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令和6年能登半島地震で被災しながらも、試練を乗り越え、明日への一歩を踏み出した地元企業の奮闘ぶりを紹介します。

谷川醸造の「サクラ醤油(しょうゆ)」は、うま味の強い甘口の味わいが特徴で、大正時代の製造開始以来、能登で親しまれてきた。その味を生んできたしょうゆ蔵が、能登半島地震で全壊した。
「店頭からサクラ醤油が消えると、いろんな人に『また作って』と声をかけられた」と振り返るのは、4代目の谷川貴昭社長だ。「しょうゆは家庭や飲食店の味に欠かせない。絶対に残さなければ」と、再起への思いを強くしたという。
とはいえ、設備がなければ製造はできない。そこで選んだのが、委託製造だった。
しょうゆの製造方法は、大きく本醸造と混合醸造に分けられる。本醸造は、大豆などを原料にもろみを仕込み、発酵・熟成させる製法だ。一方、混合醸造は、地域の組合などでつくられた生しょうゆに、アミノ酸液や塩水などを混ぜ合わせて製造する。サクラ醤油はこの混合醸造を採用しているため、配合レシピさえあれば、他社の蔵を借りて高い精度で味を再現できる。
谷川さんは震災後すぐに、近隣のしょうゆ蔵に協力を依頼した。配合レシピを提供し、震災から4カ月後には、サクラ醤油300本の販売再開にこぎつけた。
谷川醸造は、2011年から本醸造にも取り組み、地元の原材料のみを使った商品を「能登のお醤油」の名称で販売していた。その味の要となっていた、蔵に住み着く酵母菌も、戦前から受け継いできた木桶も失った。
それでも「谷川醸造だけの味を届けたい」という思いは揺るがず、蔵の再建へ向け、ISICOに相談しながら各種補助金の申請を進めた。
加えて、妻で常務取締役の千穂さんが中心となり、2024年2月にクラウドファンディングを開始した。結果として769人から支援が寄せられ、夫婦は「本当にありがたく、身が引き締まる思いだった」と声をそろえる。
新たな蔵は今年8月に完成し、年内の製造再開に向けた準備を進めている。建物の最大の特徴は、2階に作業場を見下ろしながら見学できるスペースを設けたことだ。コンサートなどのイベントにも利用できる広さがある。
「輪島の人口減少が進む中、交流を増やす場所にして地域を元気にしたい」と谷川社長。能登の味を守り、人と人の出会いも生まれる場所づくりへ、力強い一歩を踏み出した。
| 企業名 | 谷川醸造株式会社 |
|---|---|
| 創業・設立 | 創業 1905年 |
| 事業内容 | しょうゆの製造・販売 |
| 関連URL | 情報誌ISICO vol.149 |
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| 備考 | 情報誌「ISICO」vol.149より抜粋 |
| 添付ファイル | |
| 掲載号 | vol.149 |