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国内市場が成熟し、競争が激化する中、企業の持続的成長の鍵は自社ならではの価値を磨き上げることにある。慣れ親しんだ既存の枠組みにとどまるのではなく、商機の大きい舞台へ打って出る決断は、企業に新たな風を吹き込む。今回の特集では、培った技術やノウハウを現代のニーズに合わせて進化させ、未知の領域を切り開く県内企業2社の取り組みを紹介する。
土木工事や建築工事を主力とする吉光組では、事業再構築補助金を活用し、3本目の柱である資源開発事業の伸長にチャレンジしている。補助金の申請にあたってはISICOが認定支援機関としてサポートした。
同社が2022年に事業再構築補助金で導入したのは、コマツ製の自走式土質改良機「リテラ」である。同社ではリテラを使って、重金属や油で汚染された土壌、建築・土木工事の際に発生する建設発生土に、独自に開発した改質材を混ぜて、再利用できる土としてリサイクルする。
例えば、工場跡地を売却する際、土壌汚染が見つかるとそのままでは売れない。建設発生土は廃棄物ではないが、汚染された土壌はそのまま外に出すと産業廃棄物として処理費用がかかる。その上、土を取り除いた穴を埋め戻すために、また別の場所を削り、健全な土を運んでこなければならず、経済的にも環境的にも負荷が伴う。
一方、吉光組が推進する手法は現場にリテラを持ち込み、その場で処理するため、コストが従来よりも抑えられ、環境にも優しい。
同社では新規に導入したものを加え、現在5台のリテラが稼働しており、施工実績は石川県内にとどまらず、沖縄、北海道を含む37都道府県に広がっている。
同社が土のリサイクル事業に乗り出したのは1999年にさかのぼる。当時、建設省(現在の国土交通省)が発表した白書では、建設廃棄物の有効利用や適正処理の必要性が記載されるようになっていた。これを目にした先代が「これからは土もリサイクルする時代」と考え、小松市内の事業者としては初めてリテラを導入。社内に資源開発部を立ち上げ、建設発生土や汚染土を現場内で再利用可能な土へと蘇らせる研究をスタートさせた。
その後、重金属が土から溶け出さないよう処理する「メタルシャット」、油分を浄化する「オイルシャット」、軟弱な土壌を盛り土などに使える強固な土に変える「ハードレックス」と、さまざまなニーズに対応するためのオリジナルの改質剤を開発。地価の高い都市部を中心に施工実績を積み上げてきた。2019年に土壌汚染対策法が改正され、自然由来の重金属対策が義務化されたことも追い風となり、売り上げを伸ばしている。
昨年には子会社としてジオフィックスを設立し、改質剤の製造、販売もグループ内で手がける体制を整えた。
「一度使っていただいたお客様は、リピーターになることが多い」と話すのは吉光岳文社長だ。
理由の一つは先ほど述べた独自の改質材だが、これに加え、「キャリブレーション(微調整)」のノウハウも強みとなっている。土の状態は現場ごとに異なり、改質材の投入量がわずかに違うだけでも、十分な効果が得られなかったり、想定以上にコストが膨らんだりすることがある。その点、「当社では、現場の状況を見極めた上で投入量を厳格に管理し、確かな品質に仕上げることが可能だ」と道勇治専務は胸を張る。
また、同社では土木・建築工事で元請けとして現場を管理してきた経験が豊富にあるため、発注元のニーズを正確にとらえ、安全管理や工程管理などに細やかに対応する姿勢も、同業他社との差別化要因となっている。
さらに、吉光成寛副社長が代表理事を務める一般社団法人土壌環境保全技術協会を通じた戦略的な連携も、販路拡大の原動力だ。
同協会は、汚染土壌や廃棄物の適正処理に関する高度な技術を持つ企業が集うプラットフォームである。各種汚染土壌や軟弱土の改良については多くの事業者を悩ませているものの、どこに相談すればよいか分からないとの声も多い。そこで同協会では、そうした相談の受け皿になり、複数の会員企業が持つ技術などから最適な方法を提案する。
各企業は同協会に加盟することで、一地方企業が単独でアプローチすることが難しい大規模案件や行政への技術提案も可能となる。吉光組も独自の技術力に協会のネットワーク力を掛け合わせ、石川県内のみならず、都心での再開発や沖縄での案件など、全国各地の難題解決に向け、販路を拡大しているのである。
こうした優位性を生かし、同社では資源開発事業の売上高を現在の2億円から、2027年の決算期には3億円まで拡大させる計画だ。

「積極 進取」を社訓の一つに掲げる吉光組だけに、その挑戦は、土のリサイクルだけでなく、建設・土木業界が直面する構造的課題の解決へも向かっている。例えば、ITやAIを駆使した「建設DX」の取り組みもその一つだ。
昨年11月に小松市内の海岸で実施した国土交通省の工事では、ショベルカーとAI障害物認識技術を活用したクローラーダンプの2台を1人のオペレーターが遠隔で操作する無人化施工に取り組み、安定的な運用に成功した。オペレーターが現場から離れた快適な環境で、重機を自在に操ることができれば、真夏の炎天下や災害現場などの危険な環境下でも、安全かつ効率のよい作業が実現する。
「時代を先取りした技術開発に挑戦し続け、地域社会に貢献していきたい」と前を見据える吉光社長。手取川の砂利採取から始まった、吉光組の歩みは土木、建築、そして資源開発へと領域を広げており、これからも時代に合わせた挑戦を果敢に続けることで、持続的な成長を目指す考えだ。
| 企業名 | 株式会社吉光組 |
|---|---|
| 創業・設立 | 創業 1913年4月 |
| 事業内容 | 土木事業、資源開発事業、建築事業 |
| 関連URL | 情報誌ISICO vol.147 |
|---|---|
| 備考 | 情報誌「ISICO」vol.147より抜粋 |
| 添付ファイル | |
| 掲載号 | vol.147 |