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【巻頭特集】CASE.02 中子の技術を、菓子の型へ。3Dプリンターと丁寧なすり合わせで食品用焼き型事業を新たな柱に ~(有)小松鋳型製作所

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「強み」×「時代のニーズ」で新たな事業の柱を築く
中小企業の多角化戦略

国内市場の変化や成熟により、単一の事業や取引先に依存する経営では持続的な成長は描きにくい。企業に新たな成長の芽をもたらしてくれるのは、長年培ってきた技術やノウハウをどう生かすかを見極め、新たな分野へ果敢に飛び込む決断だ。今回の特集では、主力事業の先細りに危機感を抱き、蓄積した技術力を武器に新市場を切り開いて、着実に成果を上げている県内2社の挑戦を紹介する。​

食品用の焼き型とこの焼き型を使ったお菓子の写真。

 鋳物の中子(なかご)製造を主力としてきた小松鋳型製作所は、需要の頭打ちを見据え、20年ほど前から食品用焼き型のオーダーメードに挑戦。ISICOの支援メニューも活用しながら育ててきたこの事業は、今や売り上げの約半分を占める新たな柱へと成長した。
 同社は、鋳型の中に組み込んで空洞のある形状を鋳造するための砂型「中子」の専門メーカーとして事業を営み、複雑な形状に対応する技術力を培ってきたが、近年、国内の生産量は減少傾向にある。井家洋社長によると、廃業などにより同業者が減少したことで相対的なシェアが高まり、受注自体は横ばいを保っているものの、砂型は輸送時の振動に弱く商圏が地元に限られるため、新規の取引先を開拓しにくい事業構造にあるという。
 こうした中、同社が新たな成長のエンジンとして育ててきたのが、食品用焼き型のオーダーメードだった。

一件の依頼から広がったオーダーメード事業

毎年出展する展示会のブースの写真。

 きっかけは今から20年ほど前。新事業を模索して導入した3Dプリンターと3D・CADの活用先を探していたところ、長崎県の商業高校から文化祭で使うたい焼き型の製作依頼が舞い込んだことだった。砂型づくりで培った技術を応用し、約3カ月かけて完成させた経緯を毎週ブログで発信したところ、少しずつ「うちも作ってほしい」という依頼が舞い込むようになった。
 観光地や道の駅からの注文を皮切りに、東京・大阪の展示会への出展を重ねる中でBtoBの顧客が拡大。今では全国区の人気キャラクターや、プロスポーツチームのマスコットグッズを扱う企業からも継続的に注文が入る。観光地でキャラクターショップを多数展開する企業や、大手たこ焼きチェーンなど、一社で複数の型を注文する顧客の存在が、事業の安定成長を支えている。これまでに手がけた型は500種類以上、現在も常時20~30件の案件を抱えるまでに拡大した。

カセットコンロから実店舗へ 事業の成長に貢献

)オーダーメードで 製作した食品用焼き型の写真。

 同社が長年にわたり伴走してきた取引先の成長は、事業の手応えを象徴するエピソードとして井家社長の印象に強く残っている。
 香川県のある起業家との取引はその代表例だ。最初の依頼は、家庭用のカセットコンロで一つずつ焼ける小さな型だった。しかし評判を呼んで量産の必要が生じると、同社はより多く焼ける型を製作。その起業家はキッチンカーでの販売を始め、さらに評判が広がると常設店舗を構えるまでに事業を拡大させた。
 その過程で同社は、香川の伝統の編み細工「さぬき円座」の繊細な網目模様を、菓子の表面に再現することに挑戦し、見事に美しい仕上がりを実現している。
 その起業家とは今なお取引が続き、数年ごとに新しい型を発注してもらう関係が育まれており、井家社長にとって、顧客の事業拡大に型づくりを通じて貢献できたことは、大きな喜びとなっている。

型づくりにとどまらず菓子が焼けるまでトータル支援

 同社の強みは、平面の絵や写真から立体形状を起こす3D・CADの技術力と、3Dプリンターで実寸大の見本を作り、顧客とサイズ感やデザインをすり合わせる丁寧なプロセスにある。イメージのすり合わせから表面仕上げまで一貫して手がける会社は全国でも数社しかなく、これが差別化につながっている。
事業再構築補 助金を活用して整備したテストキッチンの写真。 さらに、2021年度にISICOの支援を受けて中小企業庁の事業再構築補助金を獲得し、社内にテストキッチンを整備。型の提供だけでなく、実際に焼き上がりを確認できる体制を整えた。
 2023年度にはISICOの成長戦略ファンドを活用し、「自社ブランドの食品金型と食材のセット販売に向けた開発・販路開拓事業」にも着手。型と材料をセットで提供し、継続的な受注につなげる仕組みづくりを進めているほか、今では材料提供やレシピ開発まで含めたサポートを実現している。
 こうした取り組みを重ね、食品用焼き型事業は今や売り上げの約50%を占めるまでに成長した。

新ブランド「つぎのかた」で次のステージへ

 同社では、成長戦略ファンドの採択企業向けに開かれるデザインセミナーをきっかけに知り合ったデザイナーの協力を得て事業のブランド化にも取り組んでおり、10月には新ブランド「つぎのかた」がスタートする予定だ。
井家社長(中央) と焼き型のデザインを手がけるスタッフ2人の写真。 「次の」菓子づくりと「次の」お客様への思いを込めたこの名称のもと、将来は自社での菓子製造・販売にも挑戦し、実績を積みながら型と材料のセット販売にもつなげていく考えだ。
 中子づくりで培った技術を土台に、新たな柱を大きく育てる同社の挑戦は、これからも続く。

企業情報

企業名 有限会社小松鋳型製作所
創業・設立 創業 1967年3月
事業内容 鋳物用中子の製造、鋳造モデルやオリジナル焼き型の製作など

企業情報詳細の表示

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関連URL 情報誌ISICO vol.149
備考 情報誌「ISICO」vol.149より抜粋
添付ファイル
掲載号 vol.149


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