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産学連携が社会実装をけん引 教育研究で社会課題を解決 ~金沢工業大学 産学連携局研究支援推進部

印刷ページ表示 更新日:2025年12月4日更新

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金沢工業大学は、開学当初から「人間形成」「技術革新」「産学協同」を建学の精神に掲げ、産業界とともに歩む姿勢を貫いてきた。この「産学協同」の理念を実践する社会実装型の教育研究が、まさしく企業とのパートナーシップを強固なものにしている。​

革新複合材料研究開発センターの内観写真​​

大学がプロトタイプの試作

 金沢工業大学は産学連携で、基礎理論の構築からプロトタイプモデルの試作および実証までを担当し、製品化に向けた応用研究の領域にまで一貫して取り組んでいる。
 一般的な大学では基礎研究をメインとし、応用研究は企業に任せるケースが多い。しかし、大学の基礎研究の成果を開発段階から本格的な事業化へと進める際、企業は資金不足や経営上の問題に直面することがあり、「死の谷」と呼ばれる技術移転の障壁を乗り越えるのが困難な場面も少なくない。
 同大学では、プロトタイプモデルの試作や応用研究までを担うことで、技術移転をスムーズに進めている。このような体制を組めるのは、教員の半数以上が民間企業出身者という強みがあり、そのノウハウを生かして企業の困りごとに伴走しながら支援しているからだ。
産学連携局の皆さんの写真 特に、実証実験の場として役割を果たしているのが、白山麓キャンパスの地方創生研究所だ。この研究所では、プロトタイプの改良版や製品化手前のモデルを実社会に模した形で検証でき、品質保証試験や経年劣化の測定も可能である。

社員が実際に学生指導

 また、同大学では、「企業と大学の共創」によって社会を豊かにするのが研究であり、「人と大学の共創」によって個人の生き方を豊かにするのが教育との考えから、産学連携の一環として人材育成にも力を注いでいる。
 その核となるのが2019年度から導入した「KITコーオプ教育プログラム」である。このプログラムで学生は、企業の一員として専門分野に関連した業務に4カ月から1年間の長期にわたり従事する。
電気自動車の充電設備の写真。金沢工業大学では再生可能エネルギーのシェアリングシステムを推進している 受け入れ先の企業では、社員が実務家教員として就業上の指導・評価を担い、学生には業務成果に対して対価が支払われる。対価が発生することで、学生は責任感が高まり、企業も雇用者として業務を厳しく評価できる。
 実務家教員と学生が一体となって企業の困りごとに向き合う体制が、将来のイノベーターの育成を実現する。また、企業の課題を「自分のこと」として捉え、共に走ることができる「人」の育成が、持続的な社会実装を支える基盤となる。

民間企業との協力を加速

 一方、その視線は地域産業の育成にも向いている。内閣府の支援を受ける「環境適合型複合材料」川中産業創出プロジェクトでは、炭素繊維の研究開発拠点として発足した同大学の革新複合材料研究開発センター(白山市)と県・ISICO、関係企業などが協力して事業を進めている。
 プロジェクトは、石川県の高度な繊維・機械加工技術を持つ「川中企業」の高付加価値化に挑む。同大学がハブとなり、川中企業クラスターが川下企業のニーズに対応した研究開発と提案をし、県内複合材料産業の生産額増加と雇用の創出を目指す。
 また、北菱電興(金沢市)と共同で実施している「ICTを活用したイチゴ栽培」では、生育環境を一定に保つ「環境センシングシステム」、自動で収穫する「自動摘花・摘果ロボット」、バイオマスボイラーによる「クリーンエネルギーの導入」などに取り組んでいる。
白山麓キャンパス内の研究用イチゴほ場の写真 2019年10月、白山麓キャンパスに研究用のイチゴほ場を設置。このほ場では、間伐材を使用した暖房システムを採用し、イチゴの光合成を促進する二酸化炭素を大気から濃縮生成する装置も開発、導入している。また、360度高解像カメラの映像を5Gで送信してハウス内の容姿をリアルタイムで監視できるシステムの確立も目指している。

スタートアップの機運醸成

最大積載量50kg、飛行距離50km超のドローンの写真。 社会実装という点では、新たな価値を創出する担い手として「スタートアップ支援」にも力を入れる。同大学航空宇宙工学科の赤坂剛史研究室では、ドローン(小型無人航空機)の屋外での自律飛行などについて研究している。
 2025年3月には、手取川河川敷にあるラジコン飛行場で「大型ドローン0号機」の飛行実験を実施し、積載量50キログラム超の飛行実験に成功した。これにより、山間地・被災地向け物資輸送用の大型ドローンの開発に弾みがついたという。最大積載量50キログラム・飛行距離50キロメートル超のVTOL(垂直離着陸)型有翼電動ドローンは国内では例がなかった。
 このドローンの開発は昨年度、科学技術振興機構の大学発新産業創出基金事業スタートアップ・エコシステム共創プログラム「TeSH GAPファンドプログラム」 ステップ1(応用研究)に採択されて取り組んだもので、大学内外のスタートアップの機運醸成に一役買っている。
 産学連携局研究支援推進部の松井康浩部長は、「産業界とともに歩む中で、研究と人材で社会実装を進めることが大学の使命だ。あらゆることに学ぶ姿勢を持ち続けたい」と意気込む。

企業情報

企業名 金沢工業大学 産学連携局研究支援推進部
創業・設立
事業内容 基礎理論の構築からプロトタイプモデルの試作および実証、製品化に向けた応用研究の領域にまで一貫した取り組み

関連情報

関連URL 情報誌ISICO vol.144
備考 情報誌「ISICO」vol.144より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.144


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