局や防衛局、農政局、森林管理局、県市町でも利用は進んでいる。当初は道路工事がメインだったが、建築営繕や農林整備など幅広い分野で利用されている。
 創業初年度は5件だったシステム利用件数は、2014年に約2,000件、24年に約8,500件と現在も上昇カーブを描き続けている。これに合わせて、営業拠点も全国に順次増やしており、16年に岡山市、18年に東京都台東区、22年に仙台市、25年10月に野々市市に事業所を開設した。また、他社と少し異なる営業戦略も同社の成長曲線を支えた。それは工事を受注するユーザー企業だけでなく、発注元となる自治体にも営業をかけたことだ。
 「発注元に『このシステムが使いやすい』と言ってもらえると、企業側も導入しやすい。自治体と企業、双方にとってinformation bridgeの導入が、IT化とペーパレス化を進めるとっかかりにもなっていた」と、百成社長は話す。

揺らん期支えたISICOの支援に感謝

 さらに、「当社の成長には、ISICOの支援が欠かせなかったし、非常に感謝している」と百成社長は振り返る。
開設したばかりの野々市オフィスの外観写真 ビジネスコンテストで入賞したことで、会社に箔がつき、融資でも優遇措置が受けられた。IT専門家の派遣を受け、ソフトウェアベンダーとのシステム開発もスムーズに進んだ。
 とりわけ岡山への進出では、ISICOの働きがキーになった。当時、ISICOは企業間の連携を促す「新連携支援」を進めており、同社はISICOによってNTTデータ北陸とマッチングした。このつながりをたどって、NTTデータ中国とアライアンスを組み、岡山県の入札に参加したことが、同社の岡山進出の足掛かりになったという。

未来に向けた広報に注力 業界団体も設立

 一方、同社のこれからについて、百成社長は「全国どこの市場もまだまだ成長の余地がある」と、視界は良好のようだ。
アイサスの取り組みを紹介するVtuver「懸橋愛生(かけはしあい)」の画像。 とはいえ、百成社長のまなざしは自社だけでなく、業界の未来にも向けられている。一例が、建設業の魅力を伝えるため、2012年から始めた高校への出前講座だ。22年からは、VTuberを活用し、業界の先進的な取り組みや人材育成について紹介する広報活動も展開している。
 加えて、23年には同業他社とともに「建設情報共有システム協会(CISSA)」を設立した。これは規格の標準化や行政機関からの要望の窓口を一本化することで、業界全体の生産性向上を目指す業界団体で、同社は設立にあたって中心的な役割を果たした。
 「会社を育てるのに並行して、業界も育てていきたい」と話すように、百成社長は希望を持って自社と業界の未来を見据えている。

※VTuber
Virtual YouTuberの略。2Dや3Dのキャラクター、あるいはそれらを用いてネットメディアで動画投稿・生放送を行う配信者のこと。

企業情報

企業名 株式会社 アイサス
創業・設立 設立 2005年10月
事業内容 ASPサービス事業、CALS/EC支援事業

企業情報詳細の表示

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.144
備考 情報誌「ISICO」vol.144より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.144


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