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【巻頭特集】CASE1 経営危機から挑んだシステム開発 目指すは「進化度日本一」 ~(株)光栄

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生産性を高める中小企業のDX -建設機械業編-

人手不足やコスト高騰など、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増している。この難局を乗り越えていくには、DXによる生産性向上が不可欠だ。とはいえ、巨額の投資は必ずしも必要ない。重要なのは、現場の困りごとに寄り添い、自らの手で課題解決を図る姿勢である。デジタル技術で組織を変革し、競争力を高めている県内2社の事例を紹介する。​

資金不足から外注せず社長が独学で構築

 光栄は、建設機械のキャビン(運転席部分)やコンソール(操作盤)を収めるフレーム、シートの機構部品などを製造する板金加工メーカーである。同社の強みは、独自に開発した生産管理システムを駆使し、顧客が求める納期の順守と高品質を実現している点にある。
 同社のシステム開発の歴史は、坂本典昌(のりあき)社長が入社した1987年にさかのぼる。当時、経営状況は厳しく、納期遅れや不良品の発生が常態化していた。坂本社長は受注管理や生産管理をシステム化することでこの状況を打破しようと考えたが、外部に発注する資金はい。そこで、データベースソフトを購入し、独学で試行錯誤しながら開発したのが現在のシステムの原点である。
 「資金がないから自分たちで作る」。この精神と開発体制は現在も引き継がれている。社内に専任のシステムエンジニアは存在せず、経営幹部や事務職の社員が業務の傍らプログラミングを覚え、30年以上にわたり機能の拡張、運用を担ってきた。外部ベンダーに依存しない体制こそが、現場のニーズに合わせて柔軟かつ迅速に機能を拡張させる最大の武器となっている。

部門別採算にも活用 コスト意識が大きく変化

各作業エリアに設置されているパソコンを操作する従業員の写真 同社の生産を支えているのは、受注から生産計画、発注、在庫管理、そして出荷までを一気通貫で管理するシステムだ。かつては紙の図面や伝票が散乱し、「どの仕事を優先すべきか」「在庫がいつ切れるか」が把握できない状況にあった。しかし現在では、工場内に設置された約20台のパソコンを通じ、全社員が各製品の進捗状況や加工の優先順位をリアルタイムで共有できるようになっている。
 この管理体制は確かな成果を生んでいる。例えば、2022年から2023年にかけての繁忙期、業界全体で生産が逼迫(ひっぱく)し納期遅延が相次ぐ中、同社は納期遅れをゼロに抑え、顧客からの信頼を一層厚くした。システム画面上に工程ごとの検査項目を表示させ、自主検査を徹底することで、不良品の発生率も大幅に低減している。
 また、このシステムは単なる生産管理にとどまらず、「部門別採算制度」の運用にも不可欠な存在となっている。製造一課、製造二課、営業管理といった部門ごとに、売り上げ、仕入れ、経費、勤務時間といったデータが集計され、それぞれの収益が分かる仕組みだ。
 部門別採算制度の導入は、従業員の意識を大きく変えた。例えば、溶接用ガスの使用量を減らすために工程を見直したり、キャッシュフローを考慮して鉄板の仕入れタイミングを調整したりするなど、現場レベルでコスト意識が高まった。同社が熱心に取り組む委員会活動や小集団活動とも連動し、データに基づいた自律的な工夫が行われている点は、多くの中小企業にとって参考になりそうだ。

面倒や不便を解消 使い手に寄り添って開発

 同社のシステム運用が成功している最大の要因は、徹底した現場視点にある。坂本侑仁(ゆうと)専務は、「現場の声に耳を傾け、スタッフの負担を減らすことを最優先に改良を続けている」と語る。
二次元コードを活用し た在庫検索システムの写真。 象徴的な事例がある。高齢のスタッフが現場に入った際、キーボードでの入力に苦戦していた。そこで作業指示書に二次元コードを印刷し、それを読み取るだけで入力が完了する仕組みを開発したところ、パソコン操作に不慣れなスタッフでもストレスなく作業が可能になり、入力を依頼されていた社員も手を止めずに済むようになった。
 また、「特定の検索に時間がかかる」「いつも同じ条件で絞り込んでいる」といった要望があれば、専用の検索ボタンをわずかな時間で追加するなど、内製化ならではのスピード対応も光る。
 こうした使い手の不便を解消する積み重ねが、システムへの信頼感を生み、現場での積極的な利用につながっているのだ。

失敗しても即修正 高速で回す改善サイクル

坂本侑仁専務の写真。現場の負担を減らす視点でシステムの改良を推進している。

 最近ではAIを活用し、小物品の保管場所をタブレットで即座に検索できる在庫管理ツールも短期間で開発した。高額なパッケージソフトを導入しなくても、現場のちょっとした悩みや不便を解決するツールを自前で次々と生み出す。この小回りの良さが、現場の生産性向上や働きやすさにつながっている。
 「自社のシステムを日本一だとは思っていないが、進化の度合いで日本一を目指す」と話す坂本専務。内製システムゆえに、失敗してもすぐに修正がきく。このトライ&エラーを高速で回せる点も同社の強みと言えるだろう。光栄の取り組みは、リソースの限られた中小企業が目指すべき、IT活用と生産性向上のひとつの解を示している。

 

企業情報

企業名 株式会社 光栄
創業・設立 設立 1982年4月
事業内容 建設機械の板金部品の製造

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関連URL 情報誌ISICO vol.145
備考 情報誌「ISICO」vol.145より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.145


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