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ドッグフードやキャットフードの製造を手がけるレガールファクトリーは、ここ数年で急成長を遂げている。その躍進を支えてきたのは、志を同じくするパートナーとの協業と、ISICOの支援を通じて取り組んできた経営基盤の強化だった。

レガールファクトリーの最大の強みは、品質への徹底したこだわりにある。一般的なドッグフードやキャットフードでは、食肉処理の過程で生じる骨や肉を乾燥・加工した「肉骨粉(にくこっぷん)」が使用されることも多い。水分を含まないため傷みにくく、輸送しやすいという製造上のメリットがある一方、原料の産地を詳しく把握しにくいという課題もある。
これに対して同社は、創業以来、出所が明確な生肉を直接練り込んで仕上げる製法を貫いてきた。この方法は、肉骨粉と比べて手間もコストもかかるため、国内で対応できる工場は20社に満たないとされる。
原材料には牛、豚、鶏の肉のほか、魚類や野菜など、人が口にするものと同等レベルの品質の食材を使っている。酸化防止剤や合成着色料を用いないことも徹底している。
長野伸哉社長は、「私自身が安心して犬や猫に与えられるものしか作らない。その基準を守り続けてきたことが、結果として信頼につながっている」と強調する。ペットを家族の一員として考える飼い主が増える中、この姿勢が支持され、需要の増加にもつながっている。
同社は2007年の設立以来、長らく自社商品を軸に事業展開を進めてきた。しかし現在では、売上高の約7割を、他社ブランドの製造を請け負うOEM事業が占めている。
OEMの拡大と共に業績も伸び、18年に約8,000万円だった売上高は、今期10億円規模に達する見込みだ。その背景にあったのがコロナ禍である。成長を続けるペット市場に、本業の不振を補おうとする異業種の参入が相次ぎ、同社にも多くの製造依頼が寄せられた。
長野社長は「動物への深い愛情を持ち、本気で商品づくりに取り組む企業とは、積極的に協業してきた」と話す。こうしたパートナーを支えるため、21年に川北町で第2工場を稼働し、生産体制を強化した。
一方で、利益を優先するあまり、法令や表示規制を軽視したり、過剰な効能をうたったりする事業者が存在するのも実情だ。同社は、動物の健康を第一に考える協業先を慎重に見極めながら、OEM事業を着実に進めてきた。
成長期にある中小企業にとって、公的な支援機関の専門性の高い知見は、経営基盤を確固とするための重要な要素となる。「当社の場合は、課題に直面するたびにISICOに相談して乗り越えてきた」と長野社長は振り返る。
ISICOの知的財産総合支援窓口への相談もその一つだった。大手企業がペットフード製造に関する特許を相次いで取得する中、自社の製造方法が特許侵害に該当しないかを専門家とともに検証し、リスクを回避する体制を整えた。
さらに、ISICOの活性化ファンド事業を利用して高齢犬向け商品「わんこのきちんとごはん」を開発するなど、さまざまな支援金や補助金制度を活用しながら、成長の基盤を着実に築いてきた。
2024年には県によるニッチトップ企業創出支援事業の対象として認定された。認定企業は、県やISICOなどによる専門家派遣、市場調査、販路開拓といった支援を受けることができる。そこで同社は、当初10年計画として構想していた売上高20億円の目標を、5年以内に前倒しする方針へと見直した。
もっとも、道のりは平坦ではない。燃料や原材料の価格は高騰を続けている。サプライチェーンを揺るがす要因も多い。海水温上昇に伴ってこれまで使用してきた魚介類が確保しづらくなり、ウクライナ情勢の悪化によって栄養価の高い北極圏の海藻が獲れなくなっている。
さらに最近では、AIの普及によってインターネットでの検索の仕組みが大きく変わり、ECサイトの自社製品ページへのアクセス数が約3割減少するなど、新たな課題にも直面している。
このような環境の変化に対応し、売り上げを伸ばす方策として同社が進めているのが、自社製品を他社と比較せず購入してもらう「指名買い」を増やすことだ。そのため現在、ウェブサイトの刷新やブランディングの強化に注力している。また、海外展開についても、国際情勢の変化を慎重に見極めながら検討している。長野社長は、「OEMで築いてきた信頼と、自社ブランド確立の両輪を回し続けることで、安定した成長を実現したい」と力を込める。
| 企業名 | 株式会社 レガールファクトリー |
|---|---|
| 創業・設立 | 設立 2007年6月 |
| 事業内容 | ペットフードの製造・販売 |
| 関連URL | 情報誌ISICO vol.146 |
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| 備考 | 情報誌「ISICO」vol.146より抜粋 |
| 添付ファイル | |
| 掲載号 | vol.146 |